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桜の部屋と選択

書いていたものを2話分にわけてしまったので、5話目一行追加しました。

訂正前に読んでくれたかた、ごめんなさい。

 中央の階段からまっすぐ反対側へ進む俺たちは、今度は突き当たりまで行き、最後の部屋の前で立ち止まると、彼女は振り返って言う。

「ここが私の部屋よ」

 彼女がドアを開けて中に入り、その後に俺が続いた。

 内装は洋風で、隅々まで綺麗で汚れ一つ目立つこと無く、とても広い。

 大型のテレビと正面にソファーが置いてあり、ベッドには屋根とカーテンが付いていた。

「――すごい、お部屋だね」

 俺は、あまりに現実離れした部屋に、ついつい味気ない言葉を漏らした。

「そんなことないわよ、これでもこのお屋敷の中では一番狭いのよ」

 この20畳以上ありそうなお部屋が一番狭いって・・・・・・と、思いながらも、あえて言わないようにした。

「さて、夕食まではまだ時間があるわね、どうしましょうか?」

 彼女はソファに腰掛けて「隣にどうぞ」と言い、俺を座らせてから問いかけてきた。

「そうだな、用事がこんなに早く片付くと思ってなかったからな」

 その発言を聞いて、何かを思いついたように俺の顔を見つめ、彼女は笑いをこらえるような顔をした。

「な、なんだよ」

 俺は彼女の新鮮な顔に、ニヤケながらもその理由を聞いた。

「だって、あの時の紅葉の表情が面白いくて、思い出して笑ってしまいそうよ、くっふふふ」

 彼女は言い終えるまで、なんとか笑うのをこらえていたものの、最後まで言い切ってから笑い初めてしまった。

「いやいや、あれは仕方ないとおもうぞ」

 あの時の事を思い出して、自分を擁護するように続けた。

「桜音の父親が、まさかあんな子供じみたことすると思わないから・・・・・・」

 俺が言い訳している間もずっと笑っている彼女に――

「もういいだろう、勘弁してくれよ」

 と、言うと「ごめんなさい、ふふ」と一度謝罪して、少しずつ落ち着きを取り戻していく。

 最後に深呼吸をしてから、彼女はこう言った。

「今の事でもう笑わないのだから、一つだけお願いしてもいい?」

 彼女は微笑んだまま、交換条件を突きつけてきた。

「おねがい♪」と、顔の前で両手を合わせて、おねだりしてくる彼女の姿にまたしても心を奪われてしまい「――いいよ」と、安請け合いしてしまう。

 このことを、あとで後悔することになろうとは、この時点では想像できていなかった。

「じゃあ、そうね・・・・・・あ、いいこと思いついたわ♪」

 彼女は少し悩み、大げさに思いついたことをアピールする。

「なに?」

 嫌な予感がしつつも、それを聞こうとした。

「それはね――」

 じらすように、微笑んで俺の顔をじっと見つめる。

「今日の夕食会で、『桜音を俺にください!』って言ってほしいわ♪」

 俺の『似てないモノマネ』を入れて、またしても彼女はとんでもないことを言い始める。

 しかも、楽しそうに満面の笑みでの追い討ちが、かけられた・・・・・・。

「え!?――ええぇぇえ!??」

 さすがに予想を上回る内容に、驚くことしか出来ない――俺。

 今日は何回驚けばいいのかと、少し落ち着いてから考えることになる。

「ふふふ」

 彼女はそんな俺を見て、楽しそうに笑った。

「おま! それはさすがに、気が早いって怒られるんじゃないか!?」

 それはおかしいよと、遠まわしに彼女に述べた。

「大丈夫よ、きっと大丈夫♪」

 しかし、彼女は全く引かずにそう言って、最後に大きくうなずいた。

「でも、さすがに15才でそんな大それたこと言えないさ・・・・・・」

 俺はあまりに大きな事であるために、しり込みしてしまう。

「ふふふ、大丈夫よ。 私たちは『千年桜の誓い』ですでに永遠を誓っているもの」

 彼女は正面を向いて自分の斜め上に手を差し出して、何かに語りかけるように続ける。

「天が定めた運命は、たとえ親であっても変える事は出来ないわ♪」

 伸ばした手を、何かをつかむように閉じて引き寄せ、最後に俺を見て笑顔でいい終える。

「そうだな・・・・・・だけど、それとこれとはまた別の話だな」

 なんとか説得しようと、無い知恵を振り絞って話の転機を作った。

「そう?」

 うまく話を切り替えることができ、彼女の問いかけに対して、続けて述べた。 

「そうだよ。 俺たちの運命が決まっていても、下手してまわりの人間が協力してくれないと、大変なんだよ」

 ちょっとまともらしいことを言えた気がして、満足げに言い終えることができた。

「じゃあ、大丈夫ね♪」

「・・・・・・」

 彼女の発言によって、俺が語ったことの無意味さに言葉を失う。

「運命も決まっているし、まわりの人間もきっと協力してくれるわ」

 どう考えたらそういう答えになるのか全くわからないが、その瞳には全く淀みが無かった。

 この自信がどこからくるのか、いずれ分かることなので、ここはあえて伏せておくことにする。

「すごい、自信だね」

「ふふふ」

 俺の言葉は、ほめ言葉として受け取られ、満足そうに微笑んだ。

 そして彼女は一旦「じゃあ」と、仕切りなおして――

「そういうことなので、よろしくお願いするわね♪」

 と、人差し指を俺の顔の前に立てて「ね♪」のタイミングに笑顔で首をかしげた。

「え?――なにを!?」

 何をお願いされたのか分からず、俺はついつい聞き返してしまう。

「え? もちろん夕食会の事よ♪」

 なぜか彼女は、一度驚いてから、あたりまえと言う面持ちでお願いの内容を言った。

「『じゃあ』の意味がよくわからないけど、どうしても――なのか?」

 最初に不思議に思ったことを口にして、本題を再度確認した。

「うん、どうしても――よ♪」

 その確認に対して真剣な面持ちで答え、最後の一文字で微笑んだ。

「――分かったよ、俺の負けだ」

 あまりに真剣な顔と魅力的な微笑みに、俺は根負けしてしまった。

「ありがとう♪」

 彼女はまたしても、とても魅力的な微笑みを見せた。

「もしもの事があったら、サポート頼むな」

 念のために彼女に手助けを求めると――

「大丈夫よ、きっと大丈夫♪」

 またしても自信満々に、彼女は笑顔で答えた。

 それからもくだらなくも恐ろしい話を繰り返し、決断する夕食会の時間が刻々と迫っていた。



 彼女の唐突な話題は、割と平凡な彼を巻き込んで少しずつ(?)前に進んでいく。

 果たして、彼はこの件をどういう風に伝え、それを聞いた彼女の両親はどういう風に答えるのだろうか。

最初のおしとやかキャラはどこへいったのやら?

でも僕はこっちの桜音が好きです。

っていうか、次回が楽しみすぎてもぅワクワクしますねー。

どんな展開にしようか悩みつつも大体は決まってます。

これからも宜しくお願いしまう。

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