第70話 不満
帰り道、やはりリザからは不満を言われた。
「セレナさん!私は本当にスピカの事が好きなんです!何であんな言い方をしたんですか!?」
まぁこれに関しては説明してなかった私が悪い。
「ごめんね。でも、ああでも言わないとスピカちゃんにもう会えない可能性があったのよ。」
「どう言う事ですか?」
少し落ち着いたのかリザは疑問を聞いてきた。
「スピカちゃんの家は貿易商なの。もし、2人が恋仲という事言うとあの場では納得したふりをしてスピカちゃんを異国に預ける恐れがあった。だから今は親友という関係で話を進めた方が安全なのよ。」
「……でも、私たち……」
「恋人だ!って言いたいんでしょ。だから布石は打ってあるわよ。」
「布石ですか?」
「ええ、それは2人が大人になったらもう大人が介入する必要はないって事。近々法案を持って行く。そこから検討して2、3年には施行される。そうすれば法律の下で結婚できる。親がこうしろって決められる事なくね。」
「ですが……やっぱり不安です。明日学校でスピカに会えるのかと……」
「会えるわよ。絶対にね!」
私はリザの頭を撫でながらそう答えた。するとリザも安心したのか笑い返してくれた。
その夜、リザが寝た後……私は文書を書いていた。そしてレナが私に話しかけてくる。
「セレン様、本当に明日スピカちゃんが来ると思いますか?」
「明日は絶対来るわ。でもそれはお別れを言う為に……」
「えっ!?」
「しー!声が大きい!」
「す、すいません……ですが何故そうなるんですか?」
私は書いていた筆を止めてレナへ向き直る。
「もともとスピカちゃんの親は後継者がいないの。つまり後継が欲しいのよ。つまり、親友だろうと女の子同士なんて認めるつもりはないの。でも、建前上は貴族の家、そしてもうあそこの主人は亡くなっている。という事は……」
「明日はお別れを言う為に学校に来ると?」
「そう、異国に引っ越す手続きはリザが遊びに行った時から徐々にしていたはずそうすれば引っ越し先での世間体も気にならない。という寸法よ。」
異国では同性婚は死罪となる国もあると聞く。受け入れが進んだ国もあるがやはり浸透はしていない。そこへ連れていけばもうスピカとリザは永久に結ばれなくなる。
「では、どうなさるのですか?」
「ふふふ……考えはあるわよ。昨日手紙を直通で送ってたから明日の朝には到着するわ。レナは今日はリザと寝てあげて頂戴。必ず目を離さないでね。」
「分かりました!おやすみなさい。」
私は手紙を書いてその後リザの寝顔を見た。
「もうすぐ旅立ちね。」
私はリザの頭を撫でてから眠りに着くのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回も楽しみに!