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時果ての魔女  作者: 紫月 京
3章 時の神と対話

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3−18


限界まで魔力を吸い取られて、その場に膝をつく。

呼吸が荒くなる。

体中が心臓になったように、ドクドクと脈打っている。

この感覚は、塔でクララの訓練を受けていた時に似ているが、この精霊どもは彼女とは比べ物にならないくらい、荒っぽい。

「あれ?もうお終い?」

「スズナ、相手は人の子です。もう少し加減なさい」

「加減って、どうやるの?」

頭の上で呑気に交わされる会話に腹が立つ。

ぐっと奥歯を噛み、双子のような精霊を睨みつける。

「あ、まだやる気があるみたい」

「当然です。主が見込んだ人の子ですよ。この程度で音を上げられては困ります」

冷静なようでいて、スズシロのほうが酷いことを言っているな。

ふらつく体を何とか支えながら、立ち上がる。


時限宮に来て最初に通された部屋の中央。

魔力を測ると言われ、スズシロの手を握り返した瞬間に、この部屋の中にいた。

吸います、と淡々と告げられ、次の一瞬には床に転がっていた。

横からスズナが白い手を翳すと、一気に魔力が戻ってきた。

急激に満たされる力に酔って吐きそうだった。

魔力を吸い取られ、戻され、倒れては起き上がりと繰り返し、一体どれほどの時が流れているのかもう感覚がない。

「この、魔力が空っぽになってから満たされ始める瞬間の感覚。それを覚えて」

「貴方さまの魔力が、その輝きを最も小さくできる瞬間です。ご自身の感覚で自在に扱えるようになるまで、特訓致します」

過酷だな……。

だが、やり抜いてみせる。

魔力が吸われ始める。

気が遠くなるのを、歯を食いしばって堪える。

何とか意識を保っている俺に、魔力が戻され始める。

あぁ、気分が悪い……。

塔での訓練を思い出す。

俺の体に触れて、魔力の流れを教えてくれたクララ。

初めての魔法に、目を輝かせて喜んでくれたクララ。

貴方のために、俺は耐える。

魔力を空にする俺の背に、「お仕置きだ」と言ってゆったりと腰掛けてきた柔らかい感触。

……待て、それは思い出すな。

「……何か、余裕を感じる」

「さすが、主の見込まれたお方ですね。では、もう少し速度を上げましょうか」

「ぐ……っ!」

急激に圧力を感じて、床に這いつくばる。

くそ、眩暈までしてきた。

「戻すよ〜」

軽い口調で言われた瞬間、魔力が戻ってきた。

体が、熱い。

何だ?喉の奥が焼けるようだ。

熱い。熱い。熱を吐き出したい……。

額から流れる汗をそのままに、俺は強く目を閉じた。

「……っ」

「!!」

精霊たちの息を呑む気配がする。

だが、そんなことに構ってはいられなかった。

ただ、暴れまわる熱を外に出したくて仕方がなかった。



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