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加護の力

「おいおい、なんだその女ぁ? オレに喧嘩売ってんのか?」


「喧嘩売ってる。許さないから」


 あー、待て待て。


 待ってくれ。


 これ、もしかしなくても戦うことになるよな。


 平和主義で行こうよ。


「ちっ。オレはな、生意気な女が一番気に食わないんだよ! ちょっと面貸せやコラ!!」


 しかし、エレノアを傷つける者は許さない。


 仕方がない。これは避けられない戦闘だ。


「エレノアには手を出さないでもらえませんか。俺が相手しますんで」


「ああ? お前みたいなへなちょこが女を守れると思ってんのか?」


 俺は確かにへなちょこかもしれない。


 弱いって言われたら否定はできない。


 でも――俺は一人じゃない。


 【友人】と力を合わせることができる。





「エレノア、力を貸してくれ」





「もっちろん! 旦那様に最高の力を付与するよ!」





 エレノアがそう言うと、小さな精霊の姿になって俺の周りを飛ぶ。


 キラキラとした光りが俺の周囲に飛び交い、風が吹き抜ける。


「な、なんだ!? 何が起きてんだよ!?」


 男は動揺していた。


 それもそうだ。


 先程まで見ていた少女が小さくなり、俺の周囲を飛び交っているのだ。


 誰も彼女が精霊だなんて思っていないだろう。




「あーうー!!」




 エレノアの声が響く。


 俺は手のひらを相手に向け、ニヤリと笑う。


「俺は確かに無能です。でも――誰かと一緒に頑張ることはできる」


 嫌な雰囲気がしたのだろう。


「く、クソが!!」


 男が腰に下げていたナイフを引き抜いて、俺に向かって突きつけてきた。


 だが、もう遅い。




「《サイクロン》ッッッ!」




 俺の手のひらから吹き荒れる風が男に直撃する。


 男は抵抗しようとするが、それも無駄。


 簡単に吹き飛ばされて近くの噴水に顔面から突っ込んでいた。


 水柱が立ち、周囲がざわめきだす。


「少し……やりすぎたかな」


 精霊の加護は強力だ。


 力加減はある程度しているつもりだが、それでも絶大な効果を発揮する。


「ふぃー! かっこよかったよ、旦那様!」


 人間の姿に戻ったエレノアが嬉々として抱きついてきた。


 む、胸が当たっている。何度も注意しているのに……。


「ど、どうぞ!」


「お先に乗ってください!」


「私たちは構いませんので!」



「あ、ああ……あはは……」



 並んでいた人々が俺を見て、苦笑いを浮かべながらどうぞどうぞと道を開ける。


 うん、やっぱりやりすぎた。


「やったー! ラッキーだね、旦那様!」


「ラッキーじゃないよ……もう」


「まあいいじゃん! ね、ね?」


「……エレノアには敵わないな」


 俺は頭をかきながらお言葉に甘えて先に進む。


 周囲に人々からの視線が痛い。


 まあ、そりゃ人を吹き飛ばしたらそうなるわな。


「クソー!! なんなんだよあいつーーーー!!」


 ふと声がした方を見ると、びしょ濡れになった男が空に向かって叫んでいた。


 あはは……エレノアに喧嘩を売るからそうなるんだ。


 ちょっと俺も申し訳ないって思ってるけど。


「クリス男爵領まで行きたいんですけど、この場所で大丈夫ですか?」


「おう。ここで問題ないぜ」


 御者に尋ねると、そう返ってきたので馬車に乗り込む。


 木箱の上に座って待っていると、ガタゴトと動き出した。


 これでアルバート領ともお別れだ。


「これで旦那様は自由だね!」


 正面に座っているエレノアがそんなことを言ってきた。


 そうか、自由か。


 確かにそんな考え方もできるな。


「ああ。自由だな。これから大変だろうけど、お互い頑張ろうな」


「うん! 旦那様とならいくらでも頑張っちゃう!」


 あはは……やっぱりエレノアといると元気が出るな。


 底なしの明るさ。それが彼女の魅力だろう。

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