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雷霆の神使と白皮の魔人  作者: 堕罪 勝愚
1章 朱雀の紅炎
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5.決闘

 試合の会場となる場所は学校から40キロ離れたビルだ。そこには魔力で作られた移動用ポータルと治癒魔法のプログラムが組まれていて、安全に殺し合いが出来るという。学校の機器室と呼ばれる場所にはテレポート装置が有るらしい。

 そのテレポート装置を求めて機器室に言ってみると、カプセルホテルのような部屋が幾つもあった。

「おう。片葉ちゃん。遅くない?」


「おぅ!何だ遥、居たのか。気配が無かったせいで気づけなかった」


 後ろに立つ遥に対し、奇声を浴びせる。


「小さいころからそこら辺は鍛えているんだよ。筋肉も猫と同じく音を立てないようにしなやかに作られている」


「まるで肉体改造でもしたかのように言うんだな」


「魔力で改造はしているよ?」


「そんなことが出来るんだ……。魔力治療は受けたことがあるけど、肉体改造は初耳だよ。魔力って便利だね」

 俺は右手を力強く握り、魔力を溜めて見せる。これには意味があるわけではないが、片手でこれだけの技量を出来ると言う自慢をしたかっただけだ。


「じゃあ、試合開始と行きましょうか。そういえばさっき、生徒会の2年生4人組が試合の映像をダウンロード予約をしに着てたわよ」


「枯れ木も山の賑わいだな。はっはは」


「酷い言い草ね。友達でしょ?」


「冗談だよ。で、転送装置ってどうやって使うの?」


「このカプセルに入れば指示が出てくるよ」


「どこのビルを使って決闘をするとか?」


「うん。そうね」


「入ればいい?」


 まるでCTスキャンのような形でベッドのようなスペースが出てきた。俺はそれを見て病院の検査を思い出し、渋ってしまった。


「うん」


 彼女は返事をしてくれるも不思議そうに俺の顔を眺める。

 俺は多数にあるカプセルの中から1つ選び、そのベッドに横になった。CTと全く同じ音を出し俺を飲み込んだ。

 初めてCTを取った時は、物心が付く前のはずなのに不思議と覚えている。わかることはその時の恐怖が今でも身にしみているということだろう。


『認証しました。2年3組、月宮片葉さんですね』


 機械のアナウンスの声が聞こえる。


『只今より、3年1組粟島遥と2年3組月宮片葉の試合を行います。間違いはありませんか?』


「画面は無いのか、じゃあ、口頭で返事をすればいいのね?そうですよ」


『試合会場はBブロックになります』


 と言ってプロジェクターのように光が出て、H型の4階建てのビルの見取り図の画面を出した。階段は全部で5つ備わっており、うまく利用すれば逃げ回れることも可能だ。階段が有るということは、全方位から攻められる危険がると言うことなので、警戒はしすぎて損ということはないだろう。


『初期位置はA~Hの8種類あります。選択して下さい』


「向こうも同じ選択肢ですか?」


『いいえ』


「じゃあ、選んでそうそう鉢合わせってケースは少ないか。C地点でお願いします」


 俺は2階の右端に当たる部分に設定する。


『決定しました。30秒後にテレポートを開始します。コアグリップ、銃身を握った状態でお待ち下さい』


 突然目の前が真っ白に染まり、背面にのしかかっていた重力が一気に足に移る。そのせいで俺は後方へ倒れてしまった。


「あ、この天井。ビルなんだ」


 テレポートというものが初体験の俺は空間の移動に少し気分を害する程酔ってしまったようだ。

 T字路の真ん中。前後右に敵の侵入口が有る。


「どうすれば、遥の接近に気づけるか」


 小声でつぶやき、両手に白光りを起こし、魔力を溜める。両手の手根部を合わせてバレットチャージをする。


「3、2、1!」


 右側の通路に向けてバレットを12発撃つ。そのバレットは稲妻を描き、壁、天井、床の4面を跳ねっ返り、手当たりしだいコンクリート製の壁面を壊していく。

 再びバレットをチャージして3カウントし、後方に撃ちだす。同じように4面はコンクリートが砕けて残骸が地面に落ちる。

 三度目、俺はバレットチャージをして前方にも撒菱まきびしを転がそうと考えたのだが“後方”にコンクリートが落ちて響く音が微かに聞こえ、俺は完全にチャージを終えていないバレットを放つ。白い光とガラスの砕ける音が読み取れる。


