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雷霆の神使と白皮の魔人  作者: 堕罪 勝愚
2章 角馬の聖女
17/51

15.恐喝

 昼休みになり、俺はメンバーを記入した紙を片手に転送室に走り込むみ、受付の先生に紙を渡し、俺は食堂に帰還した。


「滑り込みで受け取ってもらったよ」


 俺は明流と瑞香のいるところに座る。


「お疲れ様です。態々頼んで申し訳ありません」


「ああ。で、次は何の対策を決める?」


 ある程度書かれたルーズリーフに指を向ける。


「じゃあ、現役火消し部ね」


「ああ。その後は沙弓達も」


 紙に名簿の様に名前、バレットを記載する。


「遥先輩は……片葉さん、戦闘経験有りましたよね?」


「あるけど、タナトスの対策は未だ講じてない」


「知識だけなので対策を伝えるのは難しいです。瑞香さんは火消し部の情報は知ってますよね?」


「うん」





 経盛東郷。バレットはリコシェとグレネード。専用神器は【アレース】。形状はトンファー、旋棍で、持ち手と棍の付け根にリボルバーが付いていて元は拳銃のシングルアクションアーミーを改造させた武器らしい。接近戦に、近距離射撃戦など幅広い戦術を織りなす。

 白銀万里花。彼女のコアグリップは量産型突撃銃。89式小銃だ。銃口マズル銃床ストックを長いパーツに変え、アンダーバレルに三脚のついたマスターキーが付いている。全バレットを扱えるのだが、銃を変えること無く応戦出来るらしい。

 彼ら火消し部と土屋、火狩、沙弓達との対策を考案するので約2時間。すぐに訓練開始時刻になってしまった。

 そして、俺達3人が転送された場所は何故かビルの中。窓付近で、外を見ると3階と思える距離。スナイパーの明流には都合はいいのだが、前衛の俺と瑞香に、そして【朱雀】の明流には振りな地位。


「兎に角、移動をしましょう」


「わかった」

 明流と瑞香は振りな場所での戦闘を避けたかったのか、提案を出した。しかし、その意見に賛成しかねる。感覚フィーリングがそれを物語っていて、原因は恐らく、ビルを伝わる振動だろう。


「何か来る。多分、俺達を目視してこっちによってきているみたいだ」


「え!?」

 瑞香は口を抑え驚く。


「先手を取られると厄介だ。窓から飛び降りて退避しよう」


「片葉さん」


「どうした?何か他にいい案があるのか?」


 明流は細々と手を挙げる。


「降りるのであれば、おんぶして下さい」


 俺は彼女の腹に右肩の裏を押し付け、彼女の背中を掴み担ぎ上げた。


「瑞香は?左側空いているけど?」


「怖いけど、遠慮しておく」


 俺達は跳び降りると背後から1人の少女が追跡してきた。

「環奈!?」


「環奈ちゃんでーす!」


 俺は着地し、足からシールドを出し、斥力で衝撃に備える。瑞香はサーベルのシールドを地面に向けて足へのダメージを抑えたようだ。

 彼女は右手に持った短刀を振りおろしてくる。俺は環奈の肘を尺骨部分で受け止め、外側に回し、絡め取る。そして脇と腕で挟み、身動きを取れなくした。環奈は反対側の短剣を突きつけてくるが、腹部に当たる寸前、俺はその場にシールドを集中させ、剣を弾く。

 弾いた環奈の左手は宙に舞う。俺は明流の胸部を俺の背部に触れるように持ち替え、彼女の右太腿を軽く擦った。くすぐったさで明流は足を前へ投げ出す。すると環奈の肝臓を覆う脂肪に強く辺り、彼女は頬に溜まったどろどろした唾液を俺の腹に被さる浅宮のジャージに吐き出した。


「片葉さん。上!」


 俺は右手で明流の右手を掴み、量産型狙撃銃のスコープを覗き、「撃て!」と叫ぶ。ビルには右掌を俺に向けてバレットを放とうとしている少女がいて、それへの牽制をした。その少女はバックステップをするも、右手に溜まっていた魔力の塊が明流の紅い弾丸に触れ、はじけ飛んだ。


