8、共に(con)引き合う(tract) 下
この物語はフィクションです。記述内の団体および個人は架空のものです。
8、共に(con)引き合う(tract) 下
契約は守った。
そう、俺の名前は進・カーネル。約束はきちんと守って、仕事を終えた18歳。
「ねぇ…」
だというのに……
「ねぇ、進さん! 聞いてる!?」
「……聞いてるよ」
「ちゃんと聞いてよ、二人ったら酷いんだよ! 私をはぶいて、ふたりだけでソドム観光してたんだって! ねぇっ、どう思う! ねぇ!」
「別にはぶいてたわけじゃないぞ、優子。それに、そもそもお前が遅刻したのが原因……」
「あーわーわーわ! 何も聞こえない! 何もかもが聞こえないふり!」
「二人とも、落ち着いてください。あっ、ローザの本にお茶がかかっちゃいました」
「なんですって!?」
「はい、おまたセ。今日商店街のおばさんからケーキをもらったんだけど、よかったラ。コーヒーも入れたからどうゾ」
「「「わーい」」」」
「ちょっと! 私の本はっ!!?」
「うるッせぇェッッッァ!!!!」
ソファに横になりつつ、新聞を頭からかぶることで喧騒を我慢してた俺だが、我慢の限界だった。
ここは俺の事務所、のはず。
ひいては俺の家、のはず。
俺のソファ。仕事終わりの静かな時間を過ごす場所のはずである。そうでなくてならない。
だっつぅのに、人口密度は倍に跳ね上がり、おちおち寝てもいられねぇ!
「テメェらには静かにするって言葉がぁガァァァアアッ!?」
怒りの言葉は、全身を走る痛みで打ち消され、俺はソファの上で芋虫の前後運動みたいな動きをしながら悶絶する。
「……撫子。進さん、どしたの?」
「……実は筋肉痛が酷いらしいんですよ。ほら、進が一昨日智子ちゃん達をココに連れてきてくれた時。あの日の夜から声出すだけで辛いらしくて」
「大げさじゃない?」
「私もそう思います」
誰のせいでこうなったと思ってやがる、と言いたいが辞めた。奥歯を砕くように噛締め耐える。
憶えてろ、ポンコツ。俺が完全復活した暁には、その男受けしそうな顔が汚ぇアヘ面になるまでこき使ってやるからなぁ……
そんな俺の16禁っぽい計画などしらぬ存ぜんぬのはずである撫子は太陽のような笑顔で親友たちと語り合う。
「で、今日はどうしますか?」
「ハイ! ソドムを見て回りたい!」
「え~、今日は暑いから嫌だな」
「トモちゃん、体育系なのに根性ない~!」
「あの、私の本……あぁ、もう……いいですわ」
一昨日は再会した瞬間にわんわん泣きながら抱き合っていた三人は、今日は視ていて恨めしいほど元気いっぱい。
それを見ていて悪い気はしないが、体の痛みにうなされている人間の目の前で騒ぐな。なんか声が響いて痛む。
俺の頼むから寝かせろ目線は完全に無視しガールズトークに花咲かせるローザを加えた4人の女子はまったく家主に同情も干渉もせずに女子力のままに会話し続ける。
そんな輪の中からあぶれたためかアルバインが口に笑みつけて、ソファの肘起きに座ってきた。
「目の保養になるかイ、シン?」
「うるさいだけだ。今日はこのままなのかよぉ、おい」
「そうだネ。この店に、キミへのケンカを売る連中以外に直接お客が来るのなんて滅多に……アレ?」
アルバインは不思議そうな反応で玄関であるドアを見つめる。それと同時にドアが開くと、ソコには。
「……すいません。此処は進・カーネルさんの事務所で、いいですか?」
どこか恐縮して、ドアを開けたのは、何処か似たようなデザインを見たことがあるような気がする夏の学生服を着た“紅い目の”高校生だった。
「あれ? 信君?」
「誰?」
「知り合い?」
「はい。最近知りあった子なんです。立花 信君」
首傾げた優子と智子は知らないのは当然だ。ただ俺達はよく知っている。最後にあった時のギラギラした印象はなりを潜めて、どこか落ちついた、悪く言えば覇気がない雰囲気をもった長身の少年は、内に神を秘めているとは到底思えない、どこにでもいる普通の男だった。
不安げにドアのからこちらを覗く信は、撫子に迎い入れられるがまま手を引かれ、俺が横になっているソファに対面するように設置されているもう一つのソファーへと連れられて来た。
女性陣に囲まれてひどく落ちつかなそうにしている信は苦笑いしている。このままじゃ、埒が明かないので俺が直々に要件を聞く事にした。
「立花? どうした、もう苦いコーヒーが飲みたくなったのか? それとも、リベンジか?」
「ち、違う。近況報告とか……それに謝」
「そんなもんは、いらん。こっちも仕事だった、それだけだ」
責められる、などと思っていたようだった信はキョトンとして俺を見てくる。俺の話はもう終わり。それで良い。
「それで、信君。信君も京清学園だったんですね」
そんな雰囲気を察してか、やんわりと撫子が先ほどから聞きたそうにしていたこと口にした。
「え、ああ。高等学部の一年だ……いや……です」
「え!? 後輩!?」
「へぇ~、こんなカッコイ子いたんだね~。背高いし、足長いし、顔イケメンなのに知らなかったよ!」
「きょ、恐縮です……」
グっ、と顔を近づけ値踏みする目で迫った優子に、押され気味に照れる信。こいつ、女が苦手なタイプか。
「優子やめろ。後輩君が困ってるだろう。私は、上地 智子、二年だ。部活とかは? 何組だ?」
「え? えぁあ? えっと、四月ぐらいから、学校には行ってなくて……それで、今度俺を預かってくれる明智さんって人が、その、行ける時には行っとけって、それで。学校の方にも連絡したら、まだ大丈夫だって」
華の女子高生三人に質問攻めを受け、陥落寸前の信を、俺はなんとも不憫に思いながら見つめていた。
「……撫子が取られて、不機嫌ですの?」
「は? なに言ってんだ、ローザ?」
「……別に。フンッ!」
なんだ? なんでローザは怒ってんだ?