「ブレードの【シールド】で防いだか」


 俺は両手を前に突き出して【ファイア】のプログラム単体を無数に打ち込み、弾幕を張った。初めは白光りと、バレットとシールドがぶつかって生じる火花が見えたのだが、すぐにそれが止む。すぐに手を止めればよかったものの、俺は制御を誤り、停止させるのに3秒も掛けてしまった。

 危険を察知し、“前方”に振り向く。


「嘘!?」


 俺は焦り声を上げる。

 遥が背後まで接近していたのだ。彼女は右手に【ダガー】を構えていて、それで刺突をしてきた。俺は屈んで回避するも、膝蹴りが跳んできて顎に触れた。痛みは無かったが、違和感は覚えた。俺は蹴られた勢いを利用して後ろに転がり、距離をとって軽い脳震盪を弱める。


「うへ!三半規管が直接刺激されたせいで目眩がするや」


 俺は頭を抑えてリコシェを単発撃って牽制する。


 先天性無痛無汗症。生まれつき痛みや温度変化を感じ取れない症状の病気だ。5歳の頃までそれを放置していたのだが、それまで俺は骨折や肉離れを繰り返し、骨や筋肉が他人よりも頑丈になっている。

 心配になった母親(仮)は病院に俺を連れて行った。そしてこの病気であると診断されたのだが、当時まだ生きていた神使の父親は魔力治療の被験者として俺を使った。今思えばかなり横暴な父親だな。

 優先して温度変化と違和感を読み取る部分を治し、無事に成功した。しかし父は痛みを感じる器官を治そうとはしなかった。怪我をしているということだけがわかればいい。痛みは判断を鈍らせるから邪魔なだけだと思ったのだろう。


 弾丸は規則的に跳弾し、彼女の左脚に当たっても尚、弾は跳ね返り続ける。

 遥の足は弾丸のせいで傷つき、血を流していた。

 俺は肉薄してダガーを突き立てた。彼女はシールドを展開して防御に回る。ダガーとシールドは同じ強度なので、同時に砕ける。受け手となった遥に不要なエネルギーが加わり、体制を崩す。俺はダガーを逆手持ちで展開して右ストレートを撃つ。彼女は体位を乱しても俺の身体の内側に潜り込み、手首を掴んできた。手を引こうとするも、足場が安定せずに背中から地面に叩き落とされる。


「(今、何があった!?)」


 彼女は俺の胸と首に両足を乗せて、その間に腕を挟み、腕拉ぎ十字固めを取る。足が首元に押し当てられて呼吸が出来ない。

 普通の人間であればそれを取られてしまったら腕が折れるまで終わらなかったり、ギブアップをして阻止するだろう。しかし、俺は持ち前の筋力を活かし、これ以上逆方向に腕が曲がらないように力む。


「ぐぬぬぬ!」


「な、なんて馬鹿力なのよ!」


 折りたたみナイフ現象。関節が逆方向に曲げようとすると出てくる抵抗が許容範囲を超えることに依ってさっきまでの抵抗が嘘みたいに無くなる現象の事。腕十字の場合はそれが起こって骨折をするらしい。


 俺は肘を曲げる。こうなれば腕相撲と同じ原理で遥を叩き伏せる事ができる。遠心力を生かして腰から回転させて肩で振りかぶる。彼女の腰のバネは重かったが、遥も危険察知をしてすぐに手を話し、受け身の姿勢に入る。俺はうつ伏せから左手を地面から突き上げて立ち上がった。


