fight!!
俺は事態が読み込めなかった。
こいつは確か俺の幼馴染みの――――
「鈴架!!!!??」
俺は思わず叫んでしまった。
仕方ないだろ、だって鈴架は俺がゲームしているところを見るたび『キモオタ』だの『廃人』だの言ってきたんだから。
てっきり、こういうのには縁が無い奴だと思っていたんだが、ちょっと違ったようだ。
「遥....いや、これは....その」
鈴架はかなり戸惑っている。
フッ、まあ散々俺をキモオタ扱いしていたお前も同類って事だな。
って、相手が幼馴染みだからってこんなところで時間を食う訳にはいかない。
「まあ後で事情は聞いてやるからよ。
早く始めようぜ。」
鈴架も仕方ないみたいな顔をしながら、戦闘体制に入ろうとする。
『ソレデハ、戦闘ヲ開始シテクダサイ』
その一言で2人は相手に向かって攻撃コマンドを繰り出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鈴架は軽い身のこなしで、パンチを連続で繰り出してくる。
俺はそれをよけつつ、攻撃のタイミングを考えていた。
パンチは、一番ダメージが少ない攻撃ではあるが隙はあまり見せない。それ故に、必殺技が出しやすい。
これは連続コンボでも同じで、屈む体制での脛へのキックや顔にダイレクトに飛ぶパンチを必殺技前に連ねて繰り出す事が多い。
動きが俊敏な鈴架に先制攻撃を奪われて、パンチを連続で受けているという事は、最後に必殺技が出る可能性はかなり高かった。
どうするか――――
考えている内にまた新たなパンチが飛んでくる。
ん?
こいつ、上段2回の中段1回の攻撃パターンに変えてきたか。
って事は……
ガツッッ!!!!
中段攻撃から上段に上る僅かな時を狙って腕に目掛けてキックをかました。
「残念だったな」
「……!?」
重いキックを不意打ちで受け、ふらついたところで俺の必殺技を繰り出す。
コントロールバーではAB上右右左下。
高く飛んで、相手が後ろ向きの状態で頭をつかむ。
そのまま腕力で遠くへ投げ飛ばした。
鈴架はうつ伏せで起き上がろうとしている。
しかし、俺より遠く離れている。
俺は走って鈴架に乗っかる。
ここで重いパンチで仕留める!
しかし、その時。
「あんた、何乗って......!!??」
鈴架は顔を赤くしている。
は?なんだ?なんで顔が赤いんだ?
「この......」
一瞬怯んだ俺が馬鹿だった。
「変態ーーーーーーーーーーーィィィッッッ!!!!!!!!」
ゴーン!!!!
その瞬間、俺のHPは0になってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はあぁぁ.....」
結局、鈴架の好きにさせてしまった。
ということは、俺が負けまくりだったという事だ。
あの後、鈴架の顔は死ぬほど怖く、硬直してしまい――――
その後は察してくれ。
「いや......あの、あれ、」
戦闘を終えた鈴架は、戦闘中の殺気を帯びている様子もなく、また戦闘前のように戸惑っていた。
「もう、別に良いだろ?なんでまだモジモジしてんだよ」
「だって....」
うーん、俺は別に良いんだけど.....つか、気まずい.....
まあそういう事で、遥は初戦で負けてしまったが、今回は仕方ないって事で.....
結局その日は、鈴架を宥めるだけで終わってしまったのだった。