やはりよくわからないので答えを求めて、アルバインを見たが、コイツはコイツで、肩をわざとらしく挙げて、困った感じを出している。そして、コイツは苦労性であるが故に、助け舟を出す様に信に尋ねる。
「しかし、マコト。キミよくこの場所が進の事務所だってわかったネ? ほら、ココ、看板も何もないだろウ?」
「あ、ああ。そうですね。俺は連れて来てもらえたんでなんとか」
連れて来てもらえた? そう尋ねる前に、答えは自分から現れた。軋むドアから現れたのは、信と同じ制服を着た長身の男。赤色の紐で単純にまとめた長く伸びた後ろ髪を揺らしながら現れた男は、その艶のある髪質から女性的な印象を持つ中性的な容姿をしているが、若干野性味が強い青年。
「やぁ」
「永仕さん」
爽やか全開の(実際クソジジの)挨拶に、撫子の顔が明るくなる。そうやって科布 永仕は片手に大きな花束を持って現れた。
「……なんだ、その花束は? 見舞いにでも来てくれたのか?」
「残念だけど違うかな。これは別の所に、ね。本当はそっちが終わったら顔を出すつもりだったんだけど、彼がどこかに危うげにフラフラしてたから一緒の来たのさ。――――それに、君には花より、コレがいいだろ?」
手渡されたのは、小さな紙袋。中身は外から見えない仕様になっているが、俺にはこの中身がなんなのか察した。察したが……どうしたもんか……?
悩んでいた俺はパタパタとスリッパを鳴らしながら、小走りでコーヒーを新たに入れてきた撫子がやってきたのを気がつくのが遅れた。
「どうぞ、永仕さん」
「ありがとう、撫子……ぅ~ん、お茶もいいけど、やっぱりコーヒーもいいね。特に女性が入れてくれると格別だ」
「入れたのは、アルバインだけどな」
「ぶぐっ!? …………女性が持ってきてくれただけで、おいしいよ。音芽組は家が和風なせい緑茶派なんかが多くてね。飲むとしたら俺と巌君ぐらいなんだ。入れてくれるのはいつも男ばかり。感謝はあるけど、心の潤いがないんだ。とりあえずお前さんに嫉妬しとくから」
「知らねぇよ」
「まぁ、いいんだけどね。それはそうと、進。お前さん、そろそろ決めた方がいいよ?」
「なにを?」
「看板。というか、この店、名前もないだろう? よく、これまでやってこれたもんだ」
周りのガヤガヤが瞬時に収まる。なんだ、その目は。どいつもこいつも、驚き100%の目をしやがって……
「なんだよ……いらねぇだろ? 事務所っつっても、ほぼ個人営業。仕事なんか、紹介者経由で紹介されてるのをやってただけだしな」
「いやいや、進。そこははっきりした方がいいよ。これだけの戦力と人材が正社員でなくてもいるんだからさ。それに、業界内じゃ、君はともかく、そこの二人は有名人だ。仲介無しで、特別依頼さえ、取れるはずだ」
そこの二人は、どこか釈然としないものを感じているようだが、無言の肯定をしている。つまり、名前を貸してくれるということか……しかしなぁ~、名前なんてな~
「それに、ハジはアレなりにプロの情報屋だから、仲介料はかなり高い。たぶん、君が得ている報酬の三分の一以上はかならず持っていかれてるは――――」
「よし、名前だな。早く決めよう、早急に、迅速にだ。やっぱり名前は重要だからな。あ、それと電話番号とか登録しねぇと。おい撫子、電話買ってこい」
「此処は電話も無かったのか!?」
永仕の驚きなど無視し、筋肉痛に震える腕で、ポケットから財布を取り出し、撫子へと放る。
しかし……
「店の名前か……どうしたもんか……」
本気で悩む。正直名前など、どうでもよかったから考えたことすらない。そんな俺の真横にコーヒーの乗ったソーサー片手に立つ永仕が呆れた声で推薦してきた。
「進・カーネル事務所ではダメなのかな?」
「馬鹿野郎。そんなダサイ看板出せるか。それになんか悪いことする事務所見たいじゃねぇか」
「あぁ、悪いことしている自覚はあったんだネ」
「アルバイン、オマエなんかいい案あるか?」
「え、ボクかイ? そうだナ……特殊人材派遣事務所とかハ?」
「なんか、まともにきたな……いや、ダメだ。なんかホントに特殊な仕事来たらどうすんだよ? 俺、重機とかの免許持ってないぞ。そもそも、これ店名じゃないだろ。これじゃ業務名だ」
「そうだよネ……ローザ達は何かいい案あるかイ?」
「超とか、スーパーと付けるのはどうかしら?」
「キリっとした真顔でなに言ってやがる、ローザ。中二か、己は!? 却下だ、うちは野菜や肉なんかの食材は扱いません」
