帰ろう
【★あとがきに大切なお知らせがあります!★】
「やばい……食べすぎてまだ気持ち悪いんだけど……」
「食べすぎたわ……おかげで全く眠れなかった……」
宴の後、俺たちは宿に向かいそのまま寝ることにした。
俺は別に無理をしていたわけではないので、すぐに眠れたんだけど、二人は違ったらしい。
食べ過ぎたようで全く眠れなかったらしく、うとうととしている。
とはいえ楽しそうだったのでよしとする。
怒ったりなんかはしない。
「もう帰るのか」
「ええ。俺がするべきことは終わったので」
早朝。
俺が馬車を待っていると、ギルドの人たちが見送りに来てくれた。
まさか来てくれるとは思っていなかったので驚いてしまう。
でも嬉しい。
あれほど嫌われていたのに、今ではこうやって見送りにまで来てくれている。
「寂しくなるな。な、お前ら」
「そうだぜ旦那ぁ!」
「寂しいぜぇ!」
「泣いちまう! 英雄さんがいなくなるなんてよぉ!」
「あはは……やっぱり英雄って呼ばれるのは慣れないな」
頭をかきながら困っていると、男が肩を叩いてくる。
「いや、お前は集落の英雄だ。俺たちは感謝している」
「そこまで言われると自信を持つしかないですね。また、何かあったら言ってください。すぐに駆けつけますので」
「おう。期待してるぞ」
ばしっと背中を叩いて、男はガハハと笑う。
そう待っていると、クリス男爵領中心部へと向かう馬車がやってきた。
「それじゃエレノア、シャーロット。乗ろうか」
「分かった……!」
「さて帰りましょ。あたし疲れたわ……うぷ。体調悪い……」
「お前ら……馬車で吐くなよ?」
「「分からない……」」
「本当にやめてくれよ……」
めちゃくちゃ不安だが、ここを逃すとしばらく来ないらしいので乗ることにする。
とりあえず酔わないように遠くの方を見るよう言っておいた。
最低限の対策だけど、少しはマシになるだろう。
「それじゃあなー!」
「また会おうぜ!」
「じゃあな英雄!」
冒険者たちが手を振ってくれる。
俺も振り返し、背もたれにもたれた。
「なんやかんやで悪くなかったな」
「そうだね。いい人たちだった!」
「まあ最後許してあげたわ。あたしって寛大だから!」
そんな会話をしていると、ふと声が聞こえた。
誰かが叫んでいるらしい。
「本当にありがとうございました! また、いつか私の店に来てください!」
「ちょっと! まだ動くのは危ないですから!」
窓から顔を出して見てみると、頭に包帯を巻いた店主の姿があった。
受付嬢さんが慌てた様子で叫んでいるのを止めている。
はは。あの人は相変わらずだな。
「ええ! またいつか!」
俺がそう叫ぶと、店主は満面の笑みを浮かべる。
確認した後、俺は再度体重を預けた。
「不思議なこともあるもんだな」
ぼそりと呟く。
するとエレノアが指をぴんと立てて。
「わりとあることだよ。迷子の人間たちが現世を彷徨うことは」
「普通の人間たちが気がついていないだけで、そういうの、あるのか」
「まあ今回は特殊だったけどね。でも救えてよかったよ、あの子はもう満足してるはず」
「それはよかった。誰かを救えたのなら、俺は満足だよ」
馬車がレムリム集落からどんどん離れていく。
長いようで短い日々だった。
最初こそどうなるかと思ったけど、悪いようにならなくてよかった。
小窓から見える景色を眺めながら、俺はふうと息を吐いた。
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