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【精霊使い】追放される

「アルマ、もうお前は我が公爵家には必要ない」


 俺はアルバート公爵家の次男として生まれ、これまで育てられてきた。


 この家は代々【剣聖】を輩出している名誉ある家系。


 しかしながら、俺が目覚めたスキルは【精霊使い】であった。


 【剣聖】とはかけ離れたスキル。


「貴様の兄、ポールは【剣聖】に目覚めたというのに、何の価値もない【精霊使い】とはな」


 父上が呆れた様子でため息を吐く。



「待ってください! 俺のスキルだって、かなり強力なものだと思います! もしかしたら【剣聖】すらも超えるような……!」



 戯言かもしれない。


 適当なことだと思われるかもしれない。


 でも、俺のスキルは確かに強力なものだった。



 スキル【精霊使い】。


 

 これは、『精霊と友人』になるスキルだ。


 俺が分かっている範囲ではこれくらいである。


 なんだ、それだけなのか。


 と思われるかもしれない。


 でも、それで終わりじゃない。



「俺のスキルは精霊と友人になればなるほど、精霊の加護を使うことができるはずなんです! 精霊は神々が生み出したと言う子供たち。彼らと力を合わせれば俺だって!」



 そう言って、俺は今のところ唯一俺と友人になってくれた精霊を呼び出す。


「あうあ!」


 俺の手のひらに座り、足をぶらぶらさせている一人の精霊。


 性別は不明。見た目は女の子だけど、よく分からないというのが事実。


 アルバート公爵は俺の友人を睨めつけ、



「その精霊は何の精霊だ?」



 欠伸をしながら、心底興味なさげに問うてくる。



「風の精霊です。風を司る精霊、エレノアです!」



 叫ぶと、風の精霊が自信ありげに腰に手を当てる。


 動作の一つ一つが可愛らしい。


「その精霊が有用だと、私に言っているのか?」


「有用って……そんな言い方……」


 まるで道具みたいな言い方じゃないか。


「貴様が友人だと言っている風の精霊。こいつが私が大切にしている食器を壊した、とポールから聞いているが?」


「は……? そんなのありえません!」


 精霊は俺が呼び出さない限り、姿を現すことはない。


 確かに呼び出して自由にさせていた時もあるが、必ず俺の目の届く範囲に抑えていた。


 まず食器を壊すというのがありえないのだ。


「ポール兄さんが嘘を吐いているとしか思えません!」


「あのポールが嘘を? ありえない、貴様が兄を羨んで適当なことを言っているようにしか思えんな」


「…………」


 ポール兄さんは【剣聖】に覚醒した。


 アルバート家が必要としていたスキルが覚醒したのだ。


 対して俺は期待されていたものとは別。


 そう考えると、信用するのはポール兄さんの方だろう。


 外れを引いた俺が適当なことを言っている、と言われてもおかしくはない。


「もうこれ以上話すのは無駄だな。これ以上呆れさせないでくれ」


「父上……!」


 どうにか反論しようにも、もう入る余地はない。


「さっさと出ていく準備をしろ。もうお前は家族じゃない」


「……分かりました」



 ◆



 もう俺には居場所なんてない。


 少なくとも、この家にはもうない。


 もう二度と入ることはないであろう自分の部屋を見渡し、嘆息する。


「ごめんな。俺のせいでお前にも迷惑かけちゃって」

「あう……?」


 エレノアは不思議そうな表情を俺に見せる。


 見ていると胸が傷んだ。


 俺のせいで友人に苦労をかけてしまう。


 せっかく俺と友人になってくれた唯一の精霊なのに。


 でも諦めはついた。

 大方、追放されるのは想定していたからだ。


 これで憧れだったことが、色々と不自由なくできると考えよう。


「さて、支度はできた。出ていくとするか」


こんな作品もオススメ!新作です!


無自覚な最強剣士(暇人)が神々の迷宮を叩き斬る無双譚!


『器用貧乏だと追放されたSランク剣士、暇だったので神々の迷宮に挑む~無自覚にクリアしていたら知らないうちに最強へと成り上がっていた件。俺は別に英雄なんかじゃない、ただの暇人だ~』



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また本作品も引き続き連載していきますので、よろしくお願いします!

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