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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第4話:想い届けます

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21/61

4-1:ドローンももちゃん

 私の端末に、荷物お届け完了の通知が届いた。玄関先の宅配ボックスへ向かい、回収してくる。


「ねえね、なにかきたの?」


「うん。カレーだよ」


 有名店のレトルトパウチだ。あまりに美味しそうだったから、ついね。


「かれー!? ももちゃん、かれーすき!」


 大喜びだけど、スパイスカレーだからなあ。ももちゃんには刺激が強すぎると思うよ。まあ大好きな『星のおじいさま』を作ってあげれば、このカレーのことなんて忘れてくれると思うけど。


「ん? どろーさん!」


 え? ももちゃんの指さす先を見ると、ドローンが玄関から少し離れた場所に鎮座していた。配達が済んだら速やかに次へ向かうハズなんだけど。


「本当だ。どうしたんだろうね?」


「どうしたんだろーね?」


 配達用の、ももちゃんより大きな機体。真っ黒でメカメカしくて、ちょっと威圧感がある。

 と。私の端末にメッセージが着信。運送会社からのようで、どうもドローンを運用してるシステムがダウンしたから、緊急停止中とのこと。飛行中の機体に関しては、人の居ない場所へ着地後、緊急停止するので安心して欲しいとも併記されてる。


「ドローンさん、止まっちゃったんだって」


「なんで?」


 ももちゃんにとっては、勝手に動いてるものであって、それこそ動物とあまり変わらない認識だろうからね。不思議でならないんだと思う。

 なんと説明しようか考えあぐねていた、ちょうどその時。車が1台、我が家の前に止まった。運送会社のロゴが入ってる。


「あ」


 中からオジサンが1人下りてきた。私たちに気付くと、帽子を取ってペコリと頭を下げる。そしてそのまま、ドローンを担ぎ上げるようにして回収。トランクの中へ丁寧に置くと、運転席へ回り、すぐに車を発進させた。


「おお、鮮やかな手際」


 多分、配達員さんじゃなくてエンジニアさんだね。

 再び私の端末が震える。本日の配送には遅延が出る旨、少ない人員ながら人力で配る旨が記されたメッセージ。

 

「どろーさん、だいじょうぶ?」


「うん。今、持って帰ってった人が直してくれるよ」


 それを聞くと、ももちゃんは安心したみたいで、丸いお顔に笑みを浮かべた。

 手を繋いで、家の中に入る。

 けど良かった、私の所は配達が終わってて。なんて思うのは、自己中心的すぎるかな。


 ……当たり前にあると思ってるインフラ、それも絶対じゃない。そんなことを考えさせられた一幕だった。






 今日も今日とて。VRゲーム『ブロッサム・クエスト』の世界にダイブする。

 いつものギルド前。ももちゃんとステータスを確認すると、




 ====================


 達成クエスト数:3


 所持フラワーコイン:5/100


 ====================




 こんな感じで数字が更新されていた。

 先は長いけど、コイン2枚貰えるクエストもあるし……何とかももちゃんが飽きる前にクリアできると良いな。その頃にはポニポニも解消されてるだろうし。


「……」


 改めて、私は足元に居るももちゃんを見やる。あんぱんみたいなモチモチほっぺに押し込まれるかのように△に開いている唇。私と繋いでるお手々も、ちぎりパンの名残をまだ色濃く残していて、各関節の箇所には深めの線が出来てしまっている。

 全体的にまんまるフォルムだ。園の他の子と比べても、やっぱポチャ気味だし、少し落とさないとね。


「? ねえね、はいらないの?」


「え、ああ。入ろうか」


 妹と手を繋いだまま、反対の手でドアを押し開ける。パールさんと挨拶を交わし、掲示板の前へ。あ、新しいのが出てるね。




 ====================


 No.4


 <郵便配達スタッフ>


 依頼者:郵便局事務課


 内容:郵便物(手紙・小荷物)の配達


 報酬:9000G

    フラワーコイン1枚


 備考:ギルドの斜め向かいにある郵便局へ、まずは話を聞きに行こう


 ====================




 今はこの1つだけみたいだね。前みたいに惑わされなくて良いかも。

 しかし郵便配達かあ。タイムリーというか。


「これ、受けます」


 剥がしてパールさんに渡す。ハンコを押してもらいつつ、


「郵便局なんて、近くにありましたっけ?」


「うん。ウチの斜め向かいね。西門側だし、ちょっと目立たないかな」


 西門の方なら、前回のモグラ事件で2度ほど通ってるハズだけど。気付かなかったな。まあとにかく、行ってみよう。

 ももちゃんと手を繋いで、外に出る。すぐに矢印が見つかった。


「アレかあ……」


 細長い建物で、手前側が荷受け場みたいな感じ? 石壁がコの字型に囲んであって、南側の開いてるへんから荷物を搬出入するんだと思う。石壁の分だけ奥まってるし、通りからは目立たない感じだ。

 そしてその北側が事務所みたいな感じかな。覗き込むようにしてみれば、確かに『ブロッサム郵便』という看板が掛かっていた。


「あそこ?」


「うん。郵便局」


「どろーさん、いる?」


 流石にドローンは使ってないだろうなあ。世界観が壊れちゃう。でも、もしかしたら鳥の亜人とか、箒に乗った魔女とか、そういう人が働いてる可能性はあるかも。ファンタジー世界だもんね。


「ドローンさんは居ないと思うけど、行ってみようか」


「うん」


 手を繋いだまま、事務所っぽい建物へ回る。ガラス窓から中の様子を窺うと、普通のおばさんたちが、せっせと書き物をしてるだけだった。鳥亜人の線は無さそう。まあこの王都で、亜人みたいな種族と会ったことないし、やっぱダメか。


「よし、入ろう」


 玄関ドアを開ける。作業中の中年女性たちが、一斉に顔を上げた。う。ちょっと怖い。と思ったけど、女性陣はすぐに笑顔を浮かべてくれた。


「いらっしゃいませ」

「いら……あ、冒険者の方?」


 2人目が気付いてくれた。私たちのバッジを認めたんだろう。


「はい。依頼を受けて来ました」


「ああ、良かった。すぐに来てくれたのね」


 女性たちに安堵の表情が広がる。どうやら、緊急事態なのかな。


「実は配達員の人が、今朝いきなり熱が出たみたいで」

「ポーションを飲んで安静にしてるけど」

「流石に今日はちょっとね」


 なるほど。それで1日配達員さんってワケか。


「どろーさんとおんなじ!」


 そうだね。人も機械も、いつでも元気なワケじゃないってことだ。

 

「それじゃあ、こっちに来てくれる? 制服を貸すからね」


 職員の1人が席を立ち、私たちを奥の部屋へと案内してくれた。

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