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3歳児ももちゃんのVRMMO大冒険  作者: 生姜寧也
第2話:重い物を運ぶなら

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2-2:預金してみた

 内容を見ていくと。




 ====================


 No.2


 <花見会場の設営>


 依頼者:青年団団長デグルス


 内容:イベントの設営。杭打ちやゴミ拾いなど。


 報酬:7500G

    フラワーコイン1枚


 備考:街の西側にある百花樹の下に集合。動きやすい恰好で参加すべし。


 ====================




 ====================


 No.3


 <新作ケーキのモニター>


 依頼者:パティシエのオルディア


 内容:新作ケーキを試食して感想を言って欲しい。


 報酬:4000G

    フラワーコイン1枚


 備考:街の東通りにあるケーキ屋さんに行こう。お腹を空かせておくのが吉かも。


 ====================




 ということだった。なるほど。これは体力的にもしんどそうな2番をやらせて、3番でご褒美という感じだね。良い塩梅だ。

 だけど、


「ももちゃん、こっちがいい」


 指さす先は……ケーキのモニターの方だった。言うと思ったけど。


「ももちゃん、先にしんどそうなのやらない? こっち頑張った後にご褒美で」


「や」


 うーん。

 正直、2つ同時に出さないで欲しかったよねえ。逆に言うと、こういうところを保護者に諭させる目的なのかも知れないけど。でも大体の保護者は幼児には甘いから……


「ももちゃん、ケーキはさ……昨日パパが」


「ちらない」


「買ってきてくれて、みんなで」


「ちらない」


 ……ちらないハズないんだけどなあ。ちっこいフォークであんなに懸命に食べてたのに。


「ももちゃん、こっちやる」


 うーん。仕方ないかあ。私は厳しくも正しい保護者にはなれないよ。


「じゃあ。こっちやったら、次は絶対こっちだよ? 約束できる?」


 3の後、2へと指を動かして示す。


「うん!」


 お返事は立派なんだけどねえ、いつも。

 ……まあ良いや。

 私はももちゃんを床に下ろし、小指を突き出す。ももちゃんも同じようにして、私の小指と絡み合わせた。私の半分くらいしかないような、ちっちゃなお指を優しく振って、指切りげんまん。


「ウソついたら、パパの靴下お鼻に当てるからね?」


「や~~! くしゃい!」


 嫌なら約束は守ること。

 というワケで、私は『No.2』の方をスルーして『No.3』の依頼書を剥がす。それをパールさんに渡すと、彼女は前回同様ハンコで『受諾』の文字を押した。

 それで本来なら、私たちはギルドを後にしてクエストへ向かうハズなんだけど。今日は訊ねなきゃいけないことがあるからね。


「ん? どうしたの?」


「あの。この街って銀行とかあります?」


「え? あ、ああ。硬貨を持ち歩くと重いからね」


 良かった。やっぱりあるっぽい。


「中央広場から少し北に行った辺りにあるよ」


 ということは、王城の方か。なんとなく貴族とか豪商がやってるイメージあるけど、やっぱりこの街は北側がリッチな感じなのかな。


「ありがとうございます。行ってみます」


 というワケで、今度こそ出発。ももちゃんと手を繋ごうと、斜め下に掌を伸ばしたけど、スカッと空振り。ももちゃんは既にタタタと走り出していた。うん、ケーキの魔力は凄いね。


「ねえね、あけて!」


「はいはい」


 ドアを押して開ける。「キーッ」とも「キャー」ともつかない甲高い声を上げて、ももちゃんが飛び出していく。テンションあがりすぎ。


「ああ、ダメだよ、ももちゃん」


 その腕を掴んで引き留める。慣性でダランと足首が砕けちゃった。こけないように、膝で背中を支える。

 飛び出しからの、フニャンからの、膝押さえ。お散歩するようになった1歳児の頃からやってる動きだからね。私も、もう完全に熟練してしまったよ。


「飛び出したら危ないでしょ」


「ん」


 首を小さく縦に振って答えるももちゃん。

 まあこの世界では、どうも街中を馬車とかも走ってないみたいだし、轢かれる心配は無いんだろうけどね。


 抱き上げて、通りに下ろす。それでももちゃんも落ち着いてくれたのか、私の手を握ってゆっくり歩きだした。うんうん。ケーキは逃げないからね。

 それに、依頼の前に銀行に行ってみたいし。ももちゃんには退屈かも知れないけど。


「よし、じゃあ改めて出発だね」


 まずは中央広場を目指して……


「はんたいだよ?」


「……」


 方向音痴、治したいなあ。


 ………………

 …………

 ……


 パールさんの言った通り、噴水広場から北通りに入って、角から2番目の建物が銀行だった。店舗上部の石材を立体的に削って『ブロッサム銀行』と浮き上がらせている。他の店は木の看板を掲げているのが多いのに、とても凝ってるよね。

 ……儲かってるんだろうなあ。


 扉もガラス張りなので、中の様子が見える。マジマジ見てると、行員さんと目が合った。なんか雰囲気的に、ちょっと入りにくいなあ。

 まあ言ってられないんだけどね。


「すいませーん」


 小声で言いながら、ガラスドアを押し開ける。先程の行員さんとは違う、若い女性が対応してくれた。

 口座開設もゲーム登録時に使った名前とかが自動入力されているようで、非常にスムーズに事が運んだ。それでもまあ、ももちゃんは退屈そうに足元に絡みついてたけどね。


 ともあれ、無事に銀貨7枚を預けることに成功した。冒険の拠点を変えても、どの街にも『ブロッサム銀行』の支点はあるそうで、どこでも入出金が可能とのこと。

 ここら辺は、便利システムになってるよね。


「ももちゃん、ゴメン。行こうか」


「ん……」


 少し拗ね気味。けど大人しく待っててくれた方だね。

 ちなみにフラワーコインも預かってくれるそうだけど、ももちゃんが拒否した。「ももちゃんがもっとくの!」との仰せ。オモチャを取られそうになった時と同じ反応なので、ももちゃんの中ではコインもその類なのかな。


 その後。並びの雑貨屋さんで、フラワーコインを入れるガマグチ財布と、粘土を入れる用のカバンも買ってから。


「よし、それじゃあ東の……ええっと」


 あ、あった、あった。今回は矢印が出てる。こういうのに頼るから、いつまで経っても方向音痴が治らないんだろうけどね……

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