「もう名前のない店とかでいいんじゃない? ……そう、ノーネー…」
「そう以上言うんじゃねぇぞ、智子! スニーカー大賞受賞者の作品を敵に回すつもりか!?」
「彼方の明るい未来をズバッと斬り裂く! 進・カーネルのお助け事務所とか?」
「誰がキャッチフレーズを考えろっつった、優子!? そもそも未来を切り裂いちゃったらダメだろぉがっ!! テメェら真面目に考えてねぇだろう!!?」
俺が怒ると、全員揃って、どうでも良さそうに面白そうな名前を提案し合いだした。完全オアソビムードだ。
ダメだ。コイツらダメだ。そもそも頼った俺が馬鹿だった。俺が早めになんとかしねぇと。
「con-tract……なんてどうですか?」
そんな決意はどこぞへ吹き飛んだ。
撫子だった。
その凛とした響きの一声が入った瞬間、騒々しかった部屋がそれだけで静まりかえった。
「殺しの仕事? まぁ、そういう仕事も引き受けられますけれど?」
「え? ち、違いますよ、ローザ。え~と、こ、こうです」
紙を一枚持ってきて、事務所中央にある低めの机におくと、ソファにも座らずに地べたに座り込んでサラサラと達筆な英語が書き込まれていく。
英語で書かれたそれは“con-tract”。
契約を意味する言葉だが……あの中央のハイフンはなんだ?
それを説明するために、顔を上げた撫子。
「契約を結んで仕事とする。まぁ、普通のことなんですけど。このハイフンは契約の証しといいますか……その、線と線が張ってピンとしている表現を加えています、というか……その……」
最初はイキイキと話していた撫子は皆の目線を受けて、しぼむ様に言葉と首に力を無くしていってしまう。なにかを隠しているような気もするが……まぁ、いい。言いたいことはなんとなくわかった。つまりは張り合いのある仕事をしますとか、そういう意味だろう?
なら、
「これでいい」
「え? いいんですか?」
言葉と共に顔も下がっていた撫子の顔がバッと上がる。
「なんだよ? お前の提案だろ?」
「そ、それはそう、なんですけど……」
「いいじゃないか、con-tract。うん。良いな。良いんじゃないか? オマエらの意見は?」
「ボクは別に問題ないヨ」
「それに、ココは彼方のお店でしょう? 進が良ければいいではありませんの」
「なら、決まりだな。今日から此処は、特殊人材派遣事務所con-tractだ」
そう決めて、俺は立ち上がり、先ほど永仕に手渡された紙袋から“ソレ”を取り出し、撫子の“頭”に取り付けた。
“ソレ”は白色のカチューシャ。
進・カーネルと九重 撫子の契約の証。
二週間前に失っていたソレを元の場所へと戻した。
「こ、これって」
「ああ。落し物だ。――――もう、失くすなよ」
「…………はいっ」
目じりに若干涙を溜めた撫子の笑みを見て、俺は心の中で思っていた。
最後は涙などではなく、この笑顔を続けさせたい、と。
視点変更 1
「ねぇ、撫子? ホントの意味を教えてほしいんだけど」
喧騒が再び溢れてきた事務所で、私の耳元に科布 永仕が小声で聞いてくる。
何も知らぬ初心な女子ならば耳にかかったと吐息と、気配を感じさせないタイミングでの声に、ドキリと心臓の鼓動が跳ね上がることだろう。
ただ、どこか、この人には解ってしまうだろうな、と予感があった私は、言葉の悪戯がバレてしまったことを示す様に、舌を少し出した。
「……わかります?」
私も同じく小声。お互いに耳を傾けながらの密談。その光景は喧騒の隅に隠れて誰にも聞かれてはいないようだ。
「まぁね。君の挙動はちょっと変だったからさ。――――contractの語源はラテン語、conとtract。筋肉や人間関係を表す、“お互いに引き合う”ものを示す言葉だったね」
「はい。互いに求め合う、協力関係を築く、それらの意味が変化して、現在の契約という“contract”という言語になったと聞きます。進たちに言った意味ももちろん嘘じゃないですよ。ただ、どちらといえば、私の考えたcon-tractはラテン寄りの考えに近いんです」
私は今、部屋の壁に近い側にいる。そこから視る景色はなんとも温かで。
進の筋肉痛が面白いのか、智子と優子が進の体を突きまくっていた。進を知る人間ならば、なんと恐ろしいことをと思うが、当人は叫んで邪魔だと騒いでいるだけだ。
ローザはそれに加わりたそうにしているが、一歩踏み出せないようだ。それをアルバインは茶化し、背中を押したが――――あっ、ローザに殴られた。
その光景にオロオロする信。
