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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第6話:いざ、水の街へ

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6-5:大掃除ももちゃん

 まずはカビや水垢の汚れの酷い所に、お酢をドバっと垂らす。そこは数分放置のつもりなので、程度の軽い所からブラシで擦っていく。


「あわあわ、ないの?」


「うん。洗剤は無いの。けどお酢でも取れる……らしいから」


 私も実際にやったことは無いんだけどね。


「僕、そんなの知らなかったな。幸奈ちゃんは物知りだね」


 私もさっき検索してみて知っただけだから。物知りなのはグー〇ル先生なんだよね。


「それじゃあ、えっと。水の魔石? っていうのを」


「うん。といっても、念じるだけだけどね」


 そう言って、カイルくんは石を床に置く。そのまま軽く目を瞑って数秒。

 と。石から水が湧出してきた。おお、凄い。ももちゃんも目を丸くしている。


「こんなところかな」


 カイルくんが組んでいた指を離す。すると水流も止まった。


「も、ももちゃんも!」


 食いつきっぷりが凄い。ていうか私もやってみたいんだけど。


「掃除が終わったら、もう1回流すから。その時にね」


 カイルくんが小さく笑いながら下を指さす。石を組んで形成されている床、その隙間から水が下(当然そこも水路)へ落ちる構造みたいだ。良かった、掃除に使った水も拭き取らないとダメかと思ってた。


「それじゃあ、ももちゃん。頑張って終わらせて、お水出すのやってみようか」


「はい!」


 期せず、ももちゃんのモチベーションもアップした。

 というワケで。全員ブラシを持ち、作業開始だ。

 早速、近いところの水垢にブラシを当てて、

 

 ――ゴシゴシ、ゴシゴシ

 

 うん。使った感じも、現実の物と変わらないね。石床は凹凸もそれなりにあって、結構力が要るけど。

 私は他の2人の様子も見る。


「ももちゃん、持ち方こうだよ?」


 ブラシを縦に持ってるので、ちょっと直してあげる。そうすると、力が伝わりやすくなったのか、ゴシゴシと強い音が鳴る。


「そうそう」


 ももちゃんは組まれた石の間にも毛を入れて擦ってる。歯ブラシする時にそういう注意をされてるから、自然とそこに意識がいくのかも。

 カイルくんの方は……特に問題無さそうだね。


「……」

「……」

「……」


 しばらくは床をブラシで擦る音だけが響いていた。白っぽい汚れも、赤錆みたいな色のカビも、どんどん剥がれていく。酢につけていた箇所も擦ってみた。やっぱり洗剤ほど強力じゃないせいか、根気が要る。ポタポタと額から汗が落ちるのにも構わず、擦り続けること5分ほど。


「ふう。こんなモンかな」


 元の石の色に戻ったと思う。

 と。周りを見ると、ももちゃんはいつの間にかベシーちゃんと戯れていた。手を繋いで、小さく上下に振ってる。

 カイルくんは床が終わったのか、窓枠のホコリを雑巾で拭き取っていた。


「ももちゃん。ちゃんとやらないと、お水出すの、ねえねやるからね」


「や! ももちゃんがするの!」


 慌ててベシーちゃんとの握手を解除し、ブラシに持ち替える。そうして自分の分担場所へと戻った。まったく。


「……今までのクエストに比べたら、きっと格段に地味だろうからね」


 カイルくんのフォロー。まあね、でも掃除ってそういうものだから。自分の手でキレイにしていくところに、喜びを見出さないと。


 私たちはそのまま黙々と単調な作業を続け……約20分後。


「おわっ」

「たー!!」


 ももちゃんにセリフの途中から盗られちゃったけど。うん、終わりました。

 カイルくんも肩をグルグル回して、腕に溜まった乳酸を飛ばしている。


「ふう。疲れた」


「つかれたー!」


「ももちゃんは途中、サボってたでしょ?」


 ほっぺをモチーっとする。だけど悪びれることもなく、なんか嬉しそうに私の手にじゃれついてくるよね。うーん……可愛いから許してしまう。


「それじゃあ水で流してしまおう。その後、火の魔石も使って乾かすから」


 カイルくんのその言葉を聞いて、ももちゃんが私の手を払いのける。姉妹の触れ合いが、一瞬で石コロに負けちゃった。


「かいるくん! ももちゃんが!」


「うん。分かってるよ。はい、どうぞ」


 カイルくんが青い石を渡す。私も覗き込んでみた。宝石みたいなキラキラは乏しくて、なんだろう、百均とかにも売ってる安物のパワーストーンみたいな。

 ももちゃんが両手で閉じ込めてしまう。そしてグリグリして感触を確かめ始める。


「ももちゃん、そのまま念じたら水が出て、キミがビショビショになるよ」


 カイルくんが忠告してくれる。それを聞いた途端、素早い動きで床に置くものだから、噴き出しそうになった。


「取り敢えず、そのまま念じてみて」


「ねんじて?」


「お水出て~って、心の中でお願いするの」


「じんじゃ?」


「うん。神社と同じだね」


 と答えると、ももちゃんは石の前に歩み出て。パンパンと柏手を打った。それはしなくても大丈夫だと思うけど。


「……」


 目を瞑ってるのかな。ジッと動かない。そのまま数秒して、やがて石からジョロジョロと水が湧き出てきた。おお、本当に凄い石だ。ももちゃんも大喜びしてる。

 私も試させてもらって、姉妹で一通り堪能した後、カイルくんに返還。彼は石をヒョイと摘まみあげると、部屋中に満遍なく水を撒いていく。勢いの弱いホースみたいな使い方だね。というか、いつの間にか1方向からしか出なくなってる。そういう操作も出来るみたいだね。

 ももちゃんもテクテクとカイルくんの後ろをついて回り、洗い流せているかのチェック。


「うん。洗い残しは無さそうかな」


 そう言って、カイルくんは水の魔石にそっと蓋するように手を被せた。それで水の噴射はピタッと止まる。


「後は、火の魔石で軽く乾かして終わりかな」


「さっきも言ってたけど、火もあるんだ?」


「うん。この街では真水も、湿気ることのない薪も調達は難しいからね。こういうのに頼るんだ」


 なるほどね。けど、魔石ってどれくらい種類があるんだろう。


「さあ。子供は危ないから外へ出ていて。僕が使うから」


 ももちゃんの頭を優しくポンポンして、カイルくんは部屋の外へと導く。まあもちろん大火を出すとかじゃないだろうけど、結構サウナみたいになりそうな。

 それからカイルくんは5分ほど室内にこもっていたけど……出てきた時にはやっぱり汗だくになってたよね。本当に細かいね、このゲームは。

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