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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第2話:重い物を運ぶなら

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2-6:追加報酬があった

 車輪は問題なく嵌って、軋んだり壊れたりも無さそう。


「ふう……はあ……はあ」


 流石の筋肉自慢さんでも、やっぱりキツかったらしく、デグルスさんは肩で息をしている。きっと200キロくらいあるもんね、あの積み荷。


「ありがとう」


「助かったよ、本当に」


 ご夫婦が労い、私たちも感謝を伝える。デグルスさんは晴れやかな顔で、鼻の下を指で擦った。


「でも本当に良かったわ。明日の仕込みもあるし、小麦粉が届かなかったら」


 そうだね。今日も私たちのモニターのために営業時間を短縮してるのに……明日まで店休日になるところだった。

 ホッとした空気の中、旦那さんが御者席に乗り込んで、馬車を動かしてみる。問題なく動いてるみたいだ。石橋を越えていくのを見送って、


「んじゃあ、俺は用があるからよ」


 デグルスさんが去って行く。本当に颯爽と現れて、ピンチを救ってくれて、ヒーローみたいだったね。

 オルディアさんが、その背中にもう1度お礼を言って……私たちも馬車の後を追った。


 ………………

 …………

 ……


 その後。オルディアさんと旦那さんは、積荷を下ろし、店へと運び入れた。私たちも車輪になっていた粘土を回収。あくまで応急処置だったから、後日、改めて本物の車輪を嵌めて修理してもらう形だね。

 そして2人は営業に戻る。


「ありがとう、ももちゃん、幸奈ちゃん」


「キミたちは心優しい冒険者さんだね」


 なんて褒めてもらえて、ももちゃんは照れてクネクネしていた。

 そして私たちも、ギルドへと戻る。


「ただいま戻りました」


「ああ、おかえり。上手くいったみたいだね」


 私たちの充実した顔を見て、パールさんも嬉しそうだった。少し彼女に慣れてきたももちゃんが、拙い語彙で一生懸命にケーキの美味しさを伝えている。それを優しい笑みで聞きながら、パールさんは依頼書にポンとハンコを押した。


「はい、こっちが報酬ね。少し多く出てるよ」


 袋を覗くと、銀貨が7枚入っていた。確か4枚のお仕事だったハズ(ケーキのモニターだけなら4枚でも貰いすぎかも)だけど、急なアクシデントに対処したのも加味して、色をつけてくれたみたい。


「そしてフラワーコインの方も……」


 なんと2枚、テーブルの上に置かれた。ももちゃんが私の腕の中でバタバタ。手を伸ばして、両手で1枚ずつ持った。それを目元に当てて、こっちを首だけで振り返ってくる。


「ふふ」


 古典アニメとかで見る、目がお金になってる守銭奴キャラみたい。


「やったね、ももちゃん」


「やったね~~」


 オウム返しをしてくる。床に下ろすと、妹は大喜びでカバンを開けた。中からカエルさんデザインのガマグチ財布を取り出すと、パカッと開けてコインを仕舞い込んだ。


「よし。今日はここまでだね」


 1回のダイブで1クエスト。ご飯前とかに出来る、ちょうど良い塩梅なのも、このゲームの魅力の1つなのかも。

 私たちは建物を出た後、ゲームからもログアウトした。今回のクエストはあんまり歩かなかったけど……ケーキ美味しかったね。






 翌日のことだった。

 ももちゃんを連れて買い物に出掛けようと、ママの自転車に乗り込んだんだけど……


「すううう」


 背後のチャイルドシートから息を大きく吸う声が聞こえて、何事かと振り返る。

 ももちゃんが頬を内側から吸って凹ませていた。目もバチッと開かれていて、とても変な顔になってる。


「え? え?」


 また新しい遊びでも始めたのかな。と、ももちゃんを見るけど、至極マジメな雰囲気。更にはお腹も凹ませてるみたいで、背筋がピンと伸びていた。

 思わず噴き出してしまう。


「ももちゃん、なーにそれ?」


「……」


 全く意図が分からない。

 手を伸ばして、脇腹の辺りをくすぐってみた。途端に凹んでいた頬がプクッと膨らんで元のモチモチに戻った。


「だめ!」


「なんでそんなことしてるの?」


「だって……」


 ももちゃんがチャイルドシートから下を見る。そこには後輪があるワケだけど……


「とれちゃう」


 車輪が取れる?

 ……あ、そういうことか。今まで何の疑問も持たずに乗ってた自転車だけど、重たい物が載ったら車輪が外れることもあるということを知ってしまったから。


「ももちゃん、大丈夫だよ。よっぽど重い物を乗せないと……」


「すううう」


 ええ……? また変顔になっちゃった。


「というか、ももちゃんが凹んでも重さは変わらないんだけどね」


 子供の発想には、しばしば驚かされるけど。

 ……今度はほっぺた突ついてみようかな。ということで人差し指を伸ばすけど、


 ――ぱちっ!


 あいた。叩き落とされてしまった。


「もう……それでスーパーまで行くの?」


 コクコクと頷くももちゃん。ほっぺ凹んで、唇とんがったまま。

 変な子だと思われても知らないからね。

 私はもう諦めて、そのまま自転車を発進させた。スーパーに着いた後は、ほっぺも元に戻り、元気にお菓子をねだられた。うん、そのお菓子を我慢して痩せてくれた方が、車輪に掛かる負担も減るんだけどなあ。


 ……後日、保育園の先生に、


「百花ちゃん、お散歩カートに乗せると不思議なお顔になるんですけど、何かの遊びですか?」


 と聞かれて、答えに窮した。なんてオチまでついていたりするんだけど、それはまた別のお話。

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― 新着の感想 ―
自転車が故障したときは某製作所の息子さんにお任せ! 今なら"ぷてやのどん"の木彫りも着いてくるかも!? 木彫りを手にして喜んでるももちゃん見て和んでいると彼女さんからまたロリコン呼ばわりされてしまい…
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