温和そうに見える風景。それを私は宝物を愛でるような気持ちで視る。
お互い、出会ってまだ数カ月。それぞれが己の目的を持ってソドムに来て、集まって、ココに居る。偶然や争い会う立ち場であったのに関わらず、不思議と集まって、この暖かさが生まれた。
かつて、私が失った“家”のような温かさが。
共に、引き合って、集まってきた者たちの温かさに、心の中に氷となって固まっていた部分が溶け落ちてしまいそうになる。それを我慢し、言葉を紡ぐ。
だから、私はこの“家”に名前を付けた。
「互いが互いを引きあって、出会った彼らの事務所。だから、con-tractなんでです」
家などと豪語するほど、私には勇気が無かったのもあったが、このことを進たちに言ったら、絶対渋ると思ったから言わなかった。ほら、あの人たち、素直じゃないし。
その答えを聞いて、永仕の笑顔はさらに優しさを増やした。
「そうか……、なら君は中間の“‐”なんだね」
「え?」
「補助記号のハイフンは合成度の浅い複合語の連結や、一語が行末までにいききれない場合などの繋ぎに使われることが多い。君がconとtractの区切りを明確にする扱い方も、まぁ、できる。それよりも俺は、この記号を一本の鎖に例えてみる場合があるんだ」
「一本の鎖……」
「そうだ、撫子。君は彼らを集めた鎖。彼らを繋ぎ、互いに互いを認め合いさせた結びの芯なんだろうさ
「私は、私はそんな大層なことをしては……」
「そんなことはない。いいんだよ、撫子。ココは君が作った……いや、君が見つけた家であり“居場所”だ」
その言葉がやんわりと心の奥へと沁こんだと思うと、スゥ、と頬を何かが伝ったのを感じた。
「あーーっ!! 会長が撫子を泣かした!?」
優子の叫びで、やっと、私自身が泣いていることに気がつく。
「あ、え、こ、これは……」
別に泣かされたわけじゃ、と説明する前に永仕は肩をすくめて、飄々と背を向ける。
「おっと、もう時間だ。それに皆の目が怖いから、悪者は退散することにするかな……じゃっ!!」
「あ、逃げましたわ!! だ、大丈夫ですの、撫子!?」
ローザを皮切りに、涙が止まらない私の事を心配する声がみんなから届く。
別に悲しかったわけではないのに。
心配してくれる声さえ嬉しくて、涙がもっと止められなくなった。
視点変更 2
フーン、フフーン――――
調子が外れた鼻歌が聞こえてくる。
進の事務所……いや、con-tractから逃げ出し、やってきたのはソドムの雑貨屋。
普段は情報屋を“自称”している男の根城にやってきたのには訳がある。訳がなければ、アイツの所になど行くもんか。
開けっぱなしの引き戸を開き、雑貨に溢れすぎて汚い印象がある商店へと足を入れた。
店内に人気はない。開店休業状態を見事に体現している。店長をすぐさまここに引きずり出し、せめてopenとcloseが見分けがつく立て札ぐらいかけろ、と説教したいほどに。
見事に人がいない店内の奥へ、さらに足を進める。
フンフンフンフン
雑貨屋の奥、居住スペースのさらに奥、薄暗闇を天井にぶら下がる剥き出しの電球が不気味に照らす恐怖さえ感じるほどの、コンクリートむき出しの長い廊下を抜けると行き着くのは、ただの壁。
その壁を “開くと”現れるのは簡素な造りの昇降機。作業搬入用とさえ思えるような大きなエレベーターに乗り込むと、ただ一つしかない地下へのボタンを適当に押し込む。
フ~~~~~ン
ビー、とけたたましい電子音と駆動音を立たせながら、俺の聴覚がここに近付くほどに、あの下手くそな鼻歌が耳に大きくなって入ってくる。
フ、フ、フ、フ、フ
……なんというか、下手くそな鼻歌だった。
本当に下手くそだが、これが正しい音色だというのだから、毎度驚かされる。
これはかつて、一人の少女が作った鼻歌。その調子の狂った旋律を耳にいれながら数分後。ゆっくり下りていた昇降機は動きを止めた。
そこは例えるならば、天原の庭。
辿り着いたのは初見でなくても驚きに固まること間違いなしの場所。
誰も思いはしないだろう。まさか、旧首都、現ソドムの地下深くに“まるで硬い地層を円形にくり抜いたような広い空間があろうとは。
その広さは、例えるなら東京ドーム。一個とまではいかないだろうが、その半分の面積なら確実にある広さ。
そんな空間には空調が一つもないにも関わらず、初夏の陽気が満ちて、どこからか心地いい風が吹き、平たい地面には春夏秋冬すべての花々が咲き誇っている。
