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喫茶店

 どこか話す場所でもないかと思い、辺りをキョロキョロするがどこにもなかった。

 なので人気があまりない場所まで移動し、家屋の壁にもたれかかる状態で少女に話しかける。


「名前は?」

「……迷子」


 何度少女に聞いても、名前は教えてくれなかった。

 ただ、「迷子」と答えるばかりである。


 一応怖がられているのかと思い、こちらから自己紹介したのだがそういった様子は感じられない。


 ひとまず、この子を少女Aとすることにした。

 特に深い理由はない。ただ迷子迷子と捉えるのもあれだと思ったからだ。


「パパってさっき言ってたよね。もしかして家族を探しているの?」


 尋ねると、少女Aはこくりと頷く。

 ふむ。どうやら両親とはぐれてしまったらしい。


 にしては……姿がかなり異様だ。

 薄い布一枚だけの衣服は、どうも少女Aに不憫な雰囲気が感じられる。


 俺はわりと鈍感な方だと思っているが、この自分でさえ訳ありだというのは理解できた。


 だからこそ困った。


 ここでは俺の存在も訳ありだ。

 両親を探す手伝いをするにしても、誰も相手をしてくれないだろう。


 困り果てたと言った感じで、壁に体重を預ける。


 エレノアはというと、さっきから何も喋っていない。

 首を傾げながら、ずっと唸っている様子だった。


「どうした?」

「いや、ちょっとねー。考え事というか色々」


「珍しいな。悩み事でもあるのか」

「あ! 今もしかして馬鹿にしたでしょ!」


「してないしてない! 勘違いしないでくれ!」

「絶対した! 私そういうの分かるんだ!」


 睨み合う俺とエレノア。


「ふふ」


 そんな様子を見てか、少女Aはくすりと笑った。


「笑われてるぞ」

「また馬鹿にした!」


「だからしてないって」


 俺は困りながら頭をかいていると、少女Aが袖を掴んできた。

 なんだろうと振り向く。


「お腹空いた」


「あ! 私もお腹空いた!」


「そうだな。もう昼過ぎか」


 俺は太陽を見上げて、かなり時間が経っていることに気がつく。

 そりゃ昼もすぎるとお腹も空くだろう。


 シャーロットもお腹空いているだろうし、何か買っていかないとな。


「ねね! さっきごはん屋さん見たよ! そこ行こ!」

「そうだな。ちょっと問題あるかもだけど、お金さえ払えばどうにかなるだろうし」


 というか、問題だらけである。

 しかしながら食事に関しては迫害も耐えるしかない。


 ここにいる以上、食料を手に入れる手段はそれくらいしかない。


 エレノアに案内されるがまま、ごはん屋さんへと向かう。

 どうやら喫茶店のような場所らしい。


 ここならサンドイッチとか売っているだろうし、シャーロットのお土産にもいいな。


 扉を開けると、カランカランと音がなる。


 奥から店主らしき人が出てきた。


「いらっしゃいませ……おや。知らない顔ですね」


「あはは……えっと、この集落は初めてで」


「そうですか。大変でしたでしょう、ここは迫害が酷いですからなぁ」


 あれ。どうやらこの店主はそこまで俺たちのことを気にしていないようだ。

 それならよかった。


「こちらへどうぞ」


 俺は案内された席に向かう。

 だが、何故か二人席に案内された。


「あの。別の席でもいいですか?」

「……? もちろん構いませんが」

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