初めての依頼
「これが冒険者ライセンスか……! これで俺も冒険者になれたんだな!」
「なんかよく分からないけど旦那様が喜んでて私も嬉しい!」
俺たちは嬉々としながら冒険者ライセンスを眺めていた。
微かに憧れていた冒険者という職業。
それになれたのだ。
嬉しくないわけがない。
色々とあったが、これも追放されなかったらありえなかったことだ。
俺はある意味恵まれている、とも捉えることができるのかもしれない。
自由になれたことで、自分の好きな職業に就ける。
もし俺が剣聖を引いていたら、きっと国王に仕える未来しかなかっただろう。
それも光栄なことだが、やっぱり自由かと言われれば首を傾げざるおえない。
Cランク冒険者。冒険者としては序盤だが、ここから頑張るのが楽しいのだろう。
「お前、試験をクリアしたんだってな!」
「やるじゃねえか! 認めてやるぜ!」
「お前はもう仲間だ!」
どうやら周囲にも認められたらしい。
よかった……最初こそもう死ぬものかと思ったよ……。
「でもまだ終わりじゃない」
繰り返しになるが、俺たちはやっとスタートラインに立てたのだ。
未だスタートラインの上なのだ。
現在の所持金、10ゴールド。
これじゃあ生活なんてできない。
依頼をこなさなければいけないわけだ。
「受付嬢さん、何かいい感じの依頼ってありませんか?」
「早速ですね! えーと、お金がないんでしたっけ?」
「そうですね。泊まる場所もないので、わりかし困ってまして」
そう言うと、受付嬢さんがパラパラとノートをめくる。
うーんと唸りながらめくり、一つのページで止まった。
「泊まり込みでの依頼とかありますけど、どうなさいますか?」
ごくりとツバを飲み込み、尋ねる。
「……ちなみに、宿泊無料ですか?」
受付嬢さんはこくりと頷き、
「無料です」
と答えた。
よし、受けない理由なんてない。
無料なら乗るしかないだろ。
寝る場所も用意してくれて、お金も発生する。
これほどいい感じの依頼はない。
「それじゃあ受けます。依頼の詳細を教えてもらえますか」
「もちろんです!」
そう言って、受付嬢さんはノートを見せてくる。
「ゴブリンの討伐ですね。レール村の祠周辺でゴブリンが大量発生しているらしく、村人たちが困っているらしいんです」
「祠……ですか」
これまた珍しい案件だ。
祠と言えば、神様だったり神聖なものが祀られている場所。
そんな場所に魔物が大量発生……不気味だな。
「祠自体には村人たちは困っていないらしく、何より祠が村近くにあるせいでゴブリンたちが下りてきているらしいです」
「なるほど。それは困りものですね」
「被害が少なくとも出ているので、泊まり込みでもいいから駆除をお願いしたいらしいです」
「了解しました。任せてください、俺たちは人助けのためならなんでもしますので」
そう言って、エレノアの肩を叩く。
「うん! 旦那様と一緒に助けちゃうよ!」
「ありがとうございます! ここから村までは馬車経由で行けますので、そちらをご利用ください!」
「あれ、ギルドが用意してくれるわけじゃないんですね」
「そうなんですよ。都会だったら資金が豊富なのでギルドで用意したりするのですが、ここは色々と苦しくて……」
ほろほろと悲しそうに受付嬢さんは語る。
なるほど、ギルドも色々と大変なんだな。
なおさら、俺たちもここに協力しないといけないわけだ!
「それじゃあ行ってきます!」
「お願いしますね! 期待してお待ちしております!」
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