「おります!」


「了解。瑞香!ビル内を追跡!」


「わかった!」


「明流、瑞香の援護」


 俺は彼女の耳元で囁く。そして駆け出し、ビルの入口へ入る。


「環奈。俺はどうやら尋問の上手さは経盛先輩のお墨付きらしい。で、君に恐喝をしよう。まず、君の仲間にリタイアするよう言ってくれ」


「断ると言ったら?」


 俺は右膝を付き出し、環奈の腹に叩きつける。今度はベトッとした唾液を俺の腹に吐きつける。


「環奈。もしかしてわざと涎を俺にかけてる?」


「っぅぐ!さー。どうでしょうね?」


 彼女は苦しみながらも力を振り絞り立っている。


「後2回、いや、3回か。忠告しよう」


「3回?そんなに猶予を与えていいんですか?」


「うん。君の仲間に降参するように伝えてくれ」


 俺は乾いた声で囁く。そうすることで余計に反感を買うのは知っている。環奈の性格からして絶対に折れない曲げないだろう。


「嫌です」


 俺は環奈の浮いた左手を右手で掴み、持ち前の握力で橈骨と尺骨を折った。すると押し殺した様に悲鳴をあげた。


「俺、サドなんだ。環奈、次はどこを折られるか想像しながら歯向かってくれよ」


 冷たい笑顔を作り前かがみになった少女を見下ろす。父親に教えられた。敵を尋問、恐喝する時はとことん恨まれるように行なえと。それは最終的に恐怖に依る支配を望めるからだ。


美生みお花蓮かれん!片葉先輩を倒せばこの人達の戦力は激減する!殺せ!」


 彼女は腹から声を出し、精一杯叫ぶ。俺はそれを見て高笑いで返す。そして左手の締め付けを強くして環奈の上腕骨を折った。


「確かにそうだね。でも、君が居なかったらそっちのチームの戦力も激減するんだろ?」


 俺は手を離す。彼女は歪んだ顔で咳き込み、地面に崩れ落ち、転送された。

 俺はビルに入る。紅炎と白光りが踊り場の壁を反射するため、俺はすぐに足を運ぶことが出来た。

 そこでは4人の少女が乱戦をしていた。

 敵の刀を持った少女は下段からの切り上げをする。肉薄していた瑞香はそれを回避し、盾を突き出す。もう一人の敵影はダガーを空中で操作し、瑞香に突きつける。それは紅色の線に触れ、砕け散る。

 敵の前衛と瑞香が一旦距離を置いた隙に俺は間に割いる。敵少女は刀を右手に持ち、反対側の掌を裏拳のように薙ぐ。すると、魔力がバチバチと線香花火のような音を立ててこちらへ向ってくる。俺は跳躍して回避し、天井に手を触れ、バネの様にはじき出し、飛び蹴りを食らわした。敵の少女はそれを刀でガードする。一瞬停止した俺の斜め45度の位置には三角形を作る3つのダガーが回転し、真ん中からバレットを撃ちだしてきた。回避が間に合わず、俺の右の太腿を貫通する、それはスナイパーのバレットそのものだった。

