表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第10話:絢爛! アクアサーカス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/70

10-3:ピエロももちゃん

 ジェーヴァさんが席を外した後、早速お着替え。ももちゃん、てっきりクマさんの方が良いと駄々こねると思ったんだけど、ピエロさんの衣装も気に入ったみたいで、驚くほど大人しくしててくれたよね。

 

「よし、完成」


 赤と白の縞模様のシャツに、緑のダボダボズボンとサスペンダー。頭にはちっちゃな幅広ハットを被り、左のほっぺに涙色の雫を描いて。


「ああ……可愛い」


 ちっちゃな道化師さんだ。来年のハロウィンは、コレ着てもらおうかな。

 

「♪♪」


 ももちゃん本人も、鏡の前でクルクル回ってご機嫌だ。なんか知らないけど、サスペンダーが特に気に入ったみたいなんだよね。ブカブカのズボンなのに動いても落ちないのが不思議なのかも。


「ほいくえんも、これがいい」


「ええ? そんな恰好で行ったら、みんなビックリしちゃうよ?」


 むう、という顔をするももちゃん。

 と、そこで。


「着替え終わりましたか?」


 テントの外から声が掛かる。


「あ、はい。良いですよ」


 ジェーヴァさんが入ってくる。キュートな道化師さんを見て、少しだけ目を細めた。その両手には沢山のチラシを抱えている。うわあ、アレを配るんだね。

 私の視線で察したみたいで、ジェーヴァさんが軽く頷く。そのまま事務所内を突っ切り、物置スペースらしき一画へ。


「よいしょ」


 イケおじいちゃんでも、「よいしょ」って言うんだ。なんか親近感。

 彼がしゃがんだかと思うとドサッと音がして、再び立ち上がる。胸にはカバンを抱えていた。あの中にチラシを収納したみたいだね。


「それを配れば良いんですね?」


「はい。アクアホテルと、役所、ギルドには掲示許可をもらっていますので、そちらは指定の場所へ貼ってください」


「分かりました」


 まあアクアホテルは現支配人が息子さんだから当然として。役所やギルドにも顔が利くんだね。

 ジェーヴァさんがテーブルの上にカバンを置いた。硬い革で出来た上等な物だった。これなら中のチラシが折れ曲がったりしないね。チラシ運搬用のカバンなのかも。


「よっと」


 持ち上げる。そこそこ重いね。ただ揺らしても、四角い底は崩れない安定感がある。


「それじゃあ、行ってきます」


「はい、よろしくお願いします」


 というワケで、私たちはサーカステントを後にする。歩きながらも時々視線を下にやって、ちっちゃピエロさんを観察。やっぱり可愛すぎるね、この衣装。






 渡しを捕まえて(料金は1000G)、まずは役所へと舞い戻った。さっきの寄付ぶりだね。同じ事務員さんが対応してくれて、「今度はサーカスの貼り紙をさせて」と伝えると少し驚いてたけど。ともあれ、問題無く貼らせてもらいました。

 掲示板の中の『地域のイベントなど』というコーナーに2枚くらい貼っておいたから、役所に来た人の目には留まるかな。

 ちなみにサーカスのチラシには、あの派手なサーカステントの絵と『アクアサーカス公演開始!』という文言に、公演日程や料金も書いてあった。


「次はギルドだね」


「かいだん……」


 いやいや、ここまで渡し船で楽して来たんだから、階段くらい頑張ろうよ。まあ今日は既に1度登ってるから、2度目でダルく感じる気持ちも分かるけど。

 ダラダラと進むももちゃんを辛抱強く励ましながら登り、ポールさんに事情を説明。ギルドの掲示板横に貼らせてもらった。これで冒険者もみんな気付くね。

 ……この世界に私とももちゃん以外の冒険者が居るのかは知らないけど。


「つぎは、あくあほてる?」


「うん。折角だし、自分でお船を漕いで渡ってみようと思うよ」


「おふね? ももちゃんは?」


「子供用の船は共用に無かったと思うから……今日はねえねが漕ぐね」


「むう。ねえねだけずるい……」


 あら。階段は嫌なのに、お船はやりたいのね。あっちも同じくらい疲れるだろうに。

 そんな話をしながら外へ。共用の船は探すまでもなく、役所建物の桟橋に何艘も繋がっていた。そのうちの1つを拝借しまして。


「はい、ももちゃん」


 先に妹を乗せてから、私も続く。

 軽くオールを回して、ゆっくりと運河沿いに進んだ。背後を見ながらだから、だいぶ怖い。訓練場では慣れたつもりだけど、公道デビューは一味も二味も違うよ。


「ねえね?」


「あ、うん。大丈夫だよ」


 ももちゃんを不安にさせてちゃダメだよね。慎重にタイミングを見極めよう。大運河とはいえ、少しも船の流れが途切れないってことはないから。

 ……待つこと、2分ほど。ももちゃんに「いかないの?」と何度かせっつかれながらも、ジッと堪え、


「あ、いけそう!」


 好機到来。慌てず、だけどモタモタするのも厳禁だ。

 適度に力を抜いて、リズミカルに。


「っ……っ……っ」


 スーッと滞りなく船が進んで行く。そしていっそ拍子抜けするくらい簡単に対岸の建物に着いた。「やったあ」って喜ぶには、目と鼻の先すぎるけど。目的地に自分の力だけで移動できたのが充実感あるよね。


「ついたね」


「うん。ねえね、凄かった?」


「うん! じょうずだったよ!」


 ああ、優しい妹よ。運河を突っ切っただけとバカにせず、キチンと褒めてくれる。


「でも。ももちゃんも、おふねこぎたかったな……」


 うーん。比較的、交通量の少ない路地とかなら出来るかなあとも思うけど。

 と。ちょうどグランド・アクアホテルから観光客が出てきた。邪魔になっちゃうね。


「あっちに停めちゃおう」


 船を旋回させて、ホテルの右側(南?)へ向かう。方向転換はぎこちなくて、二度、三度と切り返したけど、なんとか行けた。やっぱりまだまだ、要練習だなあ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