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厄災の巫女


「ステファニー・ローズよ、貴様が行った多大なる悪行に目を瞑ることはもうまかりならん。聖女であるリリアーナを散々にいじめぬき、傷つけたことを!

そんな貴様との婚約を破棄し、 

新たにリリアーナと婚約する!」

「ウル様」

会場にある一つだけ高い床の上で、

お供を連れた殿下とリリアーナ嬢が寄り添うのを冷めた目で見ている。 



「ウルバルト殿下、学園の卒業式である祝いの日に私情にまみれた発言はよろしくありません。後日に陛下を交えた場所で話し合いましょう」

私は扇で口元で覆いながら、進言する。


「話し合いなど必要ない!

それと気安く名を呼ぶな!


愚かなステファニー、お前に罪をおしえてやろう!私の優秀な家臣たちよ罪状を告発せよグロウ」

その言葉を聞いた、騎士団長の後継者である息子が剣を抜き私に向けながら自信満々に罪状を述べ始めた。


「貴様は、あの愛らしいリリアーナを平民だと知りながら、貴族と同じ振る舞いや言葉遣いをできないとわかると、悪意のある言葉で罵ったのであろう!」


そんな態度をとると敵を増やしますよとか。その言葉は暗黙の了解で口にすると宣戦布告ですよとか。

やんわりお伝えしたつもりですが。

どうしましょう眉毛がピクピクしそうです。



「顔が引き攣ったな、次はレイン」

いやしてません。

意味がわからないことを言ってる殿下に呼ばれたのは魔法団長の後継者の息子。


「私が告発するのは皆が疑問に思っているであろう、この学園においての彼女の成績。

入学当初から常に一番。ありえないと皆が思いましたよね。私も思い、調べました。

何を調べても何も出ない。

そんな自分に自信がなくなりそうなとき、

リリアーナから真相を聞いたのです。

「彼女は洗脳魔法を先生方に使っている」

それを聞いて、文献をたくさん読み確信を得ました。

ステファニー公爵令嬢は洗脳を使う」


私の周りにいた人達は怯えた顔で後ずさっていく。

友人は遠くで笑い声を堪えながら爆笑していますけど。


「どうやら周りも理解したようだな、ステファニーよ、次はマートン」


自信満々に眼鏡を弄りながら私を見るのは

従兄弟。

「はぁー無能だと昔から認識してたけど、まさかこのように足を引っ張られるとは。


貴方は貴族ではない。


びっくりしましたよ。まさか妾の子だなんて思ってもなかったよ、しかも平民の。

わかるよね?この場に相応しくないと。

そもそもたかが平民がいてもいい場所じゃないって」


いやリリアーナって人も平民ですよ?

大丈夫?いや大丈夫だからこの会場に私がいるんですけどね。





「これで皆も理解しただろう!

このような女に次期王妃などありえん!

私が望むのはリリアーナのみである。」

「ウル様!」

茶色髪と茶色目をしたスレンダーの少女が、殿下抱きついた。


「殿下、最後に一つだけお願いがあります。

どうか冥府の契りを解消していただきたい」


冥府の契り、高い位に属する貴族の子供たちが婚約する時に行うこの国特有の慣わし。

握手する様に手と手を握りお互いに宣誓をする。

もちろん特に意味はないが、この国の初代国王が婚約する時に行ったことから貴族の間で流行し。

現代まで流れ着いた。

ようは、格式美というもの。



「そんなものがあったな、解消するには貴様の手を握るのか、、、くっリリアーナのためだ我慢しよう」

頭でよぎるのは

いずれ王になる自分が将来敵対するであろう反王族派の貴族にこのことを弱みとして握られる可能性を潰すこと。

格式美とはいえ、我が国独自の文化を否定することはできない。


さっきまでいた私と殿下のちょうど中間に、私とお供を引き連れた殿下が向かい合い。

私達は手と手を握り。



「「私達は誓いを違えた。今より己の道を進むことを宣誓し、それを新たな誓いといたします」」


言い終わった瞬間、前で宣誓する殿下の左胸を手を握ってない左腕を使い全力で殴った。

「かっは」

そして騎士団長と魔法団長の息子達と従兄弟に同じ場所を全力で殴打して差し上げました。

利き腕である右腕を使ってです。

全力でなくてもいいのですが、イラッとしましたし。



しんとする会場に

「ウル様大丈夫ですー?やはり彼女は悪の権化でしたのねー」

と殿下に近寄ろうとするがその前に。


「はぁ、やらかしましたね。」

左胸を殴られた金髪に銀眼の殿下がすぐに起き、顔を歪めた。


聞こえた声の雰囲気が前に戻ったことに安心して、一筋の涙を流した。


「ステフ、後に伝えたいことがあるんだが、今はこの場をどうにかしたい。

ここで待っていてほしい」

「いやです。共に戦います。待ってほしいなら五年前に言ってください」


おかしくなっているのを分かっていたとしても、ひどい言葉をたくさんあびたのだ。

五年も。

自分の手で解決したい。

むしろ私しかできない。



「理解しているし記憶もある。だが危険だ。

俺はこの五年で確信を得ている」

殿下はさっきまでそばにいた彼女を睨みつけ。





「彼女は厄災の巫女だ」

「知っています。誰が殿下とあそこで倒れてる人たちを助けたとおもっているのですか?」

「そ、そうだったね。相変わらずすごいね。」

顔を引き攣らせ、厄災である彼女を見ながら答える殿下に。


「当然です。」

あくまで無表情、あくまで無表情で答える。


「殿下ーどうしたんです?早く婚約破棄して、王宮にかえりましょー」

厄災は媚びた声で当たり前のように呪術を殿下に向けて解き放つ。

「それはもう効きませんよ。この会場はすでに私の空間ですから。」


「どういうことですかー?たかが人間に

これを無効化できるわけないですよー?」

首を傾げながら私に聞いてきたので。


「私は聖女ですので、できて当たり前ですよ。」

「聖女ー?」

「はい、貴方の天敵である聖女様ですよ。

私がいる限り貴方は厄災の巫女ではなく、

ただの人です。」

「、、、、、、、、」

「だから無理ですよ。

いくら呪術を放っても、この空間ではなんの意味をもちませんよ。」

この会場にいる人達に向かって、呪術を放ちまくっている彼女に淡々と伝えた。



酒の暇つぶしになったら御の字です。

あざっす。

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