美しいのに、どこか不安感を煽るような神聖な場所。そんな場所の中心付近でゾウさんのジョウロ片手に水を振りまく麦わら帽子を目深くかぶった男が一人。
「……おい、店の玄関が開きっぱなしだったぞ、ハジ」
「フーフーフーン……おや、珍しい人がきやしたね? ま、まさか永君っ、アッシのことが恋しくなりやしたかっ!? ホモォォォ!?」
「気持ちの悪いこと言うな……今日は“彼女”に会いにきたんだよ」
反響するふざけた声にげんなりしつつも中心へ向かって歩いて行く。
「おや、そうでしたか(ショボォン)」
「声でショボォンとか言うな」
めんどくせぇな、と思いながら足は中央へと向う。
ハジも俺についてくる形で、水をまき散らしながらくる。
「いつも花をありがとうございますねぇ~。“彼女”、花が好きですからねぇ」
「増えすぎて困ってないか?」
「そんなことはないとおもいますがねぇ……きっと、喜んでいるはずさ。ほら、永仕がきたよ――――“オトヨ”」
ハジはいつものふざけた口調を止め、やさしく、本当に、とても優しい声を――――
――――地面から生えているような、“天へと真っすぐに手を伸ばす透明色の右腕”へとかける。
「――――ひさしぶりだね、元気だったかい? 音芽たちと最後に来て以来だったかな」
俺も慣れた声で、ハジと同じように、その腕へ語りかける。
しかし、反応などあるはずがない。それは俺も、そしてハジも理解していた。人が墓石の前で先祖へと声をかけるのと同じだ。
これは墓標。
あの下手くそな鼻歌を作るのが趣味だった女の墓。
言葉を返さぬ人外の右腕。その前に花束をそっと置く。
この腕がこの空間を生み出しているのだ。視えている部分から下には本当に、無いもない。なのに、この腕は傾く事も、そして移動することもない。まるでこの場所が気に入っているように、だ。
「……君と似た運命を持ってしまった娘がいるんだ。どうか――――」
彼女を守ってくれ、そう墓前で願おうとした瞬間には、俺が置いたはずの花束は包んでいた紙ごと消え失せていた。
別に消失したとか、背後にいるハジが取ったというわけではない。ただ、この腕が分解したのだろう。 花は分解し、この空間のどこかに種として植えられたはず。仕組みは未だにわからないが、慣れてしまった年月が違うため、驚きはもはや、ない。
立ち上がり、右腕を眼下に収めながら、後のハジへと問う。
「……あれから、なにか反応は?」
「あれ、というのが旦那が不完全な覚醒の時だというのなら否だ。そもそも、あの程度の、半覚醒にも満たない微々たる顕現では、反応など無いことなどわかっているだろう? 最近あったとすれば、羽田空港でのティーチャーとの戦闘で、ローザ嬢の錬金術を手助けした時だけ」
聞いた時には目が飛び出るかと思った情報だった。 この右腕が、再び覚醒したのではと身構えたが、それからも一切反応がないらしい。進は生体的に謎だが、ローザは別の意味で謎の人物なのだ。
「彼女は一体なんなんだ? “コレ”が人間に進んで助力するなど信じられなかった。今もそれは変わらない。俺の情報網でもローザの情報は最近のものに限れられてくるが、なに一つわからないのと同じで、ほとんどわからない。魔道協会もなんだか、やけに彼女に関しては不自然なほどに情報を秘匿しようとする。“彼女の娘”であるという事実以外は」
「そうだな。協会は秘匿機密として扱ってはいないが不自然なほど、彼女の娘だということを、隠すフリをして、“逆に強調”している。二代目に据えるつもりか、もしくは広告塔扱いなのか、真偽は定かではないが、謎が多いな。……そっちは追々調べるとするさ。とりあえず、“彼女”が探しているモノを送ってみたから、何か反応があるかもな」
「探しているモノ?」
「ああ。まぁ、いいだろう? 俺達には関係のない過去の遺品だ。それに俺は……アッシはアッシの目的が成せれば良いからぁねぇ」
言葉をいつものハジに戻し、ゾウさんのジョウロを拾い上げて、再び花々に水を与え始める。
「…………」
やはり俺はこの男が嫌いだ。
生き方どうこうは、俺になにか言う資格はないのだろう。だが、俺はコイツが気に入らない以上に、ある一点の嘘を見抜いていた。
なにせ、こいつは俺と出会いでもある、あの“事件”から何かを隠している。
その事件から“100年以上”経つというのに、他人にそれをひた隠しにしているから。
この右腕が“収まる”この場所を守る理由はわかる。
だが、なぜ進・カーネルに死地を与えて、鍛え上げているのかがわからない。あの未だ“強いだけ”の少年に何を求めているんだ?
