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時果ての魔女  作者: 紫月 京
1章 囚われの魔女と、異国よりの来訪者

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1−17


じっとこちらを見つめるライカーンは、何かを問いたげな顔をしていた。

どうしよう。私が余計なことを口走ったからよね。

どうすれば、また笑ってくれるかしら。

口元に笑みを浮かべてみた。

そうよ、先に笑ったら、笑顔を見せてくれるかも……。

「何故、そんなに悲しそうに笑うんだ?」

上手くいかなかった。

どうして誤魔化されてくれないのかしら。

「……俺は、貴方は自分の意思でこの塔にいるのだと思っていた」

「えっ?」

「俺がここに来たのは、国の宰相から聞かされたからだ。大陸最北端の岬に建つ、高い塔には時果ての魔女が棲んでいる、と」

私の額に手を乗せたまま、絞り出すような声でライカーンが話す。

「この世のあらゆる知識をその身に宿している、時の止まった魔女がいる、と。

 その話を聞いた時には、自分の意思で自分の時を止めた魔女なんだと思っていた」

私が、私の意思で……?

そんな馬鹿な。そんなはずない。

私はこの塔で、捧げ物の魔力を吸い取られ続けて……誰に捧げるの……?


『君はこの塔で、僕に捧げるための魔力を蓄え続けてね』


あぁ、そうだ。

だから、私はここにいるのだ。

「……クララどの?」

怪訝そうな声に我に返る。

視線を巡らせると、ギュッと眉を寄せたライカーン。

「……ライカーン……」

「貴方は、何故、この塔にいる?」

「私は……何故……」

考えることを頭が拒否している。

思い出させないで……。

いやいや、と首を振る私に何を思ったのか、ライカーンがため息を吐いた。

「ライ、カーン……?」

違う。こんな震える声など、私のものではない。

こんなに、弱い……。

「貴方が自身の意思でこの塔で時を止めているのなら、それで構わなかった。だが、貴方は魔力を吸われ、監視されていると言う。この塔に、囚われているということではないのか?」

囚われている……?

「誰が、貴方をこんなところに閉じ込めているんだ?」

責められているわけではないのに、彼の声はまるで詰問のようだった。

私を閉じ込めている誰かに向けた、怒りの感情。

ライカーンが握る手から、彼の怒りが流れ込んでくるようで身が竦んだ。

「……どうして、怒っているのかしら……」

私の言葉に、彼が目を見開いた。

「いや、貴方に怒っているわけではない。貴方を囚われの魔女にしている誰かに、怒りが収まらないだけだ」

「囚われの魔女……」

私は、囚われているの?誰に……?

いいえ、よく思い出して。

私は何故、この塔にいるのか。

いえ、ダメよ。思い出してはダメ。

ぐるぐると、考えが頭の中で回っている。

握られている手を、そっとライカーンから取り戻した。

「クララどの?」

「……思い出させないで、お願い……」

彼の橙色の瞳から逃れるように、目を閉じた。



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