表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時果ての魔女  作者: 紫月 京
3章 時の神と対話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/102

3−12


とにかく、時の神の昔話とやらを最後まで聞くことにした。

それが真実か否か、俺の目的のために役立つか否か、それは後から考えればいい。

今は少しでも、手がかりが欲しかった。

「ほ。顔つきが変わったの。何やら覚悟を定めたようじゃ」

「とりあえず、貴方の話を聞かせていただきたい。今のままでは、何もわからず、何もできない」

「まあ、そこに座すとよい。年寄りの話は長いものじゃぞ」

渋々、俺はスズシロの運んできた椅子に腰を落ち着けた。


「さて。まずは何から話そうかの。儂も長き時を生きておるゆえ、あやふやなところも多い。

 そうじゃな。お主の質問に答える形をとろうかの」

饗された茶の香りを嗅ぎ、毒の入っていないことを確認して、口をつけた。

口の中に百合の香りが広がる。

「……この茶は、何故百合の香りがするんだ?」

「儂を祀る神殿に供えられた供物じゃな。時の神の神殿には、すべて百合が植えられておる」

知らなかった。やはり、俺は無知な王なのかもしれない。

クララに脳筋の王さまと思われていたのが、すでに懐かしい。

「まず、俺は世界に太陽を再び昇らせたい。もうわかっているだろうが。そのために、俺は何をすればよい?」

そう、それが最も重要な目的だ。この神は、答えるだろうか。

「太陽神さまは、封じられておる。世界に太陽を取り戻すには、太陽神さまを解放せねばならぬ」

「どこに封じられている?」

「……」

黙りやがった。答えにくいことか?

「俺の質問に答えるんじゃなかったのか?」

言葉遣いが崩れる。不敬だとか、不遜だとか、知ったことか。

俺の詰問に、たっぷりと沈黙した後で、時の神がゆっくりと口を開いた。

「太陽神さまは、魔女の肉体の中に」

「!!!」


気づけば、立ち上がっていた。

時の神に掴みかかろうとしていたところを、後ろからスズシロに押さえつけられた。

「カーンさま、抑えてくださいませ」

「っ、離せ!一発じゃ足らんが、とにかく殴らせろ!!」

俺とスズシロのやり取りを、時の神がのんびりと眺めている姿に、(はらわた)が煮えくり返りそうだ。

頭の中が沸騰したように、熱い。

クララ……。

クララ……っ!

貴方の体に太陽神を封じていると。この神はそう言った。

貴方は、知っているのだろうか。

知らされて、いるのだろうか……。

神といえども、到底許せる話ではない。

何故、貴方がそんな目に遭わなくてはならないのか。

目の前が真っ赤に染まるようだった。

じんわりと、涙が滲んでくるのが自分でわかる。

泣くな、耐えろ俺!

こんな奴の前で、取り乱すな!


頭を大きく振って、荒い呼吸を整える。

まだ、怒りを抑えろ。こいつから、知っていることのすべてを聞き出してやる。

冷静さを失えば、負ける。

相手は、腐っても神なんだぞ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