1000年後の再会
春――桜舞うその季節に俺たちは、運命と思えるような出会いをした。
「あの、この桜の木の伝説をご存知ですか?」
不意に問いかけられ、振り返って彼女を見た瞬間に俺は『一目惚れ』した。
「――あ、いや・・・・・・ごめん」
彼女の微笑みに魅入ってしまい、答えになっていない返事をしてしまう。
「そうですか――実はこの桜の木には1000年もの昔、本来ならば結ばれるはずの無い二人が出会い、苦難の末に結ばれた伝説が残っているの」
彼女は、大きな桜の木を見ながら伝説を語っていく。
その横顔はとても魅力的で美しく清楚な印象を与えてくれる。
「――あなたは、信じますか?」
不意に向き直り、語りかけてきたその表情に、またも心が過剰反応してしまう。
「・・・・・・俺は、信じる」
その一言に、彼女は満面の笑みを浮かべて「ありがとう」と、一言添えた。
「私の名前は、桜音、この木と同じ桜に音と書いて桜音よ」
彼女は自分に手を当てて自分の名前を伝えた、その後「あなたは?」と手を差し出して聞いてくる。
「俺は、紅葉、漢字でもみじと書いて、紅葉だ」
二人の目線がお互いの瞳を見つめ、その一瞬が長い時を移動したような感覚にとらわれる。
「私たちの出会いは、偶然ではないかもしれませんね。 これからも宜しくお願いします」
彼女はそう言って、お辞儀をした。
「俺もそう願っている。 こちらこそよろしく」
二人がこの場所でこの時間に出会ったのは必然だった。
1000年前の誓いが今ここで果たされることになるとは、今の二人には考えも及ばない事であった。
時間があれば続きを書こうと思います。 気長に宜しくお願いします。