人物論①
これはあくまで作者の作り出した方法論であり、いわゆる査読された精神医学等の論文には基づいておりません。転載禁止、引用の際はこのURLを引用元としてください。
人の思考ってやつは「脳みそ」でするらしい。
その「脳みそ」を走る電気信号は「意識」と「無意識」に別れている。
別に意識しないで呼吸しているし、喉も乾く。
有機体の生命維持なんてコンピュータではまだまだ対応できていない。
「意識下」という「生命」全体から見れば数%かもしれない「思考」は「言語」で出来ている。
その「言語」は地域によって違う。
日本語、英語に東京弁に名古屋弁。
思考するための「言語」の習得は「耳コピ」だ。
ママ、パパ。名詞、動詞、形容詞。優しい言葉、辛辣な笑い。
従って、特に幼少期において周りの人達がどのような「言葉」で話をしていたのか、を知るのは大原則となる。
まず「土地」の記憶を探るのも、人格形成において最初に起こることだからだ。
次は「時代」。この人物の人格形成期に何が流行っていたのか、地域社会や国家感、手に入る国際ニュースなどを確認する。
ここまでのかなり広範囲な周辺情報を集めてから、彼が彼たる所以である「条件」づけを開始する。
いわゆる「人物鑑定」において、間違いやすいことのひとつに「その人物は特別だった」という先入観がある。
「プロファイル」を作成される人物は確かに大体「特殊」ではあるが、あくまで「人間」であることは間違いない。
はっきり言えば「特別だったこと」から「人物像」を作り上げてしまう。ゲームのキャラクター設定があたかも初めからあったように。
この考えで「プロファイル」を作れば、単に「特別な人の特別な時間」、我々には無関係の「御伽話」になる。
我々調査をする側が第一義的に忘れてはならないことは「この人物は人間である」ということだ。
定命であり、その思考回路はあくまで「言語」「知識」「経験」からなっている。
例えば、ここまでで簡単に「北関東、倉賀野周辺で人格形成期を過ごした人間」の「倉賀野における所縁の場所」を確認した。
そんな人物はいっぱいいるだろう。
少なくともベーシストさんは該当する。
ここから「彼」だけの「条件」を足していく。
ただし、この「条件」は可能な限り裏付けがある「パーソナリティに関わる事実」だけをまずは足していく。
その際は「時間」に注意する。
人格形成期の「基礎時間」、最終的な「俯瞰時間」に起こった「事実」は及ぼす範囲が全く異なる。
間違っても「心象」はここで足さない。「人物鑑定」で間違った印象を与えるのは大体、この段階のミスだと、俺は思っている。
「事実」と「事象」も違う。
データを取り間違えないように注意する。
もし迷った場合はデータの影響力が少なければ「落とす」か「事象」として「該当時間」だけ考慮する。
この人物だと「基礎時間」では「1960年10月07日に出生」「男性」「日本語話者」及び以下で教育を受けた「倉賀野小学校」「倉賀野中学校」「藤岡高校」。
出身家庭は「自営業者(惣菜屋を兼任していた肉屋)」であり「姉がいる」。
もし全体俯瞰図を作る場合には以下も入れる。
「アメリカへ移住」「既婚」「ニ男一女の父親」。
ほぼ絶対的な「個人事実」だけだと、こんなもの。
ここではこの「人物」に起ったいろいろな出来事は入れない。
もしかしたらLGBTQかもしれないとかも入れないし、母親が「金沢出身」かもしれないが、戸籍謄本などで確認できない以上は「二次的情報」として入れない。極端な兆候を示さない限り、身長や体重など変化しやすいものも入れない。
こうしてベーシックな「事実」だけを見れば、この「調査対象」が「人間」であり、あまりにかけ離れた相手ではないとわかるだろう。
だが、彼の時間はあまりにも「物語」。
「選定の剣」なきアーサー王の物語。