新たな地
「本当にドラゴンを倒しちまうなんてなぁ。お前さんは一体なにもんなんだ?」
「あはは……なんでしょうね」
再び動き出した馬車。
冒険者たちには感謝され、無事正規ルートを通ってもいいことになった。
御者は驚いた様子で俺に何度も話しかけ、どうやって倒したのかだとかを聞いてきた。
と言っても、俺は別にすごくないので笑うしかない。
本当にすごいのは、今目の前で眠っている精霊。
エレノアなのだから。
◆
「お疲れさん! クリス男爵領に着いたぞ!」
「んああ……」
どうやら眠ってしまっていたらしい。
気がつく頃には朝日が昇っていて、小窓からは光りが漏れている。
「エレノア、起きて。どうやら着いたらしいよ」
「旦那様……旦那……むわ!」
「うが!?」
飛び起きたエレノアの額が俺の顔面に思い切り当たり、吹き飛ばされる。
いってえ……どんな力だよ……。
痛む額を押さえながら、どうにか立ち上がる。
エレノアも立ち上がって、先に馬車から下りた。
「うおお。ここがクリス男爵領か」
外に出てみると、自然豊かな空気が頬を撫でた。
多分ここは中心部だろう。
人が行き交い、少年少女たちが走り回っている。
といっても、やはり王都や公爵領と違って人の姿は少ない方だ。
のどかな森も近くにあって、雰囲気は全然違う。
「ここまで送ってくれてありがとうございます」
「いや、いいんだよ。いいものを見せてもらったからな!」
言いながら、御者は荷物を下ろしている。
俺も少し手伝うことにした。
「それじゃあな!」
「ありがとうございましたー!」
去っていく馬車を見送った後、俺はぐっと伸びをする。
新たな土地、クリス男爵領。
ここから始まる、新たな生活。
「頑張らないとな!」
「頑張ろうね!」
エレノアと拳をぶつけ、さてと前を見る。
問題はまだまだ山積みだ。
ひとまずお金が欲しい。
ポケットに手を突っ込み、自分の所持金を確認する。
10ゴールド。
これは一食分くらいの所持金である。
しかもこれは一人分。
あまりにも貧乏だ。
現実を見ると、ため息が漏れた。
「まずはお金稼ぎをしないとな」
「どこかあてはあるの?」
「やっぱり手っ取り早いのは冒険者業だろうな」
「冒険者ってことは、昨日見た人たちみたいな?」
「そうそれ」
「なるほどなぁ。なんだか危険がいっぱいそうだね!」
「でもロマンがあるだろ?」
「それも……そう?」
「分かってる……?」
「多分……?」
どうやら精霊にはロマンが分からないらしい。
悲しいぜ。男なら誰だって憧れるものなのに。
「というわけで、まずは冒険者ギルドに行こう!」
「よく分からないけど旦那様の言うままにー!」
俺たちは拳を突き上げ、叫んだ。
◆
「ああ? 誰だぁお前ら?」
「見たこともねえ顔だなぁ」
「新人か? それともどこか別の領地から来た野郎か?」
「どうやらどっかの領地から来たらしいぜ。服装を見な、ここの領地の人間じゃねえ」
「あ、あれ……?」
待ってくれ。
全く歓迎されてなくね?
これから第二章に入ります。第二章は『炎の精霊編』。新たな力、新たな友人。更に物語は加速していきます!
さて、そこで皆様に第一章完結のお祝いが欲しかったりします……!
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