表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第3話:モグモグパニック

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/60

3-1:不法投棄ですよ

 今日も今日とて、『ブロッサム・クエスト』の世界にダイブする。またまたギルド前だ。

 ステータス画面を見て、達成クエスト数とフラワーコインが増えていることを確かめてから。


「こんにちはー」

「ちはー」


 姉妹でギルド建物内へと入る。パールさんも挨拶を返してくれて、という流れも少し慣れてきたね。 

 私たちは早速、掲示板を見る。前回お残ししたクエストが、そのまま貼られていた。




 ====================


 No.2


 <花見会場の設営>


 依頼者:青年団団長デグルス


 内容:イベントの設営。杭打ちやゴミ拾いなど。


 報酬:7500G

    フラワーコイン1枚


 備考:街の西側にある百花樹の下に集合。動きやすい恰好で参加すべし。


 ====================




 剥がして受付へと持って行く。


「おっきなおじちゃん?」


「うん。前回は助けてもらったけど、今度はおじちゃんが困ってるんだって」


「じゃあ、たすけないとね」


 ふふ。一悶着あった『No.2』の順番問題。結果的には、こっちの順番でも大丈夫だったね。ももちゃんは優しい子だから。


「お願いします」


「はい。ありがとう」


 パールさんが慣れた手つきで『受諾』のハンコを押してくれる。

 よし、それじゃあ出発だね。


「西に抜ければ、すぐだよ」


 去り際、パールさんが助言をくれる。

 ギルドも街の西通りだから、そのまま西進ってことだね。

 建物を出て、中央広場とは反対の方へ。流石に、これくらいは覚えてきたよね。ていうか、また矢印も出てるし。


 ももちゃんと手を繋いで、ひたすらテクテク行く。あ、銀行は……まあ次で良いか。折角、西側だけで完結しそうな依頼だしね。

 歩き続けていると、次第に人通りが疎らになってきた。街の外へと続く大門が見える。その手前には門番が立っていた。


「こんにちは」

「ちは」


「おや。冒険者か。街の外へ行くのかい?」


 門番さんは私たちの胸のバッジを見て、そう訊ねてくる。


「くえすと」


「ああ。もしかして、百花祭のための設営かい?」


「ひゃっかさい?」


「知らないのか。毎年、百の花を咲かせる百花樹。その開花の時に祭をやるんだよ。花見客や出店で大いに賑わうのさ」


 なるほど。日本で言うところの、お花見+夏祭りみたいな感じかな。確かにそれは賑やかそうだ。

 ももちゃんはイメージが出来ずにキョトンとしてる。もう3歳だし、来年はももちゃんを連れて行ってみようか。というのは家族で話したことはあるけど。もしかしたら、夏が来る前にこのゲームで体験できちゃうかも。


「おかし、いっぱい?」


 結局そこに行きつくんだねえ。


「ああ。お菓子だけじゃなくて、ご馳走も一杯だぞ」


 門番さんが答えると、ももちゃんの目がキラキラになる。


「ももちゃんも、おまつり!」


「うん。そのためにはフラワーコインを100枚集めないとね」

 

 ある意味では、それがコイン集め(つまりゲームクリア)へのモチベーションになってくれるかもね。

 私たちは門番さんに挨拶して、街の外へと出る。するとすぐに、大きな樹が見えてきた。5メートルくらいあるかな。それこそ神社の御神木みたいだ。

 街を囲う壁と大門の高さをもう少し下げたら、街中からでも見られるのにな。勿体ない。


「おっきいね!」


 ももちゃんもビックリしてる。繋いでる手をブンブン振られて、ちょっと肩が痛い。

 木の下に、既に青年団らしき人たちが集まってるのも見えた。う。みんな男の人か。現実だったら尻込みしちゃうけど、ゲーム世界だからね。臆さず行こう。


「こんにちは」

「ちは」


 姉妹で挨拶すると、集団が一斉に振り向いた。うう、みんなムキムキで強面だ。


「おう、冒険者だな」

「よく来てくれた」

「キツそうって言って、誰も受けてくれなかったんだ」

「助かるぜ」


 一様に歓迎されてるみたいだけど。出来れば私だって回避したい内容のクエストなんだよね。


「お。幸奈と、ももちゃんじゃねえか」


 最後に奥から出てきたスキンヘッドのおじさん。


「デグルスさん。こんにちは」

「ちは!」


 デグルスさんは、その大きな体をかがめて、ももちゃんの頭を撫でる。ももちゃんもフニャッと笑っていた。


「さてと。受けてくれたのは嬉しいけど……まあ正直、オマエさんたちに力仕事は厳しいからよ」


 うん。こっちも別作業の方が助かります。


「ちょいとゴミ拾いをしてもらおうかな、と」


 デグルスさんが、周囲を見回す。

 確かに百花樹から少し離れた辺りから、雑多に物が転がってる。朽ちたフライパンや、ボロボロの衣類、酷いのは椅子まで落ちていた。

 百花樹って、別に崇められてるとかじゃないみたいだね。樹のすぐ傍に捨てるのは躊躇われるみたいだけど、ちょっと離れた場所なら平気でゴミ捨て場にしちゃってる。


「ふほーとーき!」


「おお!? ももちゃん、よくそんな言葉知ってるね」


 パパかママ、もしくはテレビかな。

 しかし、ゲーム世界の中でも倫理の無い人は居るんだなあ。


「大物は無理しないで良いから、細々したのを集めてくれ」


 デグルスさんが皮袋を渡してくる。

 

「了解です。ももちゃん、始めようか」


「うん。ふほーとーき。ふほーとーき」


 褒められたから、嬉しくて繰り返してるんだね。


「あ、そうだ」


 私は視界の端のタブをタップする。検索窓が現れるので、そこに『ゴミ拾い用 火ばさみ』と打った。

 すぐに画像が出力される。


「ももちゃん、これ作って」


「ん? うん」


 よく分かってないまま、カバンから粘土を取り出すももちゃん。そして画像と見比べながら、ちゃっちゃと作ってくれる。正直、これなら私でも作れそうなくらい簡単なフォルムだからね。


「はい」


 粘土の火ばさみは銀に色づき、やがて感触や硬度もステンレスのソレへと変化した。

 受け取って、カチカチ。


「あ! ももちゃんも」


 残りの粘土で、もう1本作ると、ももちゃんもカチカチ。

 パン屋さんとかでも、トングでカチカチするの大好きだもんね、ももちゃんは。


 そうして。姉妹でやかましい音を立てながら、私たちはゴミ拾い作業に従事してくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