上から
早く作った分、短いです。
よろしくお願いいたします( ノ;_ _)ノ
16話 上から
何だろ…背中がゾワゾワして空が気になる。…冷たい風が流れ混んでるみたいな。
檻の外にいるトレットさん達を見る。
僕が何もしないからだと思うけど沢山の人が集まってる。
『誰か!誰か僕の声が聞こえますか?』
意心で話し掛けるけど誰も答えてくれない、各々が好きに話してる。
誰かが空を見てくれるだけでもいいんだけど…。
僕が上を見上げても檻の天井しか見えない。
…むぅ、とにかく誰かに気付いてもらわなきゃ。
『トレットさんトレットさん!』
トレットさんの方向を見てみるとケンカしてるパールさんとジェシカさんを止めてるみたい。
トレットはあたいのだ!とか、牛には渡さない!とか何の話してるんだろ?
僕が言うのも何だけど皆真面目にしないのかなぁ?またパトリックさんに怒られるよ?
今僕は仰向けになって胸から下は色んな物でぐるぐる巻きにされてるから芋虫さんみたいな動きしか出来ないけど首から上なら動く。
僕は大きく頭を振りかぶって檻の床に思いっきり頭をぶつけた!
ガゴォン!
僕がいきなり大きな音を出したから周りの皆はビックリして剣とか槍とか杖とか弓を僕の首に突き付けた。
…皆逞しいね…怖いよ。
でもトレットさんもこっちを見てるから良かったのかな?
僕はジーッとトレットさんに顔を向ける。
『……』
「ん?」
『……』
「俺か?」
そう!僕は何度も頷く。
良かった…これで気付いてもらえなかったら痛かっただけだったよ。
僕は顎を空に向けて指す。
「…おい何してんだこいつ?」
「私に聞かれても困るぞ、パール氏は?」
「さぁ?」
「上に何かいんじゃねえの?…ん?」
「?どうしたジェシカ氏?」
「いやぁ…さそこの空おかしくねぇか?」
「空?どこだ?パール見えるか?」
「?確かにあそこだけ雲の流れ方が…何か落ちてきた?」
パールさんがそう言うと背中のゾワゾワも消えた。
あれは何だったんだろ?
「…どうした?…は?、何だと?分かった警戒する。そっちも油断するなよ」
パトリックさんが右手を耳に当てて何か言ってる。
…電話?
「皆聞いてくれ!ギルからの報告では今落ちてきているのはどうやら人らしい、何かは分からないが…」
ドバッ
『?』
変な音がしたからその方向を見てみるとジェシカさんが顔を真っ赤に染めて人形みたいに後ろに倒れた。
トロッとした赤い血が瓦礫を伝っていく。
「敵襲!障壁最大で出せ!」
僕も含めて全員がボーっとしてた所をパトリックさんの声で皆が動いた。
皆僕の檻の回りに集まって杖を持った人が何か言うと色々な色の光の壁が出てきた。
その直ぐ後に何かが物凄い勢いでぶつかって檻の天井からもガキャキャキャンと鉄同士がぶつかるみたいな音がする。
ーードパパパンーパン―ドパパン
上の方から聞こえる乾いた音。僕はそれが何か分かった。
『鉄砲!?』
僕は檻の中で立ち上がってジェシカさんを見る。
指先だけがピクピク動いて血もドクドク出てる。
その隣でトレットさんは盾を空に向けて鉄砲の弾からジェシカさんとパールさんを守ってる。
「何だこの攻撃は!魔力探知に引っ掛からなかったぞ!」
「相手は誰だ!」
「クソッ釘付けにされた!」
「落ち着け!先ずは防御に徹しろ!」
沢山の人が怒鳴って、血も見て凄く怖い。
…僕は…どうしよう、何をすれば良いか分からない。
逃げた方がいいのかな?檻の中でぐるぐる巻きにされてるけど本当の事を言うと多分どうにか出来ると思う。
逃げて、森に帰ってまた熊さん達と湖で暮らす。
でもこの人達を置いて逃げて良いのかな?