「無駄だとわかっているつもりなんだが……聞くぞ」
振り返り、背を向けている男へ向けて、もう何度も繰り返し続けてしまって飽きてきた問いを、また問いつめるように睨んで言い放つ。
「おまえの目的とは一体なんなんだ? いい加減、答えろハジ。いや―――――江戸幕府会津藩預かり京都守護武装治安組織“新撰組”第一隊組長“沖田 総司”」
己を“恥”と名乗る男がかつて背負っていた名で呼ぶ。青い陣羽織を脱いでしまった男はこちらを振り向き、麦わら帽子の影で、100年以上前と寸分からわぬ青年の顔で、ニヤリと笑った。
視点変更 3
胃に穴が空きそうだった。
新東京の一角にひっそりとたたずむ5階建てのビル。その三階を間借りしている不動産会社……という肩書で、極東の魔道協会新東京支部はビルと同じようにひっそりと経営されている社長室。
私はこの支部を任されている。部下である者たちからは支部長と敬愛されている……かもしれない英国生まれの中年男だ。最近の悩みは、見るに耐えれなくなってきたビール腹。だけだったのに……
社長としての貫禄を傷つけない程度の広いデスクに置かれた桐箱を、深いデスクチェアに腰掛けて受話器を耳に当てながら見る。
月明りが入り込む部屋の中にあって、異彩を放つような小包サイズの桐箱を眺めているだけで胃が重くなりそうだ。なにせ、この中には――――
(うっ!? なんだか、ホントにお腹が痛くなって……き、た)
傍聴処理されている電話の受話器を片手に、静寂しか伝わってこない時間の緊張感に比例して胃に穴が空きそうだった。ホントに空いて無いだろうな、コレ?
(東京では真夜中のために、電話の相手は朝のはず。失礼は……ないはず)
この日本という国に派遣されてから、数年。徐々に中間管理職の厳しさにも慣れてきた。というのになんだか、初めての就職面接を思い出す感覚に苛まれ、一秒感覚がやけに伸びて感じる。
電話の当初は、本部の連絡員が対応していた。送迎方法などを聞くだけだったのに、要件を聞いた女性局員が慌てた様子で電話を保留にした。
あそこで電話を切っておけばと、今、本当に後悔している。
そこで、電子音に変化が現れる。
『大変お待たせしました。お電話ありがとうございます、“スカーレット・E・レーリス”に代りました』
ひどく感情を感じない機械的な女性の、英語――――ではなく日本語が受話器から聞こえてきた。
私は絶句する。言葉がどうこうではない。この御方が直々に出てくるとは思わなかったからだ。
代理人などではない。私は一度だけ、言葉を交わす機会を得ていたからわかる。これは本人だ。本来、私などのただの魔術師には到底及びもつかない領域に足を踏み入れた存在である彼女が直々に電話を受けおった事実が信じられず、思考が停止しかける。
(落ちつけ、私。なんとか正常を保って、失礼のないように!!)
「わたしは、日本支部を預かる者でありまして……」
『お話は受けております、ピーター様。優先収集対象Bの一片を入手したとのことですね』
再び驚く。いや、ずっと驚きッぱなしかもしれないが、なにより名乗ってもいない私の名が彼女の口から漏れ出たことの感動に打ち震えた。
彼女の存在をしらぬものならば、なぜその程度で、と笑うかもしれんが、魔術師にとって、彼女は雲の上の存在であり、女神に等しき人なのだ。
「わ、私の名前を御存じだとは、感動の極みでございます」
『? 私は貴方と初対面ではなかったと確認します。一度、各支部長会議でお話したピーター・クルーガー様でよろしいでしょうか?』
本名までっ!?
