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過去の再会

すみません、ここで少し悲しい話に入ります。

割と長くなったので2部編成にしました。

後編は出来ていますが、明日の投稿を予定してます。

「ねぇ紅葉こうよう――私はあなたを、いつも想っている」

 彼女は、不意に語り始める。

「あの日、千年桜の伝説の話をきっかけに、私達は出会った」

 大人びた彼女の横顔が、とても魅力的である。

「あれから2年が経ち、私達はこの子を授かることが出来た」

 自分のお腹をさすって微笑む彼女の姿に、となりに居た彼は優しく微笑む。

桜音おうねとその子は、俺が、必ず守ってみせる!」

 彼は自身の前に拳を握り締めて、力強く宣言する。

 それに対して、彼女は誰かに語るように話を続ける。

「紅葉と出会ったあの日、20歳の誕生日を迎える朝だったわ。 偶然見た夢が私達を導き、あの場所で二人は誓いを立てた」

 遠くを見つめる目線が、とてもうれしそうで魅力的に見えた。

「あの日、あの場所で二人は永遠を誓い、ともに歩んだ2年間・・・・・・私はとても満足しているわ」

 最後の一瞬、彼女の顔には憂いを秘めていたような気がする。

「大丈夫――これから先も、ずっと一緒に居られるよ」

 彼の言葉に彼女は微笑みを返し――

「ありがとう、紅葉」

 と、優しく笑いお礼を言った。

 そして彼女は、唐突に目に涙を浮かべて――耐え切れずに流れ落ちる。

 彼は驚いて、その場で右を向いたり左を向いたりとあわてている。

「――ごめんなさい」

 涙を拭いた彼女は、彼に謝り、続けるように話す。

「私――もっと紅葉と一緒に居たいの・・・・・・だから、つい・・・・・・」

 再び涙があふれてくる彼女に、落ち着いた彼は、一言「大丈夫」と伝えて抱きしめる。

 彼女は子供のように泣きながら、彼を強く抱きしめ返していた――。


 季節は巡り、葉が散り、舞う秋が訪れる。

「先生、彼女を助ける方法はないんですか?」

 とても深刻な顔をした彼は、白衣を着た医師に向かって訊ねる。

「・・・・・・一つだけ方法はあるのだが・・・・・・」

「お願いします、教えてください!! 先生!!!」

 彼は医師の言葉に、我を忘れて食いつくように立ち上がって問いかけた。

「まぁ、落ち着きたまえ」

 医師は彼を落ち着かせるようになだめて、座らせてから説明を始める。

「――彼女の体は、日を追うごとに衰弱している」

 少しずつ話を進めて行く医師に、彼は小刻みに体を震わせて静かに聞く。

「その原因は・・・・・・妊娠なのだよ」

「くっ・・・・・・」

 予想していた通りの言葉に、彼は目から涙があふれる。

「出産により、二人が生き延びる可能性は極めて低い・・・・・・」

 彼を哀れむものの、医師は最後まで話を続けた。

「彼女を助けたいなら、早急に子供をあきらめる他――ない」

 最後まで聞いた彼は、大声を出して泣き叫び、その場に崩れ、拳を地面に叩きつける。

 選びがたい選択肢に、彼は心から自分の非力さを嘆き、責め続けた。

 しばらくして、落ち着いた彼に「まだ時間はある、よく相談して決めなさい」と、医師は伝えた。

 彼は一旦彼女の病室へ戻り、いつもの調子を取り戻して入っていく。

「桜音、体調はどうだ?」

 それに気づいた彼女は彼を見て「とても良いわ」と、笑顔で答える。

 優しい笑顔に、先の話を思い出してしまい、再び涙があふれてしまう。

「紅葉?」

 彼女の声に我に返った彼は、涙を拭いて、笑顔で「なんでもないよ」と答える。

 彼はパイプ椅子を取り出して、彼女のベッドの横に座り、神妙な顔で話し始める。

 その内容を伝えることをためらいつつも彼女に説明すると、彼女は顔を伏せながらも無理に笑顔を作り、自分なりの答えを口にした。

「――私は、あなたの子供を産みたいわ」

 彼女が、そう言うであろうと思っていた彼は、とくに驚きもせずに「・・・・・・そうか」と答える。

 彼は彼女の意思を汲み、笑顔で「俺が必ず、二人を守る」と伝えて、彼女も笑顔で「はい」と答えた。


 それから毎日、毎日、彼はお見舞いを続け――出産の時は迫ってくる。

 彼はお見舞いの他に、時乃軌神社ときのきじんじゃと千年桜に毎日祈りを捧げることを忘れなかった。

 次第に彼女のお腹は大きくなり、身体が衰弱しているため寝ている時間の方が多くなってくる。

 そんな彼女の姿を見ていると、精神が崩壊してしまうような感覚に襲われ、その度に千年桜の下へ向かい、祈り続けた――。



 彼女の容態は刻々と悪化していき、彼はただ、ただ――祈ることしか出来なかった。

 大切な人を助けることが出来ない彼は、自身の無力さを嘆き苦しみ泣く事しか出来ず、せめてもと、数百数千回に渡る祈りを続けていた。

前の話と接点が見つからないかもしれませんが、ちゃんとつながりますので、長い目で見てくださいね♪

ヘタクソな書き方で分からないかもしれませんが、紅葉を彼と呼ぶ意味も考えていただければ読みやすいかもしれませんね。

もしかしたら、いらない事を書いてるかもしれません。

不快がありましたら、ごめんなさい。

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