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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第7話:花小路

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7-4:カメラ機能発見

 それから約20分後、クオルさんが戻ってきた。


「なんで~~クルクル回ってるの~~?」


 不思議そうに訊ねられるけど、ふざけてるワケじゃないんだよね。

 その後、私たちが街の外から来た人間だという話をして、運転が下手な理由を分かってもらえた。とはいえ、仮にこの街にずっと居ても、一人前クラスに上達するかは怪しいところだけど。


「そうだったの~~困ったな~~」


 う。ストレートに言われてしまう。

 どうもクオルさんの思惑としては、今回で仕事を覚えてもらって、次からも同じ冒険者に頼もうという感じだったみたい。ただこれほど運転が下手となると、そりゃ作業効率は悪いよね。


「というか~~そもそも冒険者さんに頼むのは~~無理筋だったかも~~」


 クオルさんが眉を曇らせて、


「よく考えたら~~冒険者さんって~~色んな所を冒険しに行くから~~冒険者って呼ばれてるワケで~~」


 確かに。ていうか、それは依頼する前に気付くべきレベルだった気もするけど。


「この街出身で、ずっとここから動かない冒険者さんとかが居れば」


 可能性はあるけどね。ただそもそも、私たち以外に冒険者(NPC)が存在するのかすら定かじゃないから……


「あるいは冒険者に限らず、誰かこの街の人を雇うとかは?」


「そこまでの余裕は~~無いんだよね~~アタシが世話を出来ない時だけ来てくれるのが理想というか~~」


 スポットバイトみたいな感じだね。それなら確かに、一番良いのは冒険者ギルドに依頼する形だけど……うーん。

 と、大人たちが悩んでる横で、ももちゃんが小さな指を忙しなく動かしてるのに気付いた。空中、いや、タブを出してるんだ。


「ももちゃ」


 ――ピピ


 電子音が鳴った。えっと。


「ももちゃん、何したの?」


「ふぉと、みつけたの」


 んん?

 私も視界端のタブをちょこちょこ触ってみると……カメラ機能を発見。ああ、なるほど。これで撮ったんだ。

 私とクオルさんだけでお話が続いて、退屈になったももちゃんは目の前の絶景を写真に納めようと考えて……タブを探してみた、と。


「……そうだよね、これくらいの機能は当然あるよね」


 マニュアルとか見ないでゲーム始めちゃうから、こういうことになるんだよね。もっと早く気付いてたら、ももちゃんの可愛い姿をフォトに納められたのに。まあアーカイブの動画が、接続してる我が家の端末に記録されてるから、見返そうと思えば出来るけどね。パパたちも、ちょくちょく観てるし。


「……」


 私はチラリとクオルさんの様子を窺う。けど、私たちに何をやってるのか訊ねてくる雰囲気は無い。他のNPCも、検索窓とか弄ってる時に「それ何?」と来たことはないし、ここら辺は不介入なんだね。

 もし反応させたければ、実際に粘土でインスタントカメラを作って、それで撮った写真を見せるとか…………


「っ!!」


 閃いた。色々、閃いてしまった。


「も、ももちゃん! カメラ作って!」


 興奮した私に、少し引き気味のももちゃん。


「つくらなくても、おしゃしんとれるよ?」


 タブを指さして。

 だけど、そうじゃないんだよ。


「このゲーム世界の人たちにも見えるようにするには、この世界でお写真にしなくちゃいけないの」


「??」


 ポカンと開いた唇。モチモチほっぺが落っこちそうな程に首を傾げる。うーん……ももちゃんに理解できるように説明できる自信が無い。仕方ないから、


「とにかく作ってみて。画像、出すから」


 と、強引に促す。本当は納得して作って欲しいけど。


「う、うん」


 画像を見て、ももちゃんが粘土をこねる。自分も持ってる子供用カメラだから、比較的スムーズに作ってくれるハズ。


「また何か~~作るの~~?」


 頃合いでクオルさんも会話に参加してくる。


「はい。ちょっと考えてることがありまして」


 要するに、人を雇って水を入れるモデルは難しいワケだから、水の方から勝手に来てもらうシステムを構築するんだ。


「そんなの~~どうやって~~?」


「答えは簡単です。この花小路ですよ」


「ん~~?」


「この小路の魅力を広く伝えるんです。特に観光客たちに」


 アクアニルスのビューポイントの一角に食い込むことが出来れば、みんな放っておいても見に来る。そして運河から路地を通って来る最中に船底に付いた微生物たちも。

 そういう説明をしたところで。


「なるほど~~でもそこまでになれるかな~~?」


 さっきは私たちが感動してるのを見て、誇らしそうにしてたのに。話が大きくなって、急に自信が無くなっちゃったのかな。


「大丈夫ですよ。クオルさんの素敵を詰め込んだ箱庭。私も、ももちゃんも、理屈抜きで目を奪われたんですから」


 件のおばあちゃんも含めて4人が4人とも素敵だと思ってるんだ。サンプルとしては少ないかも知れないけど、やってみる価値は絶対あるよ。


「今まで、どこかにPRしたこととかあるんですか?」


「無いよ~~アタシの個人的趣味だもん、こんなの~~」


 なるほど、そういう考え方が根底にあるんだね。実際、動画投稿サイトとか無い時代はこういう人も多かったんだろうなと思う。


「じゃあやってみなくちゃ、分からないですよね」


「それは~~うん。そうだけど~~」


 と、話しているうちに。ももちゃんの工作が終わったみたい。角が少し丸い子供用カメラ。淡いピンク色が可愛い。それともう1つ、紙のロールも出来てる。ももちゃんはカメラの後ろを開けて、そのロール紙をセットした。


「上手いね、ももちゃん」


「ももちゃんも、もってるもん」


 そうだね。最近はそこまでじゃないけど、半年前くらいは本当に色々撮りまくってたのを覚えてる。

 ……これでまたカメラ熱が再燃してしまうかも。


「んん~~それは何~~?」


 クオルさんが不思議そうに見ている。まあここは百聞は一見に如かずだね。


「ももちゃん、お花さん撮ってみて」


「はい!」


 元気なお返事。

 そして私の膝の上に乗って、船縁から体を乗り出し、


 ――パシャ


 シャッター音が鳴り、小さなフラッシュも。


「わわ~~」


 クオルさんが驚いて仰け反るのを他所に、ももちゃんが体勢を元に戻す。アゴを二重にしてカメラの画面を覗き込むと、そのままボタン操作。するとカメラの後ろ側からプリント写真が出てきた。


「わあ~~凄いよ~~!」


 写真を見て、クオルさんが目を輝かせる。キッズカメラの進化も著しいからね。本当に端末で撮るのと変わらないくらいの画質だ。

 あとは、コレをどこで配るかだけど……


「ほてる!」


「ももちゃん、賢い」


 頭を撫でる。嬉しそうに高い声をあげるので、二重アゴさんもモチモチ。


「やあ~~くしゅぐったい」


 逃げられちゃった。


「でも実際、アクアホテルなら」


「観光客が~~いっぱい居るね~~」


 ということで方針は決まった。

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