皆が困ってて、人がし、死んでるのに…
「障壁…もちません!」
「…!こっちもです!」
光る壁にヒビが入ってきた。
「クソォ!誰かあいつらを撃ち落とせる奴はいないのか!誰か!」
誰か…その誰かって、
『もう!ウネウネさん出てきて!』
僕をぐるぐる巻きしてた鎖とか光る文字が書かれた布を腰の辺りから六本のウネウネさんが突き破って出てきた。
パトリックさんがこっちを見て驚いてるけど無視。
『ウンリャアア!』
回りには人が沢山居るからウネウネさんを使って天井に僕が通れる穴を開けてジャンプして外に出て檻の上に乗る。
空を見るとパラシュートで降りてくる人が5人居る。
僕は手をついてウネウネさんの形をトレットさんの盾にして皆と僕の上に傘みたいに被せる。
形は同じだけど大きさは僕がウネウネさんで作ったのがかなり大きい、それが六個。
でもウネウネさんの根本から形を変えてるからちょっとしか動かせない。
ボンボボボンボボボボボン!
ウネウネさんに鉄砲の弾が当たって変な音がする。
うん、良かった…ちょっと痛いけどちゃんと防げてる。
でも上の様子が分からないからこっそり小さな穴を開けて覗きに穴を作った。
あれ?鉄砲を撃つのを止めた?何で?
すると空の人達は黒い塊が付いた木の棒を落としてきた。
『爆弾!』
僕は急いで立ち上がってウネウネさんを元の形に戻すと真上から落ちてくる爆弾をウネウネさんで弾き飛ばした。
五つの爆弾は地面に落ちて暫くすると爆発して瓦礫を吹き飛ばした。
『あ、危なかった』
もしも一つでも爆弾が当たってたらウネウネさんの盾でも壊れてたかもしれない。
ズダンッ!
パラシュートを取って空から来た人達はそんな音を立てて僕から離れたら場所に着地した。
皆緑色のコートを着ててヘルメットと円いゴーグル、それと黒いガスマスクを付けてた。
両手には鉄砲があるけど持ってるだけで構えてない。
そのまま僕達の事をジーッと見てる。
「………」
『……』
僕は腰にあるウネウネさんの一番上の二本を盾の形にする。
さっきのと違うのは大分小さくして振り回せるようになったこと。
残りの四本はそのままにしてる。
そして僕は緑色の人達とトレットさん達の間の所に飛び降りた。
なるべく高く跳んで、両手両足で着地する。
それからウネウネさんを振り回したり地面に叩き付けたりして威嚇してみる。本当は叫んだりしたら良いんだと思うけど僕には口が無いから出来ない。
『僕は恐いんだぞぉ?強いんだぞぉ?』
このまま逃げてくれないかな?
凄く怖い。
すると緑色の人達はお互いの顔を見ると一人だけ前に出てきた。
「ぁ…なたはもしかしてこの間の湖の巨人さんですか!?」
『えっ?』
突然の大声に僕はビックリした。
顔は見えないけど声も体つきも男の人みたいな人が子供にみたいな口調で話し掛けてきた。
声は物凄く嬉しそうなのに身振りも手振りも無いまま喋ってるその人は怖いと言うか薄気味悪かった。
「いやぁ!こんな所で会えるとは思いませんでした!あの湖の一撃は感動しました!今度会ったら握手してくださいね!?約束ですよ!」
この人は何を言ってるんだろ?
僕は訳が分からなくなる。
「あー!そうでした!まだ自己紹介していませんでしたね。出身地や所属している組織は言えませんが…僕の事はドクって呼んでください!」
男の人、ドクって人は相変わらず動かないままだけど声は凄く楽しそう。
「…それでですねぇ、お聞きしたいことがあるんですが?何でこれが武器であることが分かったんですか?見た目は出来損ないの槌みたいな物なのに貴方はこれが驚異であると瞬時に見抜いた。…僕とても気になります。」
『!?』
背中がゾワゾワする!この人嫌だ、凄く嫌な感じがする!
「<対人猟試兵小隊02各員に命令更新通達。第一指標、無顔の捕獲。第二指標、無顔の死骸確保。以上行動開始せよ>」
聞いたことのない言葉で喋ったあと緑色の人達は鉄砲を構えながら歩いてきた。
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!