柴田勉が、毒を盛った
柴田勉は、一般人だった。
ゲームの賞金欲しさに、会社に有給を頼んだが、却下されて。そのまま、会社を退職してゲームに参加した人だ。
ゲームクリアとサブクエを、幾つクリアしたかによって、勝敗を決める戦いだったが。
柴田は、黒田が準備したドリンクに、注射器で下剤を注入した。
俺と清盛先輩は、三重に移動していた。
1月7日、亀山署にて、柴田勉を取り調べ。
柴田は、ただのゲームが好きなだけだった。
配信をしているとか、SNSでお金を稼いでいない。
そして、柴田は参加者に酷く嫌われていた。
それもそうだろう、誰だってそうする。
「訴訟を起こすから、柴田の情報を提示しろとうるさかった」
黒田が用意した、クーラーボックスの飲み物に、下剤を注入していたらしい。
わざわざ、注射器と下剤を準備して。エナジードリンクや水、お茶に至るまで、全てに注入して。
柴田自身は、外に出てタバコを吸いながら、問題の自販機で飲み物を買っている。
優勝賞金の100万円の為に、悪魔に魂を売った。
柴田は、このゲームの為に、有給を申請していたが。却下されて、会社を退社。
すべてを掛けて、ゲームに参加をしている。
背水の陣と言えるが。無鉄砲で、考えなしだ。
彼が、先川晴美事件で無罪だったとしても。
次は、毒混入の加害者となる。被害総額は、4桁万円になるだろう。
皆に共通しているのは、黒田に集められたと言っているが。
黒田は、いまだに行方不明で。写真をみせても、違うと口を合わせ。
次に、赤石の写真を見せると、こいつが黒田と口々に答えた。
「結局、俺達は騙されただよ。ゲームの主催者は消えるし。100万円は手に入らなかった」
柴田は、被害者だと言っている。
「主催者が、消えて。おれの個人情報が流出する事は無かったが。あれは何だったんだ。未だに夢を見るし、左手が気持ち悪いんだよ」
柴田も、165cmの痩せ方、短髪、左利き。
赤石とほぼ同じ体型で、犯行に使われた服装も同じだ。
ゲームには、補正や修正が入るが。
柴田達が、夢で見たものは、リアルな先川晴美の殺害シーンだ。
ナイフが喉に入る肉感に、引き抜く感触。飛び散る血液。馬乗りになりながら、袈裟懸け状にナイフを強く引いた左手。全てがリアルだ。
眠らずにゲームを続け、白昼夢のように先川の殺害シーンが流れる。
PTSDになり、精神がおかしくなるだろう。
ボディシェアリングは、仮想空間、ゲーム、リハビリ、アダルトの分野で比較的に延びた業界だ。
赤石が、ボディシェアリングに出会ったのはリハビリをしながらだった。
特別なプラスチックのグローブを嵌めて、動かないはずの右手が、左手と連動した。
左手を握ると、右手のプラスチックがモノを捉えて。右手の手首に付けられた、機械が脳に信号を送った。
赤石にとっては、久しぶりの反応だったが。
複雑な思いになる。
右手を使えず。物事がうまく行かない。
赤石は、右利きだ。
右手を、動かす為に左手を使い、何度も練習をした。
そして、示談が成立した。
黒田家は親戚を回り、慰謝料を掻き集め僕の両親に支払いを済ませた。
その頃から、先川は、入院している僕の所に顔を見せ始めた。
最初は、申し訳なさそうに、謝っていたが。
「先川さんは、悪く無い。全部、黒田が悪い」と言っても、謝罪するだけだった。
最初の頃は、僕もそれなりに抵抗したが。済ませないと、先川さんは帰ってくれない。
最近は、僕の射精を口で受け止めると、直ぐに帰っるようになった。
『謝罪をしている。つもりだ』
黒田と先川は、当時付き合っていた。
黒田は、サッカー部に属していて、高身長で暴力的な要素を隠していた。
先川が、それに気付いたのは、性行為中に動画を撮ったり、部室で性行為をした事を断ってからだ。
黒田は、暴力を振るうようになり。
別れ話を出すと、動画を見せて先川を脅した。
僕は、5時限目の体育をサボり、バトミントン部の部室で、横になっていた。
今朝買った、少年誌を読みながら、サイダーを飲んでいた。
サッカー部の部室の隣に、バトミントン部の部室が有り、作りは同じ簡素だが。バトミントン部は、スノコを敷いて土禁にしていた。
そんな時だ、隣から、喘ぎ声が聞こえた。
『イヤホンしろよ』と、思ったが。
違った。異様に生々しく、喘ぎ声と共に、木が軋む音がした。
「お願い、部室は辞めよう。誰かに見られたら…」
女性は、喘ぎながらも、抵抗をしているようだ。
僕は、興奮していた。
聞き耳を立てて、意識を隣に集中していた。
そして、隣の壁にゆっくりと近づき、サイダーの缶を蹴った。
『カラン、ゴロゴロゴロ、シュワ~〜〜』
床に溢れたサイダーが、弾けた音まで聞こえた。
僕は、動けなくなった。
隣から、音が消えたからだ。
数分なのか、数十秒なのか、分からないが。女性の喘ぎ声が再開した。
僕は、パンツとズボンを上げて、逃げようとした。
そんな時に、バトミントン部の部室のドアが開いた。鍵は掛けてなかった。
「何やってんだ、赤石」
僕は、急いでパンツを上げ。ズボンを落とした。
同級生で、サッカー部の黒田だった。
クラスになったことは無いが、嫌な奴だと聞いている。
僕は、シャツとパンツの格好で、首を黒田の左腕でロックされたまま、隣のサッカー部の部室部屋連れ込まれた。
先川さんは、全裸で電マを当てていた。
「何で」
先川さんは、電マを捨てて。小さく丸まった。
「何でって、動画を撮るのに三脚が必要だろ」
黒田は、先川さんのスマホを僕に渡して。
動画を撮るように、命令した。
黒田は、泣きじゃくる先川さんを、レイプするように犯して。
僕は、下半身露出を強要されながら、先川さんのスマホで動画を撮った。
黒田のスマホは、下半身を露出した僕を撮っていた。
僕の下半身は、興奮していた。
その後の僕は、黒田に使われた。
「何々、盗撮は300万円以下の罰金が架せられます、だってよ。俺は、優しいから。十万で良いよ」
別に、僕の下半身なんてどうでもよかったが。
反抗すると。
「先川のあられもない姿が、出回るぞ。お前のせいだぞ、いいのか。先川が、世間を歩けなくなっても」
僕は、バイトを初め。黒田に、お金を払うようになった。
そこから、萎縮する人生が始まり。バイト先でも、怒鳴られたりすると、直ぐに謝り。クビが続いた。
登校拒否をしても、メールで脅され。三脚要員として使われ。半年後の2月に事件が起きた。
僕は、火傷を負い。死ねると思った。
苦しい、半年にピリオドを打てると思った。
熱く苦しいが、解放されると思った。
先川さんが、許してくれなかった。
死の淵の僕に、大量の水を浴びせて。僕が楽になるのを止めた。
僕は、右手が開かず、胸に火傷とシャツが着いていた。
醜い僕が、更に酷くなった。
読んでいただき、有難うございます。
大分、脱線しましたが、馬鹿みたいで、強引に修正します。お帰りは、アチラです。
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