国際情勢を適当に分析してみる(6) ~2019年イギリス総選挙(上)~
特にターゲットにする読者層を決めず徒然なるがままに筆を走らせる、このエッセイ。
今回の御題は「2019年イギリス総選挙」である。
現在イギリスが置かれている状況は、非常に興味深い。他国の混乱をみて、興味深いと感想を抱いてしまうのは不謹慎かもしれないが、そこは国際情勢に興味がある人間の性と諦めてほしい。個人的にはトランプの弾劾問題よりよっぽど面白いし、おそらく近い将来教科書に載る話題はこちらなのだ。
どちらに注目するかなど愚門であろう。
この一大政治イベントを、素人見解全開で適当に分析していこうと思う。
尚、僕はジャーナリストでも国際政治学者でもない。そのため的外れな指摘をするだろうが、「分かったふりをして、また馬鹿な主張しているな」と笑いながら流してもらえると助かります。
◇
既に結果は世に知れ渡ったが、2019年のイギリス総選挙は、保守党の歴史的大勝利であった。
労働党は解散総選挙を渋ったが、離脱反対を主張する自由民主党とスコットランド国民党がジョンソン首相が同調したため、嫌々ながらも選挙に引きずり出されてしまう。
某国際通信社が報道した選挙前日の世論調査では、保守党支持42%、労働党36%、自由民主党とスコットランド国民党は12、3%くらいの数値を報道していたと思う。
最初に告白しよう。
今回の選挙について僕なりに予想をしたのだが、その予想は外れている。
大きくではないが、外れは外れだ。
毎日のように海外ニュースを観ていると、日本のマスメディアでは報道しない論調や現地の声が聞こえてくる。一つ一つは差して大きな声でないが、注意深く聞いていると一つの方向性が見える。その所感と比較すると、労働党の支持率が36%という値は、些か高すぎる気がしていた。
理由は四つ。
その弌。
マスメディアというのは兎角リベラリズムに肩入れしがちであるため、自らのフィルター越しに物事を観てしまうという点である。ちなみにそれを指摘しているのは僕ではない。某国際通信社が、自らで配信している動画で語られているのだ。マスメディアが自分で認めてしまう程、多少のフィルターがかかるのだろう。
故に労働党への支持36%という数値は、多少割り引いてみる必要があった。
その弐。
労働党を率いるジェレミー・コービン氏という人物に対する忌避感が、数値に現れていない点である。
気がするという程度の違和感であるが、無視できない要素と思われる。
コービン氏は、労働党内でもかなり左寄りの人物で知られている。その主張故に熱狂的支持者も多いが、眉を顰める労働党議員も多いらしい。現に2016年9月24日には、彼に反発する労働党所属議員によって、党首選の再選挙が行われる事態まで発生していた。もっともコービン氏はにとっては幸いなことに、党員達は彼を支持したため党主の地位を維持している。
これは労働党内においてすら、コービン氏を忌避する人物が少ないという一例であろう。
党主への忌避感は、労働党への忌避感へと繋がりやすい。
事前調査の数値は、この要素を過小評価しているように僕には思えた。
その参。
今回の選挙はブレグジットが大きな争点であるが、労働党はこの争点について明確な主張を打ち出してこなかった点である。
保守党と労働党は共に、離脱派と残留派の二派を党内に抱えていた。この話題に触れることは、党に深刻な亀裂をもたらしかねないが、住民投票以降の保守党は、メイとジョンソン両氏が住民投票の結果を重視する方針を前面に打ち出した。両氏の判断が正しかったかは、歴史に判断を任せるが、党を二分することを厭わずに真剣に向き合った点は評価していいだろう。
結果として少なくない離党者が発生してしまうが、党の主張は明確になった。
一方、労働党は再度の住民投票を主張していたが、党が割れるほどの明確な議論を避けてきた。結果として離党者はほとんどいないが、その主張は極めて不明確になってしまった。
労働党自身この点を憂慮していたのか、NHS改革を大きな争点にしようとした。
NHSとは、国営医療サービス事業である。
破格な料金ないし無料で医療を受けられるため、一見すると素晴らしいシステムなのだが、それ故に利用者が殺到するため慢性的な人員不足と財政赤字を抱えている。歴代の政府は湯水のように金をつぎ込み、いまではイギリス国家予算の25.2%も投じられている。それでも不足しているというのだから、抜本的なシステムの改革が必要なことは誰もが理解していた。
労働党の主張はある意味的を得ているのだが、ブレグジットから目を背けているという事実は変わらなかった。
その四。
ブレグジット党を率いるナイジェル・ファラージ氏が、保守党が議席をもっている選挙区には対抗馬を立てないという決断した点である。
離脱派にとっては英断だが、残留派にとって悪夢のような選択。
この決断に党内ではかなりの反発があったようだが、ブレグジットをなし遂げるためだけに政治家をしているファラージ氏にとって、党の躍進よりも離脱派が勝利することの方が重要だと判断したらしい。
この瞬間、ブレグジット党の敗北は決定したかもしれないが、離脱派同士の票の奪い合いによる自滅は回避されたといっていいだろう。
上記から、2019年のイギリス総選挙は、労働党に破滅的結果をもたらすと予想した。
誤解してほしくないのだが、結果が判明してから俺は予想していたと主張したいのでない。ここまでは予想通りであったが、まったく予想外の選挙結果があったと語るために、前置きとして何故そのように予想したのかを描く必要があるのだ。
さて次回は、外れた予想についても語っていこうと思う。




