オークを蹴り飛ばす
紅の炎が周囲を舞う。
近くにあった木々がチリチリと音を立てながら焦げていく。
俺は飛び出し、オークに向かって蹴りを放った。
『ぐおおお!?』
突然の攻撃。
オークは回避することもできずに吹き飛ばされる。
精霊の加護も付与されている一撃は強力で、体重何百もあるオークすらも軽々と飛ばす。
さすがはパワー系のシャーロットだ。
オークはよろめきながら立ち上がり、俺は見据える。
まだ体力は残っているらしい。
さすがに本気を出してない一撃で倒れたら俺も面白くない。
『うがぁぁぁぁ!!』
オークは棍棒を振り回しながらこちらへ突進してくる。
あの巨体から放たれる一撃は強力だ。
俺が回避すると、棍棒が近くに生えていた木にぶつかる。
同時に轟音を発しながら、木が真っ二つに折れた。
「おお……怖い怖い」
あんな攻撃をもろに喰らったら骨折では済まないだろう。
普通に一発で死ねる。
バフが付与されているため、さすがに一撃はないだろうが、瀕死にはなるだろう。
攻撃を避けられたためか、オークは苛立ちを隠せずにいる。
咆哮を上げ、再度棍棒を振り回した。
「燃えろ、俺の足!」
シャーロットの加護を発動し、魔力を足に集中させる。
すると、メラメラと足が紅の炎に包まれた。
片足で地面を蹴り飛ばし、跳躍する。
『うがぁぁぁあ!!』
オークの一撃。
棍棒に向かって俺は炎の一撃を与える。
――バキンッッ!!
オークが持っていた棍棒は真っ二つに折れ、吹き飛ばされる。
まさか破壊されるとは思っていなかったのだろう。
半ば呆けた様子で立ち止まっていた。
その時点で俺たちの勝ちである。
もう一度地面を蹴り飛ばし、踵をオークの頭めがけて落とす。
瞬間、オークは抵抗することもできずに地面に叩き落された。
土煙が上がり、チリチリと焦げる音がする。
「シャーロット、お疲れ様」
「ふふん! やっぱりあたしは最強ね!」
人間の姿に戻ったシャーロットとハイタッチを交わして、俺はオークを確認する。
うん。死亡しているな。
俺は感謝をしながら皮を調達し、ポーチの中に入れる。
よっこらせと立ち上がり、
「あとは癒やしの水だな」
オークが生息していたということは、ここ近辺に泉はあるはずだ。
ぶらぶらとしていると、すぐに泉を見つけることができた。
俺はポーチからビンを取り出して水を回収する。
「よーし。任務完了!」
「やったー!」
「これでお終いね!」
◆
「アイラさん。これでいいですか?」
「おおーありがとうございます。これですこれ」
アイラさんは嬉々とした様子で素材を受け取り、確認していく。
「状態もいいですね。うん、完璧」
「よかったです」
「私は大満足だから、約束通りお代はいりません。いやー本当に助かりました」
アイラさんはスキップしながら奥へと素材を持っていく。
そして、複数のポーションを持ってきた。
「これがおまけのポーションです。解毒や回復、これ一つで可能な万能回復ポーション」
「マジですか。ありがとうございます」
「いいんですよ。お礼ですから」
そう言って、アイラさんは微笑む。
「また何かお願いするかもしれませんが、その時はお願いしますね。またサービスしますよ!」
【夜分からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が夜分の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!