 蜈蚣が俺の血管を這うような感覚に襲われるも、俺は左脚で着地し、すぐにジャブを敵少女の刀を持つ手に当てる。その少女は力に押され、後方へと跳び出した。

 その為、景観がよくなり、ダガーを操作する少女の顔が目視出来た。


「鼻血?」


 そう。彼女は鼻血を垂れ流しながらダガーを操作していたのだ。


「なるほど、手一杯だったの?」


 俺は左脚を軸に前方に屈んだ途端、その少女は紅い線と共に光のように消えていった。

 最後に残った刀の少女は手を上げ「降参します」と言って消えていった。


「片葉さん。足から血が垂れてます!大丈夫ですか?」


 明流は心配してくれて駆け寄ってきた。


「辛い。ヌメヌメして気持ち悪い」


 足は真っ赤に染まっていて、俺は半ズボンをまくり、穴を見せる。肉が抉れて出血が止まらない。念のため俺は壁に寄りかかり、足を伸ばして腰を下ろす。


「――えっと」


「明流。炎を半径5センチの円を作れる?」


「出来ますが……まさか?」


「焼灼止血法って知ってる?熱い鉄板押し当てて火傷させて血を止めるやつ」


「……わかりました」


 彼女は自分の和服の袖を噛みちぎり、俺の口に突っ込む。俺は篭った声で「何?」と訊く。


「噛んでいて下さい。痛みが和らぎます」


 彼女はそう言って炎を指に溜め、傷口に触れる。それでも目をそらしているようだ。俺は袖を口から離した。


「明流」


「か、片葉さん?痛くないんですか?」


「うん」


 ある程度終わり、俺はうつ伏せになり、反対側の傷を見せる。貫通しているので穴が2つある。


「こっちも」


「は、はい」


 再び熱が俺の身体に走るが、苦ではない。


「ありがと。よりによって、最初に遭遇したのが対策を立ててない子達何だよな…。あの火炎放射みたいな白光りは何だ?」


「坂上花蓮さんですね。バレットプログラムです。【プロメーテウス】です」


「で、最も気になったのは浮いたダガー。あれの原因はなんだ?」

「【アネモイ】と言う神器です。彼女は沢木美生さん。シングルによる【キュアリングブレード】を空中操作させたり、スナイパーを遠隔からでも射出出来る魔力調整力と集中力がある彼女にふさわしい武器ですね。ただ、さっきみたいに集中力が少しでも乱れると…鼻血を出します」


「そっか。固定砲台ってわけか。あれじゃ防衛や奪還に向かないね。きっと審査で落ちるよ」


 俺は立ち上がり、足首のバネで軽くジャンプを3回する。


「よし。行こうか!」





 この訓練の正解はなんだ?俺はそれを探しながら周りを警戒し、明確に決まっていない行き先を目指し浮遊している。

 ビルの上から明流を護衛するように歩いている俺と瑞香。地面に目を置くと、俺の視界に2人の男が写った。

「あれは……」

 1人は大剣を握っていたので土屋と分かる。あいつが戦う所を見るのは初めてで好奇心が湧いている。その上、火狩が隣にいるのだ。


「見える?」


「はい。先手は……」


 明流は構えてスコープを覗こうとするが、俺は平手で視線を遮る。


「待った。此処で奴らを倒しても沙弓の進行を食い止められない。俺が教えた対策通り、彼女を探し出し、2人で抑えてくれ」


「もしかして片葉さん……1人で2人を抑えるつもりですか?」


「駄目だよ片葉!」


 2人は不安の目を見せる。それが俺の反骨精神を増幅させた。俺は親指の爪を前歯でキリキリと音を立てて噛む。


「ふぃい!」


 息を吐き出すと不思議な音がなり鼓舞に繋がる。


「ねえ、やらせてよ!」


 右拳と左掌をぶつける。


「片葉さん。意外と我儘ですね。そういう所も好きですよ。さて、瑞香さん。私達は行きますよ」


「なんで?片葉がそこで好き勝手動いて私達がピンチになったらどうするの?」


「後で片葉さんを好きなだけ攻めればいいじゃないですか」


 地味にプレッシャーを掛けてくるんだよな。この子。

 俺は明流の頭に手を置き、前髪を上げ、おでこにキスをした。


「きゃ!」


「ありがと」


 俺は静かにお礼を言う。

 そして俺は駆け出し、ビルを飛び降り、正面から突っ込む。

 土屋は前に出てきて剣を振りかぶってきた。俺は突発的に停止すると彼は手首を捻り、刺突に切り替え、突き出してきた。俺は右に身体を回転させて胸ギリギリで回避するも敵はすぐに引き戻し、バックハンドで切りかかる。

