エンビーの討伐
炎の精霊が俺の周囲を飛び交い、火花が飛び散る。
体が燃え上がるように熱くなり、心の底から力が湧き上がってくる。
これが……炎。
「さすがは【精霊使い】。なおさら仲間に引き入れなければいけなくなりました」
エンビーは咳払いする。
「しかし困りましたね。精霊はどうやら資格がある者しか力を貸さないらしい……ならば」
「独り言が多いな」
「いえ。考え事をしていたんですよ。各地の精霊をどうするべきか、最善の方法は精霊を確保することでしょうね。言う事を聞かないならば、無理やり動かすまでです」
「……もういいな」
俺はエンビーを見据え、力を貯める。
「エレノアを――離せ!!」
燃え上がる拳を構え、地面を踏みしめる。
轟音。同時に俺は加速する。
「《炎炎の拳》ッッッ!!」
相手の頬にめがけ、思い切り殴る。
すかさずエレノアをキャッチし、俺は相手を睨めつける。
吹き飛んだ相手は血を吐きながら、ゆらゆらと立ち上がった。
俺は意識のないエレノアを木に預け、前を見る。
「……やりますね。想像以上ですよ」
言いながら、エンビーはくつくつと笑う。
「でも、君は優しい! 人間の姿をした者を君は殺すことはできない! だから! 君は! 私を! 殺すことは! できない!」
エンビーは腹を抱えて笑いながら俺を見る。
どうやらそれほど面白いらしい。
「どうする人間! 私に勝てるとでも思っている――」
「俺は――友人に危害を加える者なら遠慮はしない」
再度、男を殴り飛ばす。
吹き飛ばされた男は受け身を取ることもできずに木にぶつかった。
爆音が響き渡り、鳥が飛び交う。
「な……! 情報と違う、こいつは人間の姿なら――」
俺はエンビーの前に立ち、再度言う。
「言っただろ。俺は、友人に危害を加える者は絶対に許さない」
放たれる炎の拳。
エンビーは身動き取ることもできずに喰らう。
「がはっ……妬ましい。なんて力だ……」
俺はエンビーの胸ぐらを掴み、無理やり目を睨めつける。
「お前らの目的は大方分かった。尚更、俺が止めなくちゃいけないようだ」
「……やってみろ人間。もう兄上たちには情報を共有している、これがどういう意味か分かるな?」
「やってやるよ。それが俺の仕事だってのは分かったから」
そう言って、俺は最後の一撃を放つ。
貫いた拳は、致命傷を与える。
エンビーは人間の姿から、角の生えた魔族の姿に変わる。
どうやら人間に化けていたらしい。
器用なことをするものだ。
相手がもう動けないのを確認した後、俺はエレノアの下へ駆け寄る。
「大丈夫か! 俺だ、分かるか!」
「う……旦那様……?」
まぶたを開け、俺を見据える。
よかった……無事だった。
「こ、怖かったよー!!」
「おお!?」
エレノアが抱きついてきて、思わず尻もちをついてしまう。
どうやらかなり怖がっていたらしい。
それもそうだ。
あんな人物に急に確保されたら誰だって恐怖を覚える。
俺はエレノアの頭を撫でながら立ち上がる。
「さて」
俺は振り返り、一人の少女を見る。
「さっきはありがとう。君の名前は?」
紅の髪をなびかせた少女。
「あたしはシャーロット! 炎の精霊よ!」
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