表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界保育士

作者: ゆう
掲載日:2026/02/28

どうやら私は異世界へ転生したようだ。

 子どもたちを散歩へ連れて行っていた時、暴走するトラックから子どもを守るため、道路に飛び出たところまでは記憶にあるのだが、私は今異世界にいる。

異世界へ転生する時に、命をかけて子どもを守ったことにより、転生神より、特別な力を貰い、異世界へ転生した。

 私が選んだ能力は、「保育士」異世界へ転生するにおいて何の役に立つかはわからないが、子どもが好きな気持ちは転生する前と変わらないようだ、しかしどうやら私の転生した国には福祉という概念が存在しないようだ。

 現代においてはさほど珍しく無くなってきてはいるが、私は前世では男性保育士として現場で10年ほど働いていた。転生した国では第三王子として転生したが、妾の子ということもあり、将来的に王になるということはありそうにもない。

 しかしこの国の現状を見るに、この国では激しい貧富の差が顕著である。王族や貴族は優雅に暮らし、城下町にはスラムが点在し、ありとあらゆる犯罪が横行している。私からしてみると福祉という概念そのものが無いこの国では、当然と思うのだが、家族や王族は問題意識を持っていないどころか、あまり関心がないようだ、私は父であるとともに王であるリチャード王に自ら嘆願し、孤児、保育に欠ける児童を預かる施設を国内に一つ作ってもらえることになった。

 幼きころから前世の記憶を持ち、妾の子とはいえ、優秀であった私はリチャード王にそれなりの信頼を得られているようだ、しかし私はいきなり大きな問題が目の前にある、それは人を育てるための人がいないということだ、いくら私が保育士の能力の恩恵を受けても、国中の子どもを一人で見るというのは現実的ではない、しかし、この国には人を育てるのに適した人がいないのだ。

 よく考えてみれば当然だな、いまの今まで人を育てる、福祉という概念がなかったのだ、まずは人を育てる人を育てる所から始めなければお話にならないな。 貧困対策も兼ねて、庶民の中から適正のあるものを探して、一刻も早く子どもたちのために、強いては国のためにもこの国に福祉という概念を作らなければ、遠くない未来、この国は滅亡の一途を辿るだろう。やるべきことはたくさんあるがまず私はこれから戴冠式に参加しなければならない。主役が不参加という訳にはいかないだろう。この国で王族は16の誕生日とともに、自らの名前を自分で決めるのだ、前世の名前はこの国ではいささか目立ちすぎるので、ペスタロッチと名乗ることにした。そして戴冠式が始まった。 

して王子よ、戴冠式のしきたりにのっとり、本日より自らで決めた名を名乗ることを許す。

はい、父上、私は本日よりペスタロッチと名乗らせて頂きます。

その瞬間どこからかシステム音が鳴り響き、能力保育士を使用し、近代教育の父のスキルを入手しました。との声が脳裏に響き渡る。 

 その後無事戴冠式を終え、自室に戻り先ほど得た新たな能力を確認した。

 この力を使えば、人を育てるための人を育てることができるはずだ。

 この国では女性に与えられている仕事というのはごく僅かで、社会的な地位というものは無いに等しい。

 差し当たって三十人程、さまざまな年齢の女性、力仕事や様々な雑務、可能な限り家庭と同じ環境で保育を行うため、男性も十人ほど雇い入れ、三ヶ月ほど研修を行った。 

 私の新たに手に入れたスキル、近代教育の父の能力で、年齢に関わらず教育を施すことが出来るようになり、最低限の知識を教え現場に送り込むことが出来た。 

 しかし、やるべきことはまだまだある。 

 まずは安全だ、これはマズローの欲求の5段階説から、簡単にいうと何をするにも、安全で無ければ次の欲求が現れないというものだ。さらに衣食住を整え、欲求を満たしていけば、自然と自己実現の欲求が現れるてくるはずだ。

 そしてそれは子どもだけに限らない、新たに雇い入れた人も、現代における正社員待遇で余計な心配をせず、保育に集中出来る環境を用意した。 

 幸い資金は潤沢にあった。転生する以前の知識を父であり、王であるリチャード王に進言し、そのことにより得た対価として、辺境の貴族が束になっても敵わない程の資金が手元にはある。

 無料で子どもを預かってくれる施設があり、そこでは充分な食事を用意し、母親たちには優先して仕事を斡旋するという仕組みのため、施設はすぐに満員となった。 

 雇い入れた母親たちは施設内で食事を作ったり、掃除をしたりしながら、現場で少しの金銭と子どもの育て方を学ぶことができた。 

 しかし子どもが育ち、成果が出るまでには長い年月を必要とする。 

 だが私の行った施策により、国民からの反感は減り、国民たちの生活水準は少しずつ向上し始めていた。

 今までは子育てをし、家のなかから出ることの無かった女性たちが、労働し、金銭を稼ぎ始めたことにより、経済が活性化されたのだ。 

 生産量もあがり、次第に街は賑わいを取り戻し始めた。

 しかし一難去ってまた一難とはよく言ったもので、最近施設に入ってくる食べ物の質が著しく低下しているのである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