倉賀野 倉賀野駅
東京方面から在来線で北関東に向かうと、大きくは大宮駅で分岐があり、宇都宮と高崎行きとなる。
今から思えば、遥かな昔。
上野は高崎、新宿は宇都宮と分かれていたからわかりやすい反面、乗り換え時の椅子取りゲームに負けると立ちっぱなしになる恐怖がついて回った。
そんな高崎線、倉賀野。それはJRの停車駅。
決して、JR「貨物」の停車駅ではない。
もう、まじで昭和で時が止まりすぎていて、説明のしようがない。撮った写真の情報が「1979」ではなく「2023」なのに震える。
何もない、地上高架の駅階段を登ると今は珍しい、ひとりがけの椅子に、おばあちゃん家にあるような手作り感溢れる、だけど使いすぎてぼろぼろで色褪せたせんべいクッションが敷いてある。
もうフォトジェニックを通り越して、タイムスリップ in 群馬
いっそ、これで売り出したらどうだろう?
都内から1時間。50年前にタイムスリップ。ついでに電車でくると、キラキラ銀テープを赤い衣装の顔はめパネルに投げて40年前の日本のコンサートを再現した写真が取れますとかもサービスしとけば、国外旅行者には人気が出るかもしれない。
日本のコンサートはかなり異質だ。
売れるかは別として、国外だともっと小さなライブ会場とかでおいくつか不明なミュージシャンが歌っている。キラキラ銀テープとか、かなり変わった体験だと思う。
なんでこんな長閑な街からバンドマンが3人も出たのか。
・・・忘れられているが、10歳かそこらの時に新品自転車をカツアゲされてしまったベーシストも当然、この街の出身である。というか、学歴は全部一緒。リアルな幼馴染さん。暴露話には事欠かないだろう。
正直に、この方はプライド激高な言葉が並ぶ。
調査対象の方が、よっぽど気を遣っている。
ベーシストさんのうっかり話はご自身が書くか、ギタリストさんが暴露するなどで記録があるが、そのほぼ全てで調査対象がフォローするか笑いに変えている。
なお、カツアゲ話はベーシストさんの記述である。
調査対象のファンクラブへの寄稿。
この2人の力関係がどうなっていたのかは不明。
調査前は単なるいじめっ子といじめられっ子に見えた。
だが、記録を俯瞰した限り、案外仲良くしていたのだと思われる。というか、調査対象は人に好かれるし、人が好きな方だと思う。この方に見限られるのは、よっっっぽど、な「わがまま」である。
そんなベーシストさんと非武装中立な魔王様は駅の反対側出身。
反対側を見て回るには、事前資料の読み込みが足りない。とりあえず、休もう。
飲み物が欲しいと思ったが、なぜか、自販機は17アイスクリームのみ。懐かしい。ボーリング場とかにあったのを子どもの頃にねだって食べた。
大好きだったグレープのシャーベットを食べる。
次の目的地までの電車は1時間こない。マジか。
目的地まで歩くか、悩む。
だけど、だいぶ歩き回って疲れた。電車で行こうと駅で待つと決めて、ホームに向かう。
ところどころが陥没したり、雑草がコンクリを突き破っている駅のホームで、女子高生が携帯電話で会話していた。
目の前には、携帯で電話している女子高生、見るからに古ぼけた、赤い塗装がぼろぼろ一両だけの車両。光が強い曇り空は、白いキャンバス。
風が強く吹いて、女の子の髪が散らばる。
どこかから、風鈴の音が鳴っている。