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神々の子供、その力

「《風の刃》ッッッ!!!!」


 風がいくつもの刃になり、相手へと飛んでいく。

 硬い鱗すらも破壊し、身をえぐる。


 あまりにも強大な力を前に、自分すらも驚いてしまった。


 これが精霊の力……半端ねえな。


 だが、さすがはSランク。その程度ではまだ倒れない。


「エレノア、もう少し力を貸してくれるか」


「うー!!」


 隣を飛ぶエレノアに相槌を打ち、俺は剣を引き抜く。


 空中からドラゴンを見下ろし、ふうと息を吐いた。


 俺は《剣聖》になれなかった落ちこぼれだ。


 でも、誰かのために剣を握るのは覚悟している。

 覚悟して、俺は剣を下げている。


 構え、そして集中する。


 途端、剣に風がまとわりつく。


 剣が緑色に輝き、周囲に暴風が吹き荒れる。


 これが――神々の子供、その力。


「喰らえ!! これでおしまいだぁぁぁぁぁ!!」


 剣をドラゴンに向かって穿つ。


 心臓に突き刺さった剣は、光りとともにドラゴンを確実に仕留めた。


 轟音とともに倒れるドラゴンを見下ろし、俺は地面に着地する。

 ふうと嘆息して、服を払った。


「やったね旦那様!」


「ああ。さすがはエレノアだ」


 人間の姿に戻ったエレノアが俺にハイタッチを求める。

 もちろん喜んでハイタッチを交わした。


 さて、と。


 倒れたドラゴンに近づき、様子を見る。

 本当にこれで討伐完了したんだよな……。


 覗き込もうとした瞬間、ドラゴンと目があった。


「い、生きてる!?」


「大丈夫だよ。もう瀕死」


 驚いたが、エレノアに制され少し落ち着く。

 どうやら本当に瀕死のようだ。


『貴様が……【精霊使い】アルマか。まさかこれほどまでとはな』


「どうして俺の名前を……」


 ドラゴンは俺を睨めつけ、静かに瞬きをする。


『知っていると思うが、精霊は神々の子供だ。それを扱う人間が生まれた今、各地で精霊が……』


 何かを言おうとした瞬間、ドラゴンの口から血が吐き出される。

 なんだ。一体何が起きているんだ。


『いいか、貴様の力は強大だ。世界を転覆させることだってできる。我々はいつも貴様を狙っているぞ。覚えておくがいい、『魔の一族』はいつも神々を――貴様を狙っているとな』


 そう言って、ドラゴンは絶命した。


 俺は動揺しながら、エレノアに尋ねる。


「何が起こったんだ……一体?」


「分からない……でも、よくないことが起ころうとしているのは確か」


「そうか。俺のスキル《精霊使い》。これってそんなに危険な――」


 自分の手を眺めていると、男たちがこちらに駆け寄ってきた。


「本当にありがとう!! 君のおかげで僕たちパーティーは助かったよ!」

「Sランクのドラゴンを倒すなんて何者なの!? 本当に追放されたの!?」

「やばすぎるだろお前!!」


「うお!?」


 胴上げというのはこういうものなのだろう。

 俺の体は宙を舞い、わいわいと持ち上げられる。


「わーい! 私も混ざる!」


 先程までの雰囲気はどこへやら。

 エレノアも混ざって俺のことを持ち上げ始めた。


「ちょ、ちょっと!?」


「英雄だ!」

「英雄!」

「英雄だぁぁぁ!!」

「えいゆー!!」


 俺は困惑しながらも、まあこれも悪くないなと笑った。

 誰かを助けることができてよかった。


 それだけでいいじゃないか。


 これからのことはこれから考えよう。


 ひとまず、誰かを助けることができた。


 その事実を喜ぶことにしよう。

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