私の感動は彼女に疑問を与えてしまったようだ。私は慌てて気持ちを落ち着かせる。
「は、はい! 申し訳ありません、私のような半端モノを憶えていただけていた感動で、つい」
『私と話す方々は皆様大げさ過ぎます。私はただの魔道協会副会長という肩書を頂いているに過ぎない女です。どうぞ、気軽にしてください』
「は、はあ……」
恐縮するなと言われて、ホントにしない馬鹿は果たしているのだろうか。なにせ、彼女は魔術師の頂点とも言える存在、“魔法”使いの一人なのだから。
スカーレット・E・レーリス。現魔道協会副会長にして、協会に認定された偉大な賢人の一人。魔術師に仇なす存在からは“魔窟の女王”などと恐れられる御方。
そして、昨日の昼間に現れた白金色の美少女、ローザ・E・レーリス嬢の母親。
そんな世界に現在三人しか持ってない称号をもつ彼女はなんの感情もみせない声で私に話しかけてくれている、その感動をどう表現したらよいのか?
『まぁ、お飲み物でもご用意しますので、どうぞ落ちついてください』
感動にうつつを抜かしていたのは一秒もなかった、と言いきれないが
いつの間にか、デスクの上にこの事務所にあるはずのない高級感のあるティーカップに、澄んだ紅色の紅茶がそそがれた状態で、カップと一対のソーサーの上に置かれて目の前にあった。
(っ!!!??)
『どうぞ、そちらは真夏のはずでしたので、失礼ですが冷えたモノを出させていただきました』
何時の間に? 頭で魔術であると、判断できるのに、術の全貌が全く見えない。なにをされたのかわからない。転移の魔術? いや、それなら空間伸縮の影響下でカップに揺れるか、割れるかするはず。しかし、このカップにはまったく変化はなく、さらに言えば紅茶に波紋一つない――――
感動などしている場合ではなかったのだ。私はこの方を恐れなければならなかった。畏敬の念で対応せねばならかったといまさらに気がつき、緊張をもって、カップに口をつけ、一口――――ん?
(なんだ、この紅茶? ダージリン? アールグレイ? いや、そもそも、なんだ? この馬鹿みたいな甘さ?)
紅茶が変だ。毒……では、けしてないだろうが。いや、飲めない訳ではないが、なにか違う。英国人だから、それなりに紅茶は知っていたはずなのだが? いや、とにかく甘い、これは……
「レーリス様……これは?」
『午〇の紅茶です』
ずっこけた。40代なのに、デスクから転げ落ちた。とにかく、全身から力が抜けた。
『どうかしましたか? なにか、大変な物音がしましたが?』
「い、いえ――――なにも……」
畏敬の念だ。恐怖を持つんだピーター!! まさか、本場から送られてきたはずの紅茶が日本製とは思わなかったのだ。そうだ、そうだとも、きっと特注の午〇の紅茶なのだ……
『あ、そのキャップについてるポイントシールは片付けないでください。欲しいのです。ポイントの景品が』
ペゥットボトルッ!!!!
ペットボトルそのままっ!? 電話越しにもう一人の誰かと話すスカーレットの声が聞こえてきた数秒間、心像世界にツッコミの嵐が巻き起こる。
(つっむな、ピーター!!! 突っ込んだら死だぞっ!? でも、これはあまりにも……ッ)
『申し訳ありません、電話の最中に』
「い、いえ、お構いなく」
まったく感情が見えない平坦な声が、段々と逆に怖くなってきた。もしかたしたら、私嫌われているのだろうか?
さて、本題ですが、という声もどこか遠くに感じる私はやっぱ嫌われてる?
『優先収集対象B――――エメラルド・タブレット型ディバイドの一つを手に入れたと?』
「……はい。日本のソドムで情報屋をしている男が、こちらに持ちこみ、レーリス様に渡してくれと」
『ソドム……なるほど、情報屋のハジと呼ばれる彼ですか……たぶん挨拶代わりのつもりでしょう。彼は他になにか言っていましたか?」
「え、は、はい。あの、その……“お嬢様にはバレていないから、安心していい”と」
『……そうですか。ですが、それは私への伝言ではないようですね』
「は?」
『もし、あの子がディバイドがそこにあると知れば、あなたさまを含めたその支部の全員を皆殺しする勢いで、奪いに来たでしょうから』
「!?」
『その伝言は貴方たちへの言葉でしょう。つまり、見返りはいらない、という意味として扱っていいということです』
冷や汗をかく。デスクの上に置かれた桐箱を恐怖の目で見る。梱包されているモノは検閲済みで、資料にあったディバイドであると確証を得ている。
眉唾物だと思っていた。この機械仕掛けの物は呪われている、と噂があった。どれも的を射ないような噂話だったが、今の言葉で真実味が出てくるではないか。
世界がこれをめぐって戦争をした、のだと。
世界はこれのせいで戦争をする“はめに”なった、のだと。
そして、これのせいで、ある親子の間が引き裂かれ、殺し合うような関係になったのだ、と
その、ある親子の片方である、母親はただ淡々と輸送方法について述べていくだけ。
『それは魔道協会本部宛てにでも送ってください。本当はその場で壊していただくのが一番なのですが』
「壊してよろしいのですか!?」
『はい。私にとってその兵器は破壊すべきモノだと捉えています。あの子が、ローザが求めている理由とは違いますので……』
「では、破壊後はお嬢様にこれをお届けになられては?」
『それは絶対に認めません。――――それは“私のモノ”なのですから』
なにが酷く目茶苦茶な物言いだとは思う。なぜだ、と問いたい気持ちが広がるが、これ以上は無理だと思った。常に感情が見えない声が“私のモノ”と語った瞬間だけ、感情の色を持ったからだ。
とても紅い。独占欲という名の深紅色の感情を。
「……了解しました。迅速に、かつ安全にお届けいたします」
『貴方の手で届けていただくのが一番なのですけれど』
「そうしたいのは山々なのですが、私も支部の仕事がありまして」
本音だった。しかし、私は魔術師の前に社会人。やらねばならない仕事はきちんとしなければならないのだ。
『その支部は、放棄しますので、彼方様の手でお持ちください』
「ズゥエ!? いや、レーリス様? それはちょっと我がままが……」
『違います。私は我儘など言いません。……女王陛下と一緒に通販で箱買いした際も、ポイントシールは事前に頂く約束をしていましたから、我がままカウントには入りません。そして、後から「やっぱ、返して」と言われましても、もうシールは私の専用応募シートに張り付けられていますが故に、私のモノです』
午〇ティーが、女王陛下御用達っ!?
