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私と文字 インタビューズ 第二回

作者: 又野克明

――――夜雨さん、本当にお久しぶりですね。


 お久しぶりです。また御目にかかれて光栄です。その文字を見る度に、いや、自分で書く度に、やはり、ふうんと思うようになりましたね。


――――夜雨さん、これだけは言わしてもらいますが私は「文字」です。勝手にされちゃ困ります。


 分かっております。あなたとは楽しくやりたい。そういう心情にかられるところがあるんですよ。


――――ところで、「夜雨」さんという名前に戻ったんですね。なぜなら、あなたは始めに夜雨直樹という名前で、私とこの『わたしと文字』という作品の第一回で対談しましたよね。その後、→あるちゅーる・らんぼー→ブエノスアイレス君→金古光晴という名義に変わり、最後にまた夜雨直樹に戻った。それはなんでしょうかね、この名前の遍歴が何かあなたにもたらすものがあったのでしょうか?


 いや、何もないですよ。ただ、やっぱり戻るべき巣に戻ってきたと言いましょうか、夜雨直樹という名前は創作のモチベーションも最適だし、そういう意味では愛着のこもった特別なニックネームなのかも知れませんね。


――――まあ、余談はこんなもんにしまして、早速本題に入りたいと思います。実は今日のテーマはね、「いじめ」の問題について何かあなたと可能性というものに行き着きたいとそう考えています。


 いじめの問題。もちろん、いじめられている方を助けるための話し合いですよね。しかし、この「いじめの問題」と言う時、何か嫌な雰囲気に包まれます。それは「いじめ」という言葉がそれを行うという意味であるからであり、何か違う言い方がないものかと非常に憤ります。


――――そうですね、この問題に明るい結論などないんじゃないかと思いますよ。しかし、それでも語らなければならない。失敗しようが、悪い影響を与えようが、語る権利があなたにもあるでしょう。そう、あなたはかなりの「いじめ」の被害者であるのですからね。とりあえず、被害者の観点から何か言って下さると助かります。


 被害者の観点から、何かを語るとすれば、やはり加害者の観点などないという思いはあります。つまり、やっぱり、被害者の気持ちしかそこにはないわけで、いじめはいじめる方が悪い、いじめられる方は悪くないとはっきりと言えるところはあると思います。


――――それは本当に本当にそれで正しいのですかね。


 確かに、今になって考えてみると、自分をいじめた不良たちがかわいそうで不憫だと感じないこともない。しかし、それは逆に私の被害者としてのプライドですね。一生、恨んで生きていくのも、心の中で情けないものがあるし、しかし、もしそいつらが俺とゲーセンかどこかで会いたいと言われても、僕は会わないと思います。


――――それはやはり、いじめる方が悪いというお考えがあるからですか?


 僕はね、「いじめ」の問題は全て被害者を助けるための問題だと思っています。ここを間違えると、もう終わりだと思っています。いじめはたぶん世の中の問題の中で一番、重大な問題だと考えています。政治家だって、学校に行って、調査したり、アンケートとったりして、この問題に取り掛かって欲しいぐらいです。わけの分かんない問題をやるより、ずっと重要です。


――――この問題の要の部分に入りたいと思いますが、それではどうやったらいじめはなくなると思いますか。それが難しいならば、それがなぜ起こるか教えて頂けませんか?


 現時点でいじめが壊滅するような解決策は僕はないと思っています。それをあると言うことは現在、どこかでいじめられているかも知れない子供たちに失礼に当たると考えます。しかし、解決策とはとても言い切れませんが、学校に警察署を置くという考えはどうでしょうか。何か嫌なことが発生すれば、そこに飛び込めば良い。または、警察が見回りに行くということもあっていいでしょう。警察の人は正義感が強いので、きっと味方になってくれると思うんです。

 そして、いじめがなぜ起こるかですが、やっぱりいじめをする人間がいる。いじめが好きな人間が存在するんです。それは男の方が多いかも知れませんが、結局は女も同じことで、男のいじめっ子を応援しだします。そして、男のいじめっ子が、女のいじめっ子にモテだすんです。そう、モテるから、男の方もやめようとはしないし、とまあ、僕の経験からすればそうだったなあと思い起こします。


――――うーん……。例えば、学校に警察署を置いたら、本当にいじめが無くなるのでしょうか?


 いや、それはないと思います。ただ、それぐらいしたら、何かが変わるんじゃないかって気がするんですね。あくまで小さな案であって、本当の解決策にはなり得ないのですがね。だから、最初に言った通り、いじめは無くなる性質のものではないんですよね。遠い未来でも、無くならないかも知れない。というのは、例えばいじめで命を落とした少年は、今いじめが無くなって、浮かばれるのだろうか。命を落とした少年の気持ちは今もこの先もずっと浮かばれないですよ。だからこそ、私はいじめられている子たちに解決策など提案することはもっての外だと思っているわけです。なので、そのままでいいから、やられてていいからと言ってあげることしかできないんです。でも、やられることは美しいことです。それは絶対的です。そのことを言ってあげることが、今の私にできることなのかなと思います。


――――最後に今の中学生たちに向けて何か一言お願いします。


 一言、ではなくて、少し長くなります。とにかく、今、いじめを受けている方々はそれを受け入れて下さい。それは堪えるという意味です。それは自分をいじめられっ子だと認めるということです。それをすると、もうあいつのせいにしようとか、こいつのせいにしようとか、モテなくなるとか、あいつがモテるとか、思う必要はなくなるでしょう。そういうことを思ったり、言ったりすると、余計にやられますね。私の経験からです。そして、いじめられても、私のように結婚をしている男性もいます。そして、これは重要です。絶対に死ぬなどとは考えないで下さい。死ぬのだけはやめて下さい。その時、いじめられても、その後に(ずっと後かもしれないけれど)平穏無事な人生が訪れるはずです。私もそうでした。人生は楽しいです。本はもちろん、音楽、ファッション、映画、ネット、飲み会、なんでもあります。そういうのをゆっくりと味わえる期間が、社会人の期間です。どんどん前に進みましょう。道はあります。以上です。

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