ゴブリンの襲来
「君がギルドから来てくれた人か。助かるよ」
「いえ。お互い頑張りましょう」
真夜中の監視、ということで村人たちに挨拶をすることにした。
目元を見てみると、クマができていてかなり疲れているようだ。
「えーと、そうだな。君たちは南西を頼む。僕たちは各々でやっているからさ。万が一何かあったら鐘を鳴らすから、急ぎで来てくれ」
「了解しました。それでは、よろしくお願いします」
俺たちは南西の監視を任された。
急ぎ足で件の場所へと向かうと、簡易テントと鐘が設置されていた。
これで一晩、監視をするわけだ。
「とりあえず交代制でやろう。最初は俺がやってるから、エレノアは休んでいてくれ」
「いいの? 旦那様疲れてるでしょ?」
「そりゃそうだけどさ。村の人たちのこともあるし、友人である君が倒れられたら困るからさ」
「旦那様……! ここは友人ってところは否定せずに休むね!」
そう言って、エレノアはテントの中に入った。
さて、と。俺はじっくり監視することにするか。
剣を引き抜き、じっと待つ。
◆
「交代するね!」
「ああ。頼む」
俺は眠たい目をこすりながら、エレノアにバトンタッチした。
テントの中は薄暗く、目を閉じればすぐに眠気が襲ってきた。
…………。
――カーンカーン!
「なんだ!?」
俺は飛び起きてテントから出る。
「旦那様! ゴブリン来たよ!」
どうやら鐘を鳴らしたのはエレノアらしい。
正面を見ると、確かに複数体のゴブリンの姿が見える。
しかし通常個体とは違うように見える。
紋章が輝いている。
やっぱり何かあるっぽいな。
「おでましか……!」
俺はぐっと拳を握りしめ、エレノアに突き出す。
「旦那様と一緒に頑張っちゃうもんね! 乗るでしょ、私の力に!」
「ああ、乗ってやる! 来い、エレノア!」
瞬間、眩い光りが俺の周囲を飛び交う。
「あーうー!」
小さなエレノアが光りを発し、俺に加護を与える。
力が体の底から溢れてくる。
やっぱり精霊の加護はすげえ。
俺にはもったいないくらいの力だ。
「ありがとう! それじゃあ――行くぞ!」
地面を踏みしめ、一気に加速する。
風が背中を後押しし、速度を上げる。
世界が眩く広がり、視界が移ろぐ。
「はぁぁぁぁ!」
風の速度で移動し、ゴブリンに接近。
拳を思い切りゴブリンにぶつける。
まずは一体、吹き飛ばした。
剣を引き抜き、構える。
後五体――やってやる。
剣が緑色に輝き、可視化された風がうずまく。
「薙ぎ払う!!」
一気に剣を振るい、ゴブリンを殲滅する。
倒れたゴブリンを確認した後、俺はふうと息を吐いた。
「これでひとまず、完了だな」
よっこらせと立ち上がり、振り返ると鐘の音で駆けつけた村人たちがいた。
呆然と立ち尽くし、俺のことを見ている。
「ゴブリンの方、倒しておきました。ひとまず大丈夫です」
言うと、村人たちがざわめきだす。
「おいおい……一人でこれ、全部やったのか?」
「一人というか、二人ですね」
「私たち二人の力!」
すでに人間の姿に戻ったエレノアが手を振っている。
それを見た村人たちは口を開けたまま硬直していた。
「す、すごいな……」
「ああ。想像以上だ……」
「こんな人間がこの領地にいるなんてな……」
かなり驚かれているらしい。
まあ、【精霊使い】の力は俺でも正直驚いている。
「ひとまず警戒態勢に戻りましょう。引き続き頑張りましょうね」
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