「あれ?」


 背中に違和感が在った。先程まで撒菱を散らした床で横になっていたせいだろう。遥も受け身を取って立ち上がる時に背中をかばっているという印象が持てた。

 遥は右目を閉じ、顔を歪めるも、右手から散らしたバレットを撃ちだしてきた。

「【アイロンサンド】か!?」

 俺は背中を向けるも視線は遥から離さずに走る。今、“後方”の通路にいる俺は“右方”の通路の脇目掛けて掛け、急角度で曲がり、隠れた。バレットは垂直方向の壁に当たった音が聞こえると同時に遥の足音は遠ざかっていくのが感じられた。

「はぁ!逃げてくれたか。お互い、体制を立てなおしてからのほうがいいしな」




 遥の攻撃方法は後方からのナイフで首を狩る暗殺だったり、【ショット】【ホーミング】のバレットプログラムによる【アイロンサンド】で牽制。合気道を意識した投技や関節技。

 利き腕は右だから左に回り込んで蹴りを入れると効果的に当てることが可能。

 彼女は判断力が鋭いので、回避に専念されたら足を掬われる。


「あ…」


 俺は壁に体重を乗せて座って考えていたのだが、その間指を噛んでいたようだ。傷になって血が出ている。


「未だ癖が治ってなかったな」


 俺は幼児退行でもしているのか、小学生の頃から指を噛む癖があった。中学生で治さなきゃと思っていたのだが、爪を噛む程度に弱めたのだが、痛覚が弱いので、ついつい指を噛んで血を流していた。

 俺は立ち上がり、1階まで降りる。勿論、前後左右上下の6方向を気にしてだ。床や天井、壁を突き破って突入しないとも限らないが、遥に至ってはその思考はするだけ無駄だろう。


「さっきみたいに待つのがいいのだろうな」


 俺は両手の手根部を付き、魔力を3カウント溜め、その魔力を左手に全部移す。

 自分でも驚いているが、昨日の今日でよくもまぁ、魔力を停滞させた状態で維持できるよな。

 1階のH型は全て回った。そして2階に向かい、詮索をしてみるが、遥は見つからない。やはり俺から音を立てて呼び寄せるのが先決だろうか?しかし、足に傷を追っている時点で近接戦に持ち込むかと問われたら疑問だ。

 2階に上がる中央階段を利用して、踊り場に着くと、2階の天井と一緒に遥の姿を目撃出来た。

 俺は左掌を向けてチャージバレットを撃ちだす。遥は防御としてショットを両手で発射し、弾幕を張る。

 バレット同士は激突し、ショットは消え、リコシェとファイアのプログラムは跳ねる。壁や天井、段差になっている床に当たり、竜巻を描き壁を作った。

 両手でファイアのみを撃ちだすと跳弾を巻き込んで遥の元に飛んで行く。白光りが見えたので、シールドを張って防いだと思えるが、威力や弾の量で直撃したら防御は無駄だろう。

 俺は階段の4段目に手をつき、プログラムバレットを撃ち出し、シールドを貼る。弾は俺のシールドと床の間で何往復もして強い力が働いた。俺の身体は宙に投げ出されて一瞬で2階に到達する。その間、自分の弾丸が身体に突き刺さり傷をつけるが、致命傷ではないし、動きに支障はでないので問題ない。

 着いてみると足を引きずりながら走る遥の姿が目視出来る。俺は着地して駆け出す。


「速いっての!」


 彼女はアイロンサンドを放射してきた。俺はスライディングをしてホーミングの届かいない範囲に逃げながら、彼女の足元に近づき、ダガーのエッジを下から滑らせる。彼女の顔の薄皮にダガーは当たり、左頬を伝って瞼に赤い線を走らせた。ナイフを斬り上げる際、眼球に触れないように意識した。


