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小説の書き方(1) ~僕の考える小説のコツ~

 特に読者層を決めず徒然なるがままに筆を走らせる、このエッセイ。

 今回は「僕の考える小説のコツ」を御題目にすえてみた。

 稚拙な作品しか書けないくせに身の丈に合わない御題目を選択したと自分でも思うのだが、この選択にはそれなりに理由がある。

 僕が主張したい点はとりあえず置いておき――決して文字数を稼ぎたいわけではない、ものには順序というものがあるのだ――皆様は小説になにを求めるだろうか?


 ストーリー性?

 描写?

 キャラクター性?

 リアルさ?

 躍動ある感戦闘シーン?


 少し上げただけでもこれだけある。上げてみた要素に文学性やメッセージ性のような純文学的要素を加えると更に切りがない。それはそうだ。人の好みは多数であり決して一つではないのだから。

 ランドセルの色がフルカラーから選択できるこの時代。赤と黒の二色だった頃は遠い昔の出来事である。仮面ライダーですら今は複数登場する時代、一人で番組を張っていたのは昔の話なのだ。

 作り手の想いを押し付けず多様性の確保こそ時代のニーズであり、それは小説すら例外ではないだろう。


 登場人物の多様性は、別に今に始まった問題じゃない?

 いまごろ気付いたのか、馬鹿なのかこいつは?


 結論をいそいではいけない。慌てる乞食は貰いが少ないのだ。

 主要登場人物は多くの作品において4、5人程度ではないかと僕は思うのだが――戦記のような大量に人物が登場する作品はこの際除かせてほしい――読者として初めて作品を読んだ時、誰が誰だか分からなくなる。或いは読者からキャラの書き分けが出来ていないと感想を受けたが作者的には違いが理解出来ているのに、などという経験はないだろうか。


 これは作者と読者の認識にギャップが発生しているのが原因ではないか、と僕は考える。


 作者は執筆する過程で何度も作品を読み直す。一方、読者は一度しか読まない。仮に作者が100回読むとしたら読者は1回に過ぎず両者の差は明白である。作者が最大の読者という面は確かにあり、ある意味ヘビーユーザーである。一方、読者はライトユーザ―。何度も読み直してくれる方はヘビーユーザーになってくれるかもしれないが、最初は誰もがライトユーザ―なのだ。


 なろう作品に限らずプロのライトノベル作品を読んでいても気になるのだが、キャラの名前が覚えられず何度も最初に戻った経験はないだろうか?

 複数の人名が登場するが違いが認識し切れず頭に入って来ない、という経験が僕はある。ある程度読んでいけば覚えられるのだが煩わしい事この上ない。10代の若人なら一回見るだけで覚えられるかもしれないが、一回や二回、目にしただけでは人名が直ぐに覚えられない人もいるのだ。

 主要登場人物が多ければ尚更だ。

 なろう作品は最初のページに登場人物紹介と挿絵がないのだから、この傾向に拍車がかかるのは致し方ないのかもしれない。


 いや、名前の付け方に問題があるのだと僕は主張したい。

 一例を上げてみよう。


 アエラ、シルヴァ、シエナ、システィーナ、シャーナ。


 この5人が主要登場人物だとして違いを認識できるだろうか。僕は混乱する。試しに嫁さんに聞いたところ主要登場人物の一人だと判断して区別を諦める、とか。それはそれで有りな読み方だとは思うけれどキャラの多様性という観点から考えれば、些か首を傾げるしかない。

 誤解をして欲しくないのだが、アエラ、シルヴァ、シエナ、システィーナ、シャーナという名前の5人が主要登場人物の作品があるのかは僕は知らない。あくまで極端な例である。


 何故、この名前が認識しにくいのか。

 第一に、5人中4人までが「シ」で始まる文字だからである。

 仮に先頭文字を適当にアイウエオ順で入れ替えてみよう。


 アエラ、イルヴァ、ウエナ、エスティーナ、オャーナ。


 少しは認識しやすくなったのではないだろうか。キャラの名前は作者の愛もあるのだろうが、ライトユーザ―である読者が認識しやすい名前を付けるべきではないかと考える。

 これこそが、「僕の考える小説のコツ」である。

 一例だけでは抽象論だけと指弾されかねないので、僕が考える名前を付けるルールを公開しよう。偉そうなことを言っているが元々TRPGの経験から導き出したルールなので、小説のために考え出しいたルールではない。


(1)、キャラの名前は基本3文字から4文字。

(2)、ァ、ャ、ュ、ョ、ッのような発音しにくいキャラは出来るだけ少なくする。そうすることで他のキャラクターとの差別化を図る。

(3)、「ー」と伸ばす形式の名前は一人に限定する

(4)先頭文字は同じを文字を選択しない

(5)同じような音は避ける



 僕の作品「ガイスト・クライス~その者達、冒険者にして盗掘者~」の主要登場人物をこの例に当てはめてみる。


 エル、シーラ、マックス、ファルシア、そしてヴァハの5人。


(1)はエル、シーラ、マックス、ヴァハが該当し、(2)はファルシア、ヴァハが該当する。

 さらにシーラは(3)にも当てはまる。

 

 文字数で細かく分けてみよう。


 エル、二文字。

 シーラ、三文字。

 マックス、四文字。

 ファルシア、五文字。

 ヴァハ、三文字。


 同じ3文字であるシーラとヴァハは、(2)、(3)、(4)のルールを適応したことにより誤認される確率は少ない。

 僕にとっては普通の行為なのだが、なろう作品を拝見しているとそのように考えている方はそれほど多くないのではないかと疑問に感じたので、今回の御題にすえてみた。

 ラテン系、スラブ系、ドイツ系等によって分けるという手もあるのだが、主要登場人物達の名前がそれぞれまったく異なるのは作品の根幹に関わりかねない。

 仮に主要メンバーを次のようにしてみる。


 クリスチャン、ンクンダ、ハルトマン、イブラヒモビッチ、プーシキン。


 素晴らしいくらい民族性を無視した構成であり、ある意味グローバルな構成だとは思う。現代作品や戦争モノなら有り得るだろうし、SFなら国境の概念が破壊されたという描写を強調するためには効果的かもしれない。だが、少なくとも中世ファンタジーには即さない。

 世界観や雰囲気に関わりかねないので内容に合えばいいのだが、そうでないのならお勧めはしかねる手法には違いないだろう。

 


 尚、あくまで僕が考えるルールであり、こうでなければならないと押しつける意図は毛頭ない。ただ、こういう考え方もあるのだと御理解して頂ければ幸いです。



 最後にもう一度言わせてほしい。

 最初は誰もがライトユーザ―なのだ、と。

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