表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/45

スイーツとグラサン男

 特にターゲットにする読者層を決めず徒然なるがままに筆を走らせる、このエッセイ。

 今回の御題は「スイーツ」である。

 いい年した男が「スイーツ」を御題にするのは批判があるかもしれないが、スイーツ男子なる言葉が市民権を得られるようになった昨今なのだ。違和感を持たれる方もいるかもしれないが問題はないだろう。



 僕はラム酒やバーボンのようなキツイ酒をストレートで嗜むが、酒は文字通りたしなむ程度の頻度でしか飲まない人間である。基本甘党な人間なのだ。当然ながら煙草は吸わない。

 ハードボイルド作品を愛するのにヘビースモーカーでないというのは矛盾しているが、不健康とされる要素に投資できるほど僕の私財は多くないのだ。

 レイモンド・チャンドラー氏から怒られそうだが、これが現実。

 世の中は間々ならないものである。

 基本甘党な人間でありチョコレート中毒者と自任するほどチョコレート好き。故に、当然ながらチョコレートには目が無い。いつだったか、上野公園の博物館でチョコレートに関する展示がされた時もその場にいたが、あれは夢のような時間だった。

 財布から金が飛ぶ飛ぶ。


 チョコレートと言えばウクライナで食べたあの味が忘れられない。

 チョコレートと聞いてベルギーを思い浮かべる方が多いと思われるが、ウクライナは知る人ぞ知るチョコレート大国である。

 キエフ行きの飛行機で同席した現地の方が熱弁を振るって教えてくれたので――お互いに熱くチョコレートへの愛を語り合い、終いには自分の国の味を堪能させたいらしく機内食で出されたチョコレートムースも御馳走になった。断っておくが僕も同じモノを機内食で食べているのだが、『いいから喰えよ」と譲ってくれたのだ。僅か数時間で友人になってしまう外国の方のフランクさに、僕が戸惑ったのは言うまでもないだろう――友人となった彼の助言に従い現地スーパーでウクライナ最大のチョコレートメーカー・ロシェンの製品を購入する。

 なるほど、確かに美味い。

 ビターなのだがビター過ぎず甘いのだ。

 海外メーカーの食品を扱っている店で目にしたら、是非購入することをお勧めする。

 時のウクライナの大統領「ペトロ・オレクシイオヴィチ・ポロシェンコ氏」は、ウクライナ最大のチョコレートメーカー・ロシェンのオーナーでもある。ポロシェンコ氏は政治的才能もあるのだろうが、大統領を輩出するほどにチョコレートメーカー・ロシェンに金が集まるのだろう。

 ウクライナのチョコレート事情を示す一例である。

 ああ、素晴らしきチョコレート。



 失礼、話が逸れてしまった。

 見苦しかったかもしれないがチョコレート中毒者故の戯言と流してほしい。

 スーパーのような量販店でスイーツを購入する際は、然して人の目を気にしなくてもいいものだ。男性お断りと言わんばかりの雰囲気を醸しだす店頭販売のクレープ屋での注文は敷居が高い。

 あの地は、僕にとって未だ未踏の地。

 人によっては洋菓子店での購入も結構キツイとの事だが、あれは他の方への御土産だと自己暗示をすれば問題ない。

 明らかに場違いだと思われても、その場で食べなければ証拠など存在しないのだ。正に完全犯罪。

 洋菓子を購入するくらいで犯罪者扱いされるいわれはないのだが、場違いのところに来るなと言わんばかりの空気は結構キツイものがある。


 まあ、普段着が全身黒で統一されているのも、場違い感を助長している面は否定できない。黒一色と言っても濃淡はあるので厳密な意味で黒一色ではないのだが、黒の皮靴に黒のサングラスを見に付けている人間が何を言っても無駄だろう。スーツを着込んでいないためメイン・イン・ブラッグとまではいかないが、あれに近い格好なのは確かだ。

 ちなみに夏になると、脱色するかのように全身真っ白の服装に代る。

 僕の私服の話題などどうでもよい。

 いずれにしても店頭販売のクレープを購入できるようになったのは結婚してからだ。そう、自分で購入するのは諦めて嫁さんに購入して貰っている。ありがたや、ありがたや。

 この服装で女子高生の中に混じるのはかなりレベルが高い行為だ。

 スイーツ男子なる単語が唱えられる昨今、男性というだけで不当な扱いを受けるのはどうにかならないかと常々思う。性別以前に服装を何とかしろという指摘は断じて受け付けない。これは僕のアイデンティティーに関わる問題なのだ。


 大体、このような現状は逆差別ではないか?! 

 自分はただ甘いモノを食べたいだけなのだ。

 店の雰囲気をぶち壊すから男性の方入店お断りと言いたいのなら、店頭にしっかりと明文化するべきである。

 不当な対応には米国の70年代に行われた公民権運動さながらの激烈な抗議活動に身を投じても良いと、一瞬心を迷わせる。

 日本は欧米と違い差別が少ないと思われているようだが、問題視されていない差別意識は確かに存在するのだ。

 この件は、その一例であろう。


 チョコレート中毒者にとって外せないスイーツが、クレープ以外にもう一つある。

 それは「チョコレートパフェ」である。

 生クリーム全開で飾り立てながら、果物の酸味とチョコレートソースとのコラボレーションが絶妙な芸術。

 残念ながらコンビニのなんちゃってパフェでは再現不可能なようで、この芸術を食したければファミレスか喫茶店に行かなければいけない。

 想像してほしい。

 クレープ屋よりはマシだが、かなりレベルが高い行為である。

 嫁さんと一緒ならば問題ないのだが、独身時代からこの偉業を定期的に行っている。

 全身黒一色の服装に黒のグラサンをかけた人物は喫茶店のカウンターでコーヒーを注文すれば絵になるが、チョコレートパフェを注文しては絵にならない。

 僕の美学に反するのだが、チョコレートへの愛は美学を上回るのだ。

 一瞬注文を聞きなおそうとする店員もいなくないが、黒のグラサン越しに睨み付ければ大抵黙る。厳密には睨んでいないのだが、正確な目の動きはグラサンで隠されているのだから分かり様がない。


 この現状に不満を感じ「男性限定のスイーツ店ができないのだろうか」と、以前友人と話しあったことがある。詳しい内容は忘れたが、概ね次のような結論に落ち着いた。

 人目が気になる方のために店内を真っ暗にし、店内では一切喋ることを許されない。シャーロックホームズに登場するディオゲネス・クラブのようなスイーツ店だったら問題ないだろうと。まるで犯罪者か何かの隠れ家のような店を想像したものだ。

 想像は所詮想像であり、そんな店を僕は聞いたことが無い。

 まあ、だからこそ家でこっそり食べられるコンビニスイーツが売れるのではないだろうか?



 スイーツ男子とマスコミが持ち上げるのは結構だが、待遇改善をしなければ業界への貢献は難しい。

 その辺に気を回さず面白半分で掻き立てるのは、所詮話題を作りたいだけなのだろう。

 マスコミに限らず喫茶店や洋菓子店全般に僕は訴えたい。

「売り上げを上げたいのなら味以外でも努力するべきだ。先ずは、男性でも入れるように店の敷居を低くしろよ」と。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