第7話 再会と真相
私の頼んだ定食はまだできないので先に会う事にした。私はセレン様がいるという部屋の扉をノックしてみた。中からは反応はなかったので入ってみる。するとうつ伏せで寝ているセレン様がいた。
「あの、体調がよろしくないというのは?」
「ええ、目元にクマができていて、頬が少し痩せこけていました。そして顔色もあまりよろしくない様でしたので朝食を部屋にお待ちしたのですが……」
「食べれてませんね。すいませんお医者様を呼んで頂いてもよろしいですか?」
「分かりました。少々お時間を頂きますがよろしいですか?」
「はい、構いませんお願いします。それと、ランチもこちらに持って来て貰えますか?起きた時にまた1人だと心細いでしょうし。」
「ふふふ。かしこまりました。ては、ごゆっくりどうぞ。」
そう言って女性は部屋を出て行かれました。
夢を見た。レナが私を探してる夢だ。おばさんの所へ行って働いてる夢を……私はそんな事までされるほどの人間ではないのに……夢のレナと目が合った気がした。その目は決意の目していた。
目が覚めると何やら美味しそうな匂いがした。私何か頼んだっけ?私はうつ伏せで寝ていたから目を開けても真っ暗だった。なので起き上がる。するとそこには……
「レナ……?」
私の声を聞くと、レナは一瞬素っ頓狂な顔をしてそのすぐ後に顔がクシャクシャにして私に抱きついてきた。
「ちょっ!レナ!」
「バカ!バカ!セレン様のバカ!」
ああー、こんなにも心配してくれる人が居てくれるんだ。
「ごめん……なさい……」
私が謝ると少し離れて……
「お誕生日おめでとうございます!」
「……ありがとう。」
そうだった。私はもう16歳になってたんだ。誰もお祝いの言葉を言ってくれなかったからすっかり忘れていた。
とりあえず、レナはまだお昼を食べていたので食べてもらって話をする事にした。が……
「はい、アーン。」
「いいわよ。自分で食べられるわ!」
「ダメですよー病人は大人しくしててください。」
「むぐっ……」
レナは朝に持ってきたお粥を私に食べさせてくる。寝たら少し良くなったから自分で食べられると言ってるのに……まぁ心配かけたからここは大人しく食べさせて貰う事にした。
お昼を食べ終わり、お医者様に診察してもらった。診断結果は寝不足と疲労だそうだ。それから少し休んだ後、夜の人気がなくなる頃に本題へと入った。
「それでどうしてレナがここにいるの?私、あなたに手紙で嫌いって書いてたわよね?」
するとレナは手紙を私に突きつけた。
「これのどこに嫌いって書いてるんですか?」
『私、あなたの事好きじゃなかったわ。それでも感謝はしてる。私が居なくなったからあなたはもう自由よ、ありがとう、さようなら。私の事なんて早く忘れて良い人を見つけなさい。』
「好きじゃないって書いてるじゃない……」
(まさか持って来てるとは思わなかった……)
私は目を背けてシラを切ったが、これはもうレナには分かられてると悟っていた。
「爪の後、好きでしたありがとうさようなら。でしょ!」
「……なんでそこを読んじゃうかなー……」
「私もセレン様の事大好きです!だから……」
「ダメよ!帰りなさい!」
私はレナの言葉を遮って答えた。
「私はこの国にはもう居られないの。あなたも付いて来たらこの国には戻れないのよ?家族にも会えない。それを分かってるの?」
本当は付いて着て欲しい。でも、そこまでレナにわがままを言うわけにはいけないんだ。
「……やっぱりセレン様はお優しい方ですね……」
「えっ?」
「私、セレン様にお会いした時から分かってました。この方は嘘をついてると。」
「えっ……私、嘘なんて付いてないわよ!何を言ってるの?」
私は動揺してしまった。そこをレナは畳み掛けてくる。
「セレン様はよく私の頬を叩いていましたね。でも、赤くなるけどアザになる事はありませんでした。他の侍女達もそう。少し赤くなってても次の日には赤みは引いていた。」
「それは私の力が弱いからであって……」
「私もそう思ってました。でも、セレン様は言いましたよね。騎士団の方に鍛えてもらっていたと……つまり本気で私たち侍女を痛めつけるつもりなどサラサラなく。さも自分は悪者と周囲に見せつけてたかっただけのパフォーマンスですよね?」
あーあ……言われてしまった……
「はぁ……レナ、アンタは侍女より探偵の方が素質あるかもね。そうよ。私は隣国の王子と婚約するのが嫌だったの。アイツにこの国を任せたくなかったの。」
私は一口水を飲んで舌を回りやすくした。もう元には戻らないとは言え私の秘密を暴露するんだ。少し間を稼ぎたい。
「あの王子はね。頭の回転が良いのよ。でも性格が悪い。だから私は大っ嫌いだったの。」
「でも、それだとセレン様はシュウラ様を身代わりに出したと思ってしまいますね。」
「そうね。だから本来なら私が嫁になって王家を守るつもりだった……だけど……」
私は一度息を深く吸った。そして……
「あの王子は私という許嫁がいながら妹に恋文を送っていたのよ!」
「ええー!」
流石のこれにはレナも驚いた。そしてこれを知ってるのは私とシュウラの2人だけだ。
「じゃあ……つまり……」
「そうよ。もしこんな事が世間に知れたら大事になるわ。王家の信用も失墜してしまう。だから私がわがままの傍若無人な姫になったのよ。」
「で、でも、どちらにしろセレン様が王家の信用を下げてましたよね?」
レナの考えも最もだ。でも、
「私は切り捨てればいい、現に切り捨てられたわ。でも、次世代の王の代わりはそうそう居ないの。だから妹のシュウラに婚約がいく様に私は仕向けるしか無かったのよ。」
今まで言えなかった事をようやく言えた。なんだか胸のつっかえが取れた気分になる。一方レナは……
「どうして……どうしてもっと早く言ってくれなかったんですか⁉︎そしたら……そしたら私が……」
レナが急に泣き出したので私は椅子に腰掛けてるレナを抱き寄せた。
「レナじゃどうしようもできないわよ。私でも出来たのはこれくらいだった。あとはシュウラに任せるしかないわ。」
「それでも……聞いてあげたかったです。せめて聞いてあげて不安や恐怖を理解してあげたかったです。」
(あー、この子はやっぱり優しい子なんだな。)
私はこんな優しい子を心配させた上に泣かせてしまったんだな。と後悔するのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!
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