「リタイア」


 彼女が言葉を発し、光に包まれて消えていった。

 3秒ほどで俺も光りに包まれる。


「うが!」


 俺の足は体重を支えていたので力を入れていたのだが、地面がいざなくなると過剰に暴走し、攣ってしまった。


「あー。あれ?背中のヒリヒリ治ってる?」


 俺はベッドと背中の間に腕を挟めて確認すると腕拉ぎ十字固めを掛けられた時に負った背中の傷が無くなっていた。


「片葉ちゃん!」


「あ?遥?」


 俺は攣った両足を庇いながら腰を左右させて身体をベッドから外し、起き上がる。


「遥、左目、治っている?」


「ええ。テレポートと同時に治癒してくれるからどんなに怪我をしても平気なの。勿論死なないかぎりね」


「じゃあ、心臓にダガー刺しても問題なかったんだ?」


「理論的にはね。でも、刺された瞬間、死んだと身体が判断してしまったら、戻ってきたとしても、心肺停止になることがありえるわ」


「今までにそんなこと、在ったの?」


「まだ無いよ」


 彼女は冷めて言うものだから俺はかなり目を細めて見た。


「さて、約束のポイント。どうぞ、受け取って」


 彼女は自分の生徒証で操作する。それに続いて自分の生徒証を取り出した。さっきの戦闘でよく壊れなかったものだ。


「此処に“賭”ってボタンがあるでしょ?」


「あぁ、在った」


 俺はそれをタップすると、1000ptと書かれていた。それをタップすると、丸まった線が現れて時計回りに動き、すぐに折れのマイページに戻る。ポイントが2124に戻っていた。


「この調子で鈴乃の説得頼んだよ」


「了解」




 3時間目の授業から参加し、4時間目、昼食、5時間目、6時間目と過ごし、放課後になる。俺は理事長に用事が在ったので、理事長室に行く方法を探ってみた。どうやらこの学校の理事長室はアポ無しでも行けるらしい。


「失礼します」


 理事長室のドアをノックして部屋の中に入る。

 俺は滅多に緊張しない。しかし、今回はものすごく心拍が上がり、全身の血液の循環が感じ取れるほど勢いが強かった。


「月宮片葉です」


「ああ。月宮君。君の功績は耳に入るよ。理事長として嬉しい限りだね」


 実年齢は45歳と言うのにかなり若く見える彼女はスーツをきちっと着用し、立派なデスクに資料とパソコンをおいて、肘掛けの付いた高級そうな椅子のセットに腰を掛けていた。


「まあ、堅苦しいのはやめようか。片葉。久しぶりね。随分見ないうちに大きなったわね?」


「は、はぁ?」


 俺はわざととぼけた反応を見せた。


「宝生理事長。壁に耳あり障子に目ありと言う諺は知っていますか?」


「勿論知っているわ。この部屋には監視カメラも何もついていないし、盗み聞きが出来るほど手薄な作りじゃない。だから問題は無いはずでしょ?」


 彼女は手前にあるソファーに指差す。


「掛けて」


「は、はい」


 緊張は和らいだ。下手に余所余所しい仕草を見せられるより親子として振る舞ってくれたほうが気が楽になる。


「学校には慣れた?」


「…はい」


「良かった。何か用事があるように見えるけど?」


「……」


 俺は黙って彼女の目を見つめる。


「理事長。権力を貸してください」


「は?」


「日渡明流と言う名前は知っていますか?」


「勿論」


「よかった。彼女、今度見合いをするそうです」


「弘前家でしょ?」


「弘前?それは初めて知りました」


 理事長から宝生家、日渡家、火狩家、弘前家、佐鳥家などが神使貴族として権力があると説明を受けた。


 そして彼女は俺の目をじっくりと見つめる。


「惚れたのかな?明流ちゃんに?」


「まー、そんなところです」


 俺はやる気のない表情で答える。あの黄緑色の髪の毛を見て、かなり興味がそそられた。人間離れをしていると言ったら彼女に悪いかもしれないが、俺にもコンプレックスがあるので、他人のそれを見ると惹かれるのだ。


