第65話 理由
いろいろあったが、とりあえず落ち着いた所でスピカちゃんの話を聞くことにします。
「それで、何があったの?」
「……親と喧嘩した……」
「そっか。なんで喧嘩したの?」
私はなるべく優しく聞いてみた。
「セレンさんって子供に対しては優しいよね。」
「うん。私の時はミスする度に往復ビンタだったんだけど……成長したんだよ。」
後ろでコソコソ話をしていたリザとレナをゲンコツで黙らせた後、再び話を戻した。
「昨日の授業参観……きてくれなかったの。でも、それ以上にリザのこと言われたのが許せなかった。」
「そっか。リザの為に怒ってくれたのね……ありがとう。」
私はスピカちゃんの頭を撫でてあげた。
「そうね。今日明日は学校お休みだし、今日は泊まって行っていいわよ。その代わり明日は私とレナ、そしてリザが送って行くから帰りなさい。」
「嫌だ!リザの事を悪く言う親のところには帰らない!」
まぁこう言われるとは思っていたので私は冷静に切り返す。
「大丈夫よ。今度は私たちが行くから。ちゃんと話し合いましょう。それでも話し合いに応じないならこちらも切り札を使うから安心して。」
「切り札?」
「ええ、とっておきのね!」
スピカちゃんは頭にはてなを浮かべている様だった。レナとリザには分かった様だった。
「とにかく、子供が深く知る必要ないから遊んでなさい。」
「は、はい……」
歯切れの悪い返事だけどまぁ不安なのは仕方ないのでリザにスピカちゃんを任せて私とレナは部屋で作業を開始します。
「レナ、スピカちゃんの家は分かる?」
「はい、この前送って行った時に近くまで行きましたので分かりますよ。」
「手紙……出して来てくれない?」
「いいですよ。」
私はレナに手紙を渡した。そしてその手紙には王家の紋章の印を押してある。これにより王家からの親書というのを知らせる事が出来るのだ。
「流石にこれを無視する人はいないでしょう。」
「もちろんです。もしこれに反抗する様なら反逆者として裁かれますからね。」
という事で、町に用事のあるイズミさんと一緒にレナはスピカちゃんのお屋敷に行くのだった。
「ただいま戻りました。」
夕方、イズミさんとレナが無事に戻って来ました。
「イズミさんありがとうございます。レナ、お疲れ様どうだった?」
「渋々って顔でしたね。あんまり良い印象ではありませんでした。」
まぁそうだろうなとは思ってた。
「そうでしょうね。でも、手紙を受け取ったという事だから話し合いは出来そうね。」
「はい、どんな事があっても私がセレン様をお守りします!」
頼もしい事を言うレナの頭を撫でて私は明日の準備をするのだった。
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