『くだらない世間話で話が折れてしまいましたね。これは別に私的な決定ではありません』
いやっ!? くだらなくないっ!! 聞いてはいけない国家機密を知った気がします!!
『日本、東京支部については、今日開かれた協会の会議で放棄が決定しました。明日にでも正式な通達がいくでしょう』
「な、なぜです!? 一体何が、あったのですか!?」
声を荒げずにはいられない。急遽すぎる。どうして?
事の大きさのあまり勢いよく立ち上がってしまいながら、受話器へと焦りの音声を入力する。
私の声に、やはり感情がこもらない声が帰ってくる。
『“騎士団”に動きがありました。信頼できる情報提供者の報告では騎士団内の隊長会議にて大規模作戦の提案があったそうです。
目標は日本国内の巨大隔離区ソドム。目的は違法滞在する敵対勢力の殲滅。
本部は間接的な被害の危険性ありと判断。魔道協会日本支部はその業務を一時停止、局員のすべては本国に帰還されたし。―――――これは、魔道協会秘匿レベルAが適応されます。関係者以外への漏えいは原則禁止。迅速に、かつ周囲に気がつかれぬように、撤退してください
大事なのでもう一度、言います。――――騎士団がソドムに攻めてきます。早く、逃げてください』
その機械的な通達に、今度こそ私は言葉を無くした。
視点変更 ????
XXXXXは見ていた。
XXXXXは、聞いていた。
ただ、それだけ。
そう、今はただ、一節目が終わっただけ。
これは契約の物語。“はじまり”という名の、世界と繋がりをつけるまで、という契約、そんなお話。
XXXXXは見ている。
我らの母が求めるモノが現れるまで、見ていよう。
今は、ただ、それだけで、いい
そう
――――これは、契約の物語。
con-tract4 終
1st act “The beginning” end
おはようございます、桐識 陽です。
よくよく考えると、四章をアップし始めてからほぼ一年経っていました。さすがにナマケが過ぎましたスイマセン。
今回は歴史上の有名人物が出てきましたが、彼のファンの人がいたら、本当に申し訳ありません。たぶん、既存の彼とはかなりズレるキャラになると思います。この作品にはまだまだ歴史上の人物が出てくると思いますが、それらもかなり壊れて登場するとは思いますので、ココで謝罪をしておきます。スイマセン。
元々、この作品の雛型は、私が高校一年の頃に考えたものでした。
当時の私は部活道もしていたために、バイトはしていなかったために自由に使える金銭はほとんどもっていませんでしたので、頭の中で作品を作っては、ふくらませて4クールアニメとして一人で妄想として作成、鑑賞していました(頭の中で鑑賞っていうのかな?)
大学卒からは止めようと決めていましたが、見事に失敗。我慢の限界で、投稿サイトに載せて残して置こうと決断して、はや三年。自分の執筆力のなさに愕然とする毎日ですが、未だ楽しく書かせていただいております(つまらない、おもしろくないといつか感想に上げられるかもしれないと、ビクビクしていますが)
長くなってしまいましたね。スイマセン。
この作品は一つ目の節をむかえただけで、まだ続きます。
早く二部のクールに入らねばと思いますが、その前にcon-tract//outの方に投稿させていただきますので、少し先になりそうです。
con-tractは全四部にそれぞれ、契約を連想させる題目が置かれています。第一部は“はじまり”。契約という約束事から始るという意味をもっていました。メインキャラクターは撫子でした。進ではありません。
第二部は、他者から影響を受けて、自分に課す契約――――憧れの物語。メインキャラクターはアルバインとなっております。
ここまで読んでくださった方々に、常に感謝を。
桐識 陽