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バスケ経験者の戯言(3) ~指導者はシュートフォームを弄りたがる~

 特にターゲットにする読者層を決めず徒然なるがままに筆を走らせる、このエッセイ。

 今回の御題は「シュートフォーム」である。

 僕は学生時代にバスケットボールをしていた人間であるが、その体験談を今回は書いてみたいと思う。

 まあ、実業団のトップチーム――当時はプロリーグがなかった――に入団した天才的な先輩は在籍していたが、全国大会の常連校や常勝集団ではないレベルの学校の話だ。

 そのくらいのレベルのバスケ部に所属していた人間の体験談である。



 バスケにおいてシュートとは、勝負を決める決定的要素である。

 当然だ。どれほどパスが正確でディフェンスが優れていても、シュートが一本も入らなければ得点は入らないのだから。よくて0対0の引き分け止まりである。

 このシュートという行為が、想像以上に難しいというのはご存じだろうか。

 

 ボールを正確にゴールにいれるという行為は、究極的には個人の感覚と才能に依存する、と僕は思う。センスと言い換えても良い。どれだけ練習しようとも、センスのない奴にはロングシュートを決めることは出来ないのだ。

「そんな事はない、自分は練習で上達したよ」と抗議の声が上がると思いますが、僕は聞きたい。


 シュートをするときの仰角は? 

 弾頭計算には引力の影響を考慮したのか? 

 ボールを射出したときの力はどのくらい必要か?

 ボールの回転数は?


 多分、答えられる方はほとんどいないだろう。


 ボールを放り投げてゴールに入れる行為は、大砲の弾を発射する行為と似ていると個人的には思う。

 砲弾の弾道計算で著名な人物と言えば、第一次大戦時に従軍したドイツの天文学者「カール・シュヴァルツシルト」博士を思い浮かべる。シュワルツシルト半径で有名な博士が、弾道計算をしていた史実からも分かるように、大砲の弾道計算には高等数学を用いる。一方、バスケにおけるシュートでは、そんな高等数学を用いない。個人の感覚だけでシュートを打つのだ。

 こじ付けかも知れないが、ロングシュートをゴールに入れるという行為がどれだけ難しいかを示す、比較例として上げさせてもらった。

 感覚だけで打っているのだから、何故入るのかなど説明できる筈がないと僕は思う。

 これは僕だけの意見ではなく、バスケのコーチをしている僕の友人に話したときも頷いていた。


 ある意味、職人技と言い換えても良い。


 理想的なシュートフォームは存在する。

 科学的に検証して説明をするのも可能だろうが、それを実践するのは困難なのだ。

 個人の感覚に頼るしかないため練習あるのみなのだが、究極的にはセンスが必要という面があるため練習だけではどうにならないという壁も、また存在する。


 僕は大して上手くはないが、それでも打った瞬間にゴールに入ったと確信できるタイミングは分かる。

 見なくても分かるのだ。

 漫画で神射手が矢を放ったら結果を見ずに背を見せるシーンがあるが、あれに近い。

 多分、僕だけでなくバスケをしている人間なら、似たような経験があるのではないだろうか。科学的な説明は出来ないが、シュートが入る感覚は分かる。それを何度も再現できるかが、シュート確率を左右すると思う。

 結局、感覚を身体に教え込むしかないのだが、これが相当に難しい。


 シュートを打つ感覚は個々人の身体的特徴や筋力、そしてタイミングに依存する。タイミングはある程度状況によって変化するとしても、体のバランスの問題は個人差がある。

 さて、ここで問題となるのが理想的なシュートフォームが存在する点だ。

 個人差があるにも関わらず理想的なシュートフォームが存在するという矛盾があるため、指導者は選手のシュートフォームを弄りたがる。


 少なくとも、僕が接してきた指導者達は皆そうだった。


 シュートは個々人の感覚を依存するのに、他者からシュートフォームを弄られたらどうなるか?

 想像してほしい。

 僕はその結果を、何度も何度も嫌というほど見てきた。

 見てきたというくらいだから、シュートフォームを弄られたのは僕ではなくシュートが上手い連中だ。

 よりシュート確率が上がるようにとの想いだったのだろうが、結果は全て裏目に出た。

 一度自分の型として覚えた感覚を他者のよって弄られたため、精度に狂いが生じる。一度狂った精度はフォーム修正前には決して戻らなかった。

 良好な結果に至った例を、少なくとも僕は見たことがない。

 何年も指導者をしているのだから、他者が下手にシュートフォームを弄ったらどうなるかを経験則で学び取れると思うのだが、彼らが経験則から学ぶことはなかった。或いは経験則というものを知らないのかもしれない。

 結果、毎年のようにシュート確率が低下する選手が量産される現象が発生する。

 不幸な事例である。

 なによりの不幸は、こちらが学生で相手が指導者なので拒否するのが困難な点だ。


 バスケットボールをされている方、またはこれからバスケットボールをされる予定の方には、僕から忠告させてほしい。

 他者が自分のシュートフォームを弄ろうとしたら、疑ってかかる必要があると。 

 時には例え指導者が相手であろうとも、拒否する勇気が必要なのだ。

 指導者は自分が弄った結果に対して責任を持たない。

 あまり指導者の方々を悪く言いたくないのだが、これが僕の経験談なのだ。



 シュートフォームは個々人の感覚に依存し、何故シュートが入るかを説明するのは困難。常に同じフォームでシュートするには、下半身の安定性や空中で静止する能力を鍛える方が効果的だと、僕は思う。一定の感覚でシュートを放つには、体を静止させるのが重要な要素なのだ。

 銃身がぶれた状態で弾丸を放っても命中しないのと理屈は同じで、体が流れた状態で放たれたシュートはゴールに入らない。


 NBAを観ていると、特に分かりやすいだろう。

 彼等はボールを持つ瞬間、正確にフォームを決めて体を静止している。

 流れて打っているように見えても、空中で体を静止させているだろう。


 あとは、ひたすら練習してシュートが入る感覚を体に叩き込むしかない。

 シュートフォームを少し弄ったら格段の向上がみられるほど簡単で、漫画みたいな話しではないのだ。


 その点を踏まえた上でシュートフォームに関するアドバイスを受けた方がいい、と僕は思う。

 役に立つかは分からないが、今回はこんな感じで話しを終えたい。


 では、では。

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