表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第6話:いざ、水の街へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/60

6-4:管理人室の状況

 私たちは、取り敢えずアパートの中へと入らせてもらう。

 内装は青と白のツートンで整えられており、古いながらオシャレだった。青い壁に白塗りの木枠窓、その半円のガラスから外を覗けば、エメラルドグリーンの路地が見える。

 ……ここ、私も1ヶ月くらい住みたいんだけど。エモすぎるよ。


「僕の管理人室は1階か。というか共用スペースとかなり被るね」


 調理場や洗面所関連は、ここ1階になるみたい。ていうか、真水ってどうやって手に入れるんだろう。あんまりファンタジー世界でそういうの考えすぎるのも野暮かも知れないけど。


「2階、3階には既に住人が居るわよ。後で挨拶していらっしゃい」


「うん、分かった」


「今までは私が巡回で様子を見る形だったけど……専属の管理人が来るって知ったら、みんなきっと喜ぶわ」


 そうだよね。マンションとかでも管理人さんは絶対居るし。何か住居トラブルがあった時に、すぐに相談できるのは安心だ。逆に今までは、何かあってもヒューリンさんが巡回に来てくれるまで放置するか、自分で訪ねて行く必要があったってことで。そりゃあ、きっとカイルくんは歓迎されるだろうね。


「ここに、かいるくんすむの?」


「そうだよ。住みながらお仕事もするの」


「べしちゃんもいっしょ?」


「うん」


 頷くと、ももちゃんはクシャッと笑った。2人が一緒に居られると分かって、ももちゃんも嬉しいんだね。

 その優しさが伝わったのか、ベシーちゃんがそっと近づいて来て、ももちゃんの足元にじゃれついた。


「~~♪♪」


 大喜びで抱っこする。だけどももちゃんの体も小さいから、大人が猫を抱えるのと縮尺が全然違って可愛い。


「あらあら」


 ヒューリンさんも微笑ましそうに2人を見ている。

 そんな癒やしシーンも挟みつつ、私たちは管理人室へと移動する。木の扉を開けると、少しカビ臭い空気に出迎えられた。


「へんなにおいする」


 そんなストレートに……


「1年くらい使ってないのよね。前の管理人さんが辞めて以来」


 定期的に掃除もしているそうだけど……他にも巡回してる物件はあるんだろうし、ここだけというワケにもいかない。

 

「ここのお掃除かあ」


 部屋の中を恐る恐る覗く。採光のための窓は2ヶ所あるので、暗いってことはないみたいだね。ただその代わり、青い壁に波紋のような水垢が付着しているのや、床面の石材が黒く変色していたり……ちょっと目を覆いたくなる惨状もハッキリ見えてしまうという。


「うわあ」


「うわあ」


 ももちゃんが私のマネっこをする。


「これは思った以上に骨が折れそうだね」


「それで申し訳ないのだけど……私はこの後用事があって、手伝えそうにないの。ゴメンなさいね」


 ヒューリンさんが申し訳なさそうに言う。


「いえいえ。そのために雇われてるワケですから」


 さっきも思ったけど、ここまで何もしてないしね。なんなら馬車に乗せてもらって観光に来たお客さん状態だし。


「あ、そうだ。珍しいコインが偶然手に入ったから、良かったら」


 ヒューリンさんが、ハンドバッグからコインを1枚取り出す。鈍いピンクのオシャレなコイン。


「ふらわーこいん!」


「良いんですか?」


「ええ。むしろ、コレでお駄賃になるのかしら?」


「それはもう」


 コレを集めてるんだからね。

 ももちゃんが小さなお手々を伸ばすので、ヒューリンさんが腰をかがめて渡してあげる。


「ありがとうございます」

「ありがとござます!」


「はい。こちらこそ、お仕事受けてくれてありがとうね」


 優しく頭を撫でられて、ももちゃんはクネクネ。そしてすぐにカバンからガマグチさんを出した。口を開いて、フラワーコインを中へ入れる。


「あ、ふえてる!」


「え? ああ、そうか。ルーレットで勝ったから」


 自動でガマグチの中に入れておいてくれる仕様なんだね。銀行から引き出し手続きをしなくても、普通に3000Gの参加費も取られたっぽいし、色々ユーザーの面倒を省いてくれてるね。

 でも多分、街の買い物とかは現金持ってないとダメなんだろうな。


 ――ちゃり


 コイン同士がぶつかる小さな音。ももちゃんは嬉しくなったみたいで、ガマグチさんの口を閉めて、軽く振る。


 ――ちゃり、ちゃり


 楽しいね、ももちゃん。

 ただいつまでも遊んでるワケにもいかないので……私は検索タブを開く。


「うーん、そうだなあ」


 部屋の状況を見て、掃除道具を考える。


「ヒューリンさん、お酢とかはありますか?」


「調味料の?」


「はい」


「あるハズよ。台所から持ってくるわ」


 良かった。流石に洗剤とかは無いと思うから、代用品でどうにかしないとだもんね。


「じゃあ、ももちゃん。掃除用ブラシを3つ作ってください」


 言いながら、検索窓をももちゃんにも見せる。ハンディタイプの、毛はごっついヤツ。これなら頑固汚れも大丈夫だね。


「うん」


 ももちゃんは早速、その場にペタンと座り込む。そして床の上で粘土をコネコネ。柄を作ってブラシ部も作って……連結。


「できた!」


 まずは1つ目。みるみるうちに、柄の部分はプラスティックに変わり、ブラシ部分も剛毛へ変わっていく。


「あとは水が欲しいけど……」


 水の入ったビンとか作ったら、それになってくれたりするのかな。なんて考えていると、


「真水? それなら、水の魔石を使えば良いよ」


 カイルくんがそんなことを言い出す。あ、そういうファンタジーアイテムがあるんだね。この街の人はみんな海水で我慢してるのかなと思ってたんだけど。

 と、そこで。ヒューリンさんが台所からお酢と青い石を1つ持って来てくれた。あの石がきっと水の魔石とやらかな。


「それじゃあ、申し訳ないけど、私はもう行くわね」


「あ、はい。いってらっしゃい」


「お掃除、お願いね」


 最後にももちゃんの頭をそっと撫でてから、ヒューリンさんは慌ただしく出て行った。私たちの方も、お掃除開始だね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