「君としては、彼女の縁談話を止めたいのね?」


「まー、そんなところです」


「なんでそんなに曖昧なの?」


「よくわからないんですよ。自分の感情が、自分の考えが」


 俺は初めて本音を他人に言えた気がして鼓動が高ぶる。母が相手だったからだろうか?その本音のせいで、心を縛っていた鎖が緩んだ気がした。


「片葉」


 母は俺の名前を呼んでソファーの隣に座る。


「ごめんね。私の軽率な行動であなたに尻拭いをさせた。本当にごめんなさい」


「今更です。それに付いて罪悪感があるなら!俺のお願いを聞き入れて下さい!」


「わかったわ。縁談をぶっ潰すのね?具体的にはどうするの?」


「母子の関係になる」


 彼女は一度うつむいて笑顔を見せた。


「片葉。あなたは策士なのか後先考えていないだけなのかわからないわ?あなたの今のお母さんと妹には迷惑がかかるわよ?」




 俺の出自の生い立ちを話しておこうと思う。

 原因取ったほうが正しいだろうか?宝生清子の旦那である宝生源武は秘書である一般女性と不倫をした。

 宝生清子はそれを知り、友人であった月宮片名にすがる。

 宝生源武と秘書との間に子供が宿ったのが知り、宝生清子は張り合ってしまったらしい。その時に宿ったのが、俺だという。

 秘書は子供を産んだ後、罪悪感に駆られ、自殺をしたらしい。残った子供を宝生家の娘として受け取った。

 俺はまず、宝生家にいられなくなった。まぁ、どちらにしろあの頑固な俺の父は何が何でも引き取っただろうが。




 現在、宝生家には不倫で産まれたのを含め、3人の娘がいるらしいが、俺は未だ誰とも在ったことがない。


「迷惑……かぁ」


 俺は目を細めて理事長を見つめた。


「明流は、俺に『好きだ』と言ってきました。それは勿論嘘です。好きでもなんでもない男と付き合ってまで嫌がっているらしいです」


「本当にそうなのかしらね?本当に好きだったのかもよ?」


 突然母親の口調に戻る彼女は優しい眼差しを向けてきた。


「それはありえません」


「自分の感情もわからないのに、よく他人の感情がわかるわね?」


「――自分に向けられた心情がどういうものかくらい予想できます」


 言い訳が割りと早くでた。確かに言われてみれば、どうして明流が好意を持っていないと決めつけてしまったのだろう?


「手っ取り早く、あなた達が付き合えばいいなじゃないの?」


「え?」


 俺は理事長の不敵な笑みを見て、考えが揺さぶられてきた。




 教室に戻り、机に頭を乗せて考えた。

 明流は俺のことが好きでもないのに交際を申し込んできた。俺はそんな彼女の態度に耐え切れずに断った。

 普通、人間と言うのはどうしたら交際をするものなのだろうか?一方的に好きだと相手の思いを蔑ろにするから、恋仲にはならない。両想いになるのはかなり大変だと思う。まぁ、それくらい気があっているから付き合うのだろうが……。待てよ?気が合うから恋仲になるということなのか?男女間での共感は恋愛に発展するということか……。仮に俺が明流の事が好きになって、付き合ってくれと申し出でも気が合うわけじゃないから交際にまでは発展しないのか……。


「片葉さん!」


 真希奈がノックをして入ってきた。俺は頭を上げて彼女の表情を確認する。夕日が彼女の正面に当たり、はっきりと映る。


「片葉さん。初勝利、おめでとうございます」


「ありがとう。真希奈」


「今日こそ、一緒に帰りましょう。話したいことがいっぱいあるので」


 無邪気な顔を見て良からぬことが脳内を浮遊した。



              ――5.決闘 完――

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