第69話 出会えた奇跡
改めて席について話し合う。まずは対等以上の関係を築かないと勝てないと分かっていたからだ。
「それで、あなた方は何がお望みなのかしら?」
威圧的に言ってくるがここで怯むわけにはいかないので先手を取る為に要件を言った。
「私からは1つだけです。2人がしっかりと今友達である事を認めて欲しいだけです。」
「友達ね……私からはその様な関係には見えないのだけど?」
スピカのお母さんの目がリザの方へ向いた。その目は先ほどよりも細く鋭い眼光だった。
「仲が良いことは喜ばしいことではないですか?何をそんなに威圧する必要があるのです?」
「仲が良い……ですか……私にはそれ以上の関係にも見えますが……?」
「年頃です。親友として一生の友達を作るのも良いと私は思いますよ?」
リザたちは何か言いたそうだったがレナがそこは見ててくれた。もちろんこの2人が本気なのは分かっている。だけどもそれをまともに言っても聞いてくれるはずがないため外堀を埋めていくのだ。
「そうですか、ですが私には最早親友以上の関係だとスピカから聞きましたが?」
「それは本人たちが決める事です。私は今は親友の関係だと考えています。子供の時は一時的な気の迷いというのもありますからね。」
2人には悪いと思ってる。でも今はこう言って納得してもらうのが1番なのだ。
「……そう言う事ならば私も納得しましょう。しかし女同士のお付き合いなど私は認めませんから。」
吐き捨てる様に言われてしまった。だけど……
「それは当人たちが決める問題です。まだ検討段階ですが同性婚の法律も今考えられています。時代は変わっていきます。その時はそちらにも対応をお願い致します。」
「それはあなたがそうしたから作られる法律でしょう?あなたたちの様な方々には必要のない法律。白紙になるだけでは?」
「いいえ、白紙になんてしませんよ。考えは人それぞれ、第一、あなたに私の何が分かると言うのですか?私が考えてる事なんて親ですら理解が及ばない事があります。レナに至っては本当に本能で動いてる時だってあります。」
その言葉にリザが首を縦に振っていたのは見なかったことにする。
「全てを理解して欲しいんじゃないんです。ただ知って欲しいんです。こんな恋や結婚という形があるという事を。それだけで生き方の幅も広がるのですから。」
「ごく一部の考えで何かが変わると?」
「変わりますとも……私が変わったのですから。」
私が1人で旅に出て、違反を承知で追いかけてきたレナ、信じる事を教えてくれたミスズさん、諦めない事を教えてくれたイズミさんとシエスタさん、そして奇跡は起こると教えてくれたリザ。いろんな方に出会えたから今の私がいるんだと思うから出た言葉であった。
「では、失礼します。スピカちゃんをあまり叱らないで下さいね。ごきげんよう……」
そうしてレナとリザを連れてスピカの家から帰るのだった。
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