第79話 私たちの答え
「結論から言うと、何も変えないのが良いと思います。」
「…………え?」
私の言葉にシエスタはしばらく無言の後拍子抜けした声を上げた。
「ただし、結婚や恋愛に関しては当人たちに決めさせる。これだけでいいのです。」
「いやいや、同性婚はそれで上手くいくの?」
「行くも行かないも、それは当人たちが決める事、我々国家の役人は同性であろうと認めてあげるだけ。これで良いんです。それ以上をすると市政が混乱してしまいます。差別を無くす、認めるというのならこれだけで十分だと思います。」
「……結局、外野が口を出さないのが1番なのね。」
お母様の言葉に私は頷いた。そしてシュウラが纏める。
「つまり、私たちの仕事の法改正は同性婚でも婚姻関係として認めるって事でいいのかしら?」
「はい。それ以上に必要な事が有れば苦情を聞き私が対応して解決案を出してシュウラかお母様に相談、そして国の貴族たちと話し合い新たな法案にするという流れにしようかと。」
少しの沈黙のあとシュウラが口を開く。
「はぁ……結局異性だろうと同性だろうと好きなら一緒にいていいし、嫌いなら別れるか……私には縁遠い話だわ。」
「ごめんなさいシュウラ……私を庇ったばかりに貴女には辛い想いをさせたわ……」
「いいわよ。お姉様がもしあの男の妃になってたらこの国は崩壊していたでしょうし、私はあの男を痛めつける事が出来た。お互いに得があったって事でいいでしょ。それにあの男はもう居ないし。」
私に気を遣って明るい声でいうシュウラ。私には勿体無い妹である。ちなみにもう居ないというのは死んだのではなく自分の実家で最期を迎えたい元王クラウドからの最後の願いをシュウラが聞いてあげたのだった。するとここでお母様が口を開く。
「それでレナさんもセレンと同じ考えなの?」
「はい。私もセレン様と同じ考えです。恋、愛には色んな形があります。それを外野に口を出して欲しくはありません。ましてや国が認めないという事があってはなりません。その為にも先ずは同性婚を認める事が第一歩かと考えます。」
レナがまともな事を言っていた事に少し驚いたが、誰より私の1番近くで考えて来れていたのは他でもないレナなのだからこのくらいは言えて当然とも思えた。
「ふふふ。ならば法案はこれだけで良さそうね。では、明日にも議会で通して貰えるかしらシュウラ?」
「はい、お母様。」
そして翌日に議会が開かれて法案は可決された。どうやらシュウラが相当な根回しをしていた様だった。そして施行当日。私とレナにとって人生最高の日となる。
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