表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第10話:絢爛! アクアサーカス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/70

幕間2:開花イベントその1

 翌日。

 ブロクエの世界へログインすると……親切なことに、街の西端からスタートしていた。カイルくんに連れられて入ってきた所だね。


「さあ、王都行きの乗合馬車は、あと2分で出るよー!」

「乗る人はもう居ないかー?」


 少し離れた所に大きな馬車が。その御者席から、乗客を募る大音声が響いている。状況がよく分かってないももちゃんが、キョトンとした顔で見上げてくるけど。説明は馬車に乗り込んでからだね。なんせ2分後に出るみたいだから。


「すいません、乗ります!」


 ももちゃんを抱っこして、駆け寄る。御者さんに断りを入れて、幌馬車の中へと乗り込んだ。丈夫な木製ステップが設置されていて、登りやすかった。

 馬車の中の光源は窓から差す陽光のみだけど、そこまで暗い感じはしなかった。乗ってる人は、5人くらいかな。


「ひろい」


「そうだね」


 馬車のサイズも大きいうえに、人が少ないから凄く広く見える。

 乗客たちは……老夫婦と、若い男性1人、中年女性の2人組。私たちを一瞥したきり、誰も近寄っては来ない。なんか日本の電車やバスっぽいね。この世界の人たちは、みんな人懐っこいから逆に新鮮だ。

 ……まあ会話イベントが用意されてないだけだと思うけどね。


「出発するよー!」

「立ってる人は座ってねー!」


 御者たちのアナウンスが飛ぶ。私たちも他の人たちとは離れた場所に腰を落ち着けた。

 すぐに馬車が走り始める。と、同時。

 

『王都までスキップしますか?』


 時短メッセージが現れた。半日かかる道程だから、『はい』以外の選択肢が無いんだよね。

 というワケでスキップ。軽い暗転の後、


「王都だよー!」

「長旅、お疲れ様ー!」


 御者が大声で到着のアナウンスをする。疲れてなくて申し訳ない。同乗してた人たちは、首を回したり、伸びをしたり。体をほぐしてから、馬車を降りていく。

 私たちも降りて、御者席へ。


「はい。大人は4000Gと、子供は2000Gね」


「あ、そっか」


 当たり前だけど、運賃はあるよね。カバンから皮袋を出して、合計の6000Gを支払う。結構痛いですね。

 

「またよろしく」

「良い旅を」


 馬車が去っていく。

 前方を見ると、先に下りたお客さんたちが、門番の詰所で話をしてる。どうもここは大門の前みたいだね。東西南北のどこだろう。と、キョロキョロ辺りを見回してみると……背後に百花樹があった。


「あ、街の西側か」


「ひゃっかじゅのまえに、びっくりまーくがあるよ」


 ん? あ、本当だ。樹を見上げてたから気付かなかったけど、幹の低い所に『!』マークが出てる。イベント? えっと……あ、そっか。


「開花イベントか。20ごとに出来るって言ってたもんね」


「かいか?」


「お花、咲かせられるんだよ。フラワーコインで」


 ももちゃんは小首を傾げる。まあ実際にやってみようか。

 私たちは樹の傍まで歩いていく。すると、百花樹が淡く光り始めた。まるで意思があるかのようで……


「あ、ももちゃんのおかばんもひかってるよ?」


「え」


 言われて、斜め下を見る。小さな体に掛かっている提げカバン。それが樹と同じ淡い緑に光っていた。共鳴……的な?

 私はそのカバンを開けてみる。中を検めると、どうやらフラワーコインを入れてるガマグチさんが光ってるみたいだった。


『フラワーコイン20枚を使って開花させますか?』


 選択肢も出てきた。


「ももちゃん、お花咲かせても良い?」


「ん? うん、いいよ」


 了承も得たので、『はい』を選択。するとすぐさま、ガマグチさんの口からコインが飛び出してしまう。20枚が連なって飛んで行き、幹の傍へ。途端に緑の光が強くなったので、咄嗟にももちゃんを胸に掻き抱いて、私自身も目をキツく閉じる。

 ……数秒後。目蓋の向こうの光が収まった気配がして、私は恐る恐る目を開ける。

 すると。


「わあ!」


「おはながさいてる!」


 樹高の低い辺り、緑の葉の中から青い花が沢山。咲き乱れてると表現しても良いくらい。アジサイよりは青く、マリンブルーよりは薄い。絶妙な色合いだ。


「キレイだね」

「だねー」


 マネっこももちゃん。


「こいんとられちゃったけど、きれいだからいっか」


 あ、取られたって認識なんだ。まあ了承したとはいえ、いきなり吸い上げられた感あるし、無理もないか。

 と、そこで。


 ――ありがとう


 不思議な声。女性のようにも、変声期前の少年のようにも聞こえる。

 まさか……百花樹? その疑問をぶつける前に、


 ――お礼に、こちらを……


 そんな言葉が聞こえ、目の前の光景がボヤけてしまう。思わず目を擦り……次に開いた時には。


「なにかおちてくるよ」


 ももちゃんの言葉通り、宙からゆっくりと何かが落ちてきている。物理法則を無視した、落ち葉が舞うような速度だ。


「紙で包まれてる……?」


 なんだろう。流石に罠とかは無いよね。

 そっと掴んでみる。やっぱり紙の袋だね。お守りとかが入ってるような……けど触った感じは、お守りより大きな物が入ってそう。


「ねえね、なにそれ? なにそれ?」


 ももちゃんがピョンピョン跳ねて、自分も触りたいとせがんでくる。私は袋の口を開けて中身を取り出した。

 少し横長で、金属質な手触り。そして青い花が4つもついている……


「わあ、お花のバレッタだ」


 花の形状が、百花樹に今しがた咲いた青い花にそっくり。というか、そのものを模して作られてる品だろうね。


「あたまにつけるやつ?」


「うん。髪をまとめるバレッタだよ」


 言いながら、私はももちゃんの前にしゃがむ。そして、その体をクルリと回して後頭部にバレッタを着けてあげた。


「可愛い! ももちゃん、可愛いよ!」


 青いお花のちっちゃなバレッタ。


「みえない、ももちゃんみえないの」


「鏡を作ってみたら? 三面鏡」


 言いながら、検索窓にワードを打ち込む。出てきた画像を見て、ももちゃんは粘土をコネコネ。数分で完成させた三面鏡。彼女の背後で広げてあげて、角度を調整すると、


「あ! おはな、ももちゃんのかみにさいてる!」


 確認できたみたい。キラキラした瞳で、鏡に見入ってる。キレイだもんね。ラメとかの技術は無いハズなのに、自然と輝いてるし。


「んふふ」


 まん丸なお顔をクシャッとして嬉しそうに笑うので、私も釣られて笑顔になる。

 良かったね、ももちゃん。また何か良いことがあるかも知れないから、開花イベントも進めようね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