表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時果ての魔女  作者: 紫月 京
2章 通いはじめた心

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/107

2−2


エグラール大陸南にある、炎の国の王ライカーンには、火魔法と風魔法の適性があった。

さすが熱砂の国の若き王だわ。

火魔法は攻撃に、風魔法は防御に使える。

蓋をされていた力を解放するように、土が水を吸い込むように、彼は魔法の扱い方を覚えていく。

成長する教え子を見守るのって、楽しいわ。

理論ではなく感覚で力の使い方を覚えていくところが、脳筋という感じがする。

あ、怒られるかしら。

訓練に集中しているはずのライカーンから、じっとりとした視線が飛んでくる。

どうしてわかったのかしら。

「……クララどの、視線がおしゃべりだな……」

バッ、と口を両手で押さえる。声は出していなかったはずなのに。

「視線と表情が、語っている。何か、そこはかとなく失礼なことを考えていただろう」

拗ねたような口調が面白くて、ふふっと笑いが漏れた。

彼の傍に近寄る。そっと、額に触れた。

彼の肩がびくっと跳ねた。殴ったりしないわよ?

「魔力が空っぽになりそうね。疲れは?指先は痺れたりしていない?」

尋ねると、自分の手を見つめながら握ったり開いたりしている。

首を横に振るライカーン。

「いや、不調はどこにもない」

そう言って立ち上がった彼の顔は、私よりずっと高いところにある。

「飯を作る。貴方には、花の香りのお茶を」

「淹れてくれるの?ありがとう」

最近は、彼が淹れてくれるお茶の時間が楽しみになってきたわ。

汗を拭き、襯衣を脱ぐために衝立の向こうへ彼が歩いて行った。

そちらを見ないように、視線を外す。

一度、着替えているところをまじまじと見ていたら、真っ赤になって体を隠されてしまった。恥ずかしいんですって。

しっかり鍛えられた、猛々しい王という体つきをしていたのに。

何がそんなに、恥ずかしかったのかしら。

でも、彼の嫌がることをしてはダメよね。

彼の炎に撃ち抜かれた木の的を、時魔法で消失させる。

これはまだ、ライカーンには見せられない。

魔力をごっそり使うから、彼には使えない魔法だし。


着替えた彼が出て来た。薄青の襯衣は、彼の褐色の肌によく似合っていた。

ライカーンが持ち込んだ着替えは何着かあったが、どれもとても似合う。

「待たせた」

「平気よ」

「……的はどこへ行った?」

私が立っている床に視線をやり、ライカーンは首を傾げた。

「魔法で消しちゃったわ」

肩を竦めた私に、彼は何も答えなかった。

私が見せなかったということは、彼にはまだ早いと考えているのがわかったのだろう。

賢い子は好きよ。余計なことを聞かない人も。

くるりと体の向きを変えて、(くりや)に向かう彼の後をついて行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