第61話 おやつ
懇談会が終わった後校庭で待っていたリザと合流して帰る事にした。
「あれ?スピカちゃんは?」
「先に帰っちゃったよ。お母さんたち来てくれなかったみたい。一緒に待つって言ってたけど流石に悪いから帰って貰った。」
「……そっか。リザごめんね。今まで来れなくて……」
「ううん。大丈夫だよ。セレンさん達は仕事で来れなかったんだもん。そこは割り切ってたよ……でも……やっぱり寂しかった。」
私はリザの頭を撫でてあげる。やはり我慢させすぎていた。もっと話していれば寂しい思いをさせずに済んだのだから。
「……ごめんね。これからはもっとリザの事考えるわ。」
「何言ってるんですか!セレンさん達はいつも私のことを夜遅くまで話してるじゃないですか。レナも私の事をいつも気にかけてくれて寝ている時には頭を撫でてくれてた。」
「起きてたのね……」
「たまにですよ。お2人がイチャイチャしてるのは見てませんからね。」
少し笑ってる辺り見たことあるのだろう。まぁこれは仕方ない。
「よし!帰りはシエスタさんの所でスイーツ食べて帰ろうか。まだ日も高いし。帰りはイズミさん達と帰りましょう。」
「やった!何食べようかなー?」
満面の笑みで考えてるリザは年相応の笑顔をしていた。少し大人びたと思っていたけどやっぱりまだまだ子供なんだと改めて思った。
「シエスタさん、ギラさん、スイーツ下さい!」
「おっ、リザちゃんにセレンさん。いいわよ。席空いてるから好きな場所座って。」
私とリザは空いてる席に座った。お昼が終わってこれからは午後のお茶会などのゆったりした時間帯の様だ。ギラさんはというと私の顔を見て嫌な顔をしていた。
「リザ何が食べたい?」
「これ!」
メニューを指したのはいちごパフェ。まぁこの量なら夜ご飯に影響ないでしょう。
「すいません。いちごパフェとコーヒーを下さい。」
「はいよ。」
ギラさんが返事をして厨房に入って行った。
「セレンさんは食べないの?」
「私は今日はいいわ。レナが頑張ってるんだし私だけ贅沢は出来ないからね。」
「お2人はやっぱり見えてなくても互いを思い合ってるんですね。」
「……そうね。でも私も昔はレナが見えるところにいないと心配だったわ。」
「今のセレンさんからは想像出来ないですね。」
「もう10年も前よ。16歳で追い出されてレナが追ってきて、いつも一緒にいるって言って貰えて。浮気なんてもちろんしないのは分かってる。でもいなくなるとやっぱり不安でね。」
「じゃあ今のセレンさんはどうしてそんなに落ち着いているの?」
「ミスズさんに言われたの。好きだからこそ信じて待つ事をね。」
「そう。好きな人なら必ず帰って来てくれる。たぶんレナもそう思ってるわ。だからどんなに離れても私たちの絆は決して切れないの。」
「……私もスピカとそんな関係になれるかな?」
「なれると信じなさい。なれないと思うと本当にならなくなるのよ。私たちも応援するから。」
「……ありがとうございます。」
「親子で恋愛話とはリザも成長したな。ほれいちごパフェとコーヒーだ。」
丁度良いタイミングでギラさんがいちごパフェとコーヒーを持ってきてくれた。
「そういえばさっきの話……」
「言わねえよ。聞きたきゃシエスