レール村
馬車に乗って移動し始めて数時間。
もう外は夕暮れ色に染まっていた。
「ここ最近はずっと移動しているな」
「そうだね。まるで新婚旅行みたい……えへへ」
「エレノアが楽しそうで何よりだよ」
もうエレノアが旦那様だったり結婚だったり言うのにも慣れてきた。
なんせ、もう長いこと立つからな。
どうして彼女が俺にここまで惚れているのかは知らないが、誰かに好かれるのは悪いことではない。
なんなら嬉しいことだ。
喜んでいいと思う。
「旦那様ぁ……」
「疲れたよな。ま、もう少しでつくから頑張ろうな」
「はぁーい」
うとうととしているエレノアを横目に、俺は外を眺める。
そろそろ……あ、見えてきた。
窓から顔を出して村を見る。
明かりが多く灯っていて、ある程度大きな村だと窺える。
馬車が門をくぐり、広場で止まる。
「ありがとうございましたー」
「ありがとうー」
御者に感謝して、俺たちは馬車から降りる。
新たな地を踏みしめながら、ふうと凝り固まった肩をほぐす。
これから依頼主に挨拶をしなければいけない。
俺は依頼書を眺める。
「村長宅に向かえばいいんだな」
依頼主はレール村の村長らしい。
場所は……分からないから聞くしかないか。
「あの、すみません。ここの村長さんのお宅ってどちらに」
「……向こう」
「む、向こう?」
俺が再度尋ねると、ちっと舌打ちされた。
ええ、もしかしてここでも歓迎されてない感じ?
「面倒くさいな。こっちはゴブリンのせいで必死だってのに」
ああなるほど。
そりゃゴブリンからの被害が出ていたら村人たちみピリピリとする。
これに関して言えば俺が悪いとも言えるな。
「すみません、お忙しい中お尋ねしちゃって。俺、ゴブリン討伐のためにギルドから派遣された者でして」
「ああすまねえ、そうだったか。村長さんの家はこっちだ。着いてきてくれ」
「ありがとうございます」
説明したら納得してくれたらしい。
どうやら悪い人ではないようだ。
俺たちは彼に案内してもらい、村長宅まで向かう。
「ここだ。さっきはすまねえな、よろしく頼む」
「もちろんです」
そう言って、男は去っていく。
俺はこほんと咳払いして扉を叩いた。
しばらく待っていると、足音が近づいてきた。
扉が開き、目の前に老人が現れる。
「聞いておる。ギルドからの者だろう」
「はい。ゴブリン討伐のためにやってきました」
「うむ。まあ入れ」
俺たちは案内されるがまま入り、ソファに座る。
待っていると、お茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「ありがとうー」
「構わん。それよりも、今回は依頼を引き受けてくれて感謝する」
一礼して、村長は顔を上げる。
「泊まり込みの依頼とお願いしていたが、もちろん理由がある。夜中、ゴブリンの監視じゃ。あいつらは姑息で深夜に攻め入ることもある。村人たちが交代制でやっているが、それでは限界があるからな」
「なるほど。だから泊まり込みと」
ただ寝泊まりを保証してくれるわけではないらしい。
まあ、それも当然か。
「その通り。そして、深夜を乗り越えた後ゴブリンの殲滅に挑んでほしい。あいつらは太陽が出ている間、祠周辺でうろうろとしておる」
言いながら、村長はしかし……と言う。
「奇妙なゴブリンなんじゃ。祠に集まり、何かを観察しているように見える」
「観察……ですか」
聞いて、俺はふと先日のドラゴンを思い出す。
ドラゴンは言っていた。
『魔の一族』はいつも神々を狙っている。
俺のことを……狙っている。
祠は神聖なものだ。
【精霊使い】である俺と全く関係ない、とは否定できない。
祠は空っぽなこともあるが、それだと『魔の一族』とやらは狙わないだろう。
ゴブリンも『魔の一族』関連で見ても考えすぎってことはないだろう。
「あの祠は別に何かあるわけではないはずなんじゃがな。ともあれ、頼んだぞ!」
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