 大きな剣なのに片手で軽く動かせる姿が違和感だ。

 敵の剣を屈んで回避すると、仰ぐように持ち替え、剣がすぐに斬り下ろされる。俺は瞬時に後方へ跳んで退くが、俺の右隣から火狩の【グングニル】が向ってくる。俺はそいつを飛び込み前転をして避けようとするが、空中で土屋の腹目掛けて回し蹴りを放つ。しかし、土屋はそれを読んでいた様で【フロッティ】の側面部でガードする。俺は敢えて弾かれ、火狩と土屋から距離を取った。

 しかし、火狩は追撃を撃ち込んでくる。その槍の3連突を回避するもコンクリート片がこちらへ飛んでくる。反撃しようと試みるが、左側から軽い剣撃が水平に薙ぐ。それを屈んでやり過ごす。気を抜いていられない、火狩は左手で盾を展開したと思いきや、そいつが爆発する。俺はシールドの斥力で爆風に吹き飛ばされる。崩した体制の状態で傘のように縮まるシールドはすぐに針になり、俺に突っ込んでくる。

 俺は地面に両手を付け、リコシェを5発発射し、ブーストして空高く飛ぶ。

「何!?」

 火狩は驚くが、土屋はすぐに、仲間の背中に足を乗せ、跳び、追撃を放ってくる。空中で俺はバレットを掃射した。土屋は剣を爆発させて地面に戻る。火狩は盾を展開して攻撃を防ぐ。弾丸は地面を砕きながら反射し、爆竹のように音を立てて暴れまわる。


 さすが精鋭2人といったところだ。多少弾幕を上げた程度では傷一つ負わせられない。


 俺は両足を伸ばして開き、地面に手を付ける。その動きに警戒したのか、前衛である2人は攻撃をしてこない。


「どうした?来ないのか?」


 俺は挑発的に下から見上げ、2人に脅しを食らわす。


「怖くて近づけるわけ無いだろ」


 火狩は笑い飛ばすように言葉する。


「あっそ!」


 俺はクロスさせた両手で立ち上がり、足を時計回りに振り回す。遠心力で身体が回転する。その足の裏からは波紋が広がり、プログラムバレットが飛び出た。

 飛び散った弾丸はスーパーボールの様に跳ねっ返り、四方から火狩と土屋へ襲いかかる。

 勿論、俺にも飛んで来るのだが、俺は並外れた触覚を活かし、そいつらを回避していく。

 敵は防戦一方。俺は足を地面に着くと同時にバレットを撃ち出し、足の裏と数回バウンドさせ、ブーストし、突進した。

 隙の大きい土屋に向けて、俺は左フックを繰り出す。こめかみに辺り、光を放って消えていった。


「火狩、ラストだ!」


 俺は腕を戻す反動を利用し、右足を回したローキックを打ち出す。

「負けるか!」

 火狩は気合の怒号を鳴らし、シールドを張る。激突した右足と火狩の大盾。俺は地面に付いた足からバレットを出して浮き、左脚でローリングソバットを繰り出し、火狩をよろけさせるが、火狩はシールドに1筋の波紋を作り出した。グレネードが繰り出されると重い、俺は斥力を強めて距離を取る。


「月宮、お前キックボクシングをやってただろ?」


 火狩はサーベルをしまい、グングニルを構える。


「そうだな。正解だ」


「ああ。で、インファイター。だから俺は、この槍で効果的に攻撃させてもらう。リーチはこっちが上だからな」


「俺はバレットでリーチを補うぜ?」


 俺と火狩は距離を詰め、一瞬で肉薄する。俺は右膝を付き出した。火狩は俺の左に回り込み、槍を突き出してくる。俺はそれを屈んで回避し、敵はそれを叩き落としてくる。地面に手を置き、捨てるように弾丸を弾き、ブーストする。

 そのまま俺は逆立ちしてブレイクダンスの様に身体を回転させてから体制を戻す。火狩は距離を取り、左手のサーベルを突き出してくる。俺はそいつをバックステップで回避し、槍の間合いよりも距離を取る。追撃を防いだのだが、グングニルの刃が目の前にやってくる。その行動に俺は一瞬硬直するも、白い波紋が広がる。俺は焦りながらもシールドを貼ってショットを防ぐ。防いだはいいものも、魔力片が俺の肩に刺さり、血が垂れてくる。俺は火狩の槍を握る。

 すぐに火狩は俺の左目に向けてサーベルを突きつけてくる。俺はそれを首を傾げて避け、槍を軸にミドルキックを放った。しかし、火狩は槍を離し、俺の身体は地面に落ちる。そのまま腕を軸に蹴り上げた。火狩の足をすくい上げ、倒した。

 火狩はゴロゴロと転がり、距離を取り、立ち上がってすぐに走って逃げられる。

 倒れたまま俺は仰向けになり、腕で目を押さえる。


「くっそ!格闘で負けた!」


 悔しい以外の感情が無い。俺は立ち上がり、両手で頬を叩く。


「勝つ!次は負けない!」


 俺は駆け出し、火狩を追う。




 ビルに駆け込む火狩の後ろ姿を目視した俺はそれについていく。


「くっそ!ついてくるなよ!」


「ついてきてほしくなきゃ逃げんなよ!」


 火狩はシールドを貼り、突き出してきた。俺はブレーキを掛けることが出来ずそのまま突っ込むも、足を付き出し、盾を前蹴りで弾く。火狩は後方へと投げ出され、ゴロゴロと転がる。


「相性は、俺のほうがいいんだけどな」


 立ち上がりながら火狩は両手にサーベルを握り、呟く。グングニルを置いてきたので、やつは丸腰に近い。


「月宮の身体能力、【蝗害】よりも高いんじゃねーの?」


「その理屈だと、俺、化け物じゃん」


「はぁ。全く、強いとは聞いていたんだが、相性まで覆されると自信なくなるよ。俺の努力は、お前の才能には敵わないんじゃないかって」


「いや、俺に才能はない。まー、かと言って努力をしたかどうかと言われるとそうでもないかも」


「っけ!言ってることはムカつくけど、なんか恨めないな」


 火狩は笑いながら言葉する。


「まあ、親の努力なんだよ。俺の小さな…小さかね―か。この背中には父親の期待と呪いが伸し掛かってんだよ。まあ、後でゆっくり話そーや。今はお前に飲まされた苦杯を吐き出して拭いつけてやる!」


 俺は突撃し、ブーストで軌道を変え、火狩の右側面に写り、後ろ回し蹴りを放つ。避けなければ後頭部に直撃する。火狩は盾で爆発を起こし、俺の右目を横に反対側に移り、サーベルに依る追撃をする。俺はブーストで空に上がり、天井に手をつく。そして握力で天井の壁に穴を開け、握り、対空する。その状態のまま、俺はリコシェとファイアのバレットを雨の様に降らせる。


「だから、なんで足からバレットが出るんだよ!」


 火狩は盾で防ぎながら言葉する。バレットは床、壁、天井を跋扈し、火狩へと襲いかかる。俺は腕を突き放し、万有引力に従い、火狩の盾へと足を叩きつける。火狩は地面に膝をつく。そのまま俺はブーストして火狩の盾を足場に天井へ張り付き、再び、足の裏を叩きつける。


「があ!」


 ポキと言う気持ちのいい音と火狩の拙い悲鳴が混じる。きっと、火狩の足が折れたのだろう。俺は一旦下がり、今度はハイキックを撃ち、シールドを弾く。そして、俺は足を火狩の首に突きつけ、「チェックメイト」と宣告する。


「室内で飛び散るリコシェは使用者にも危険が及ぶんだ。だから避けてくると思ったが、まさか一寸の躊躇もなくうちはなってくるとはな。降参だ」


 火狩は両手を上げ消えていった。


「はぁ!疲れたな」


 俺はそのまま壁により掛かる。


「お疲れ様です、片葉さん!」


 明流の声が聞こえ、俺は振り返る。


「ああ…」


 俺は相槌を打つ。彼女が持っている銃がユースティティアになっている事に気づく前に、俺は彼女の怪我の様を見て愕然とした。そして、何も考えず、彼女の頭に手を置き、その頭を俺の胸に圧しつけた。



                 15.恐喝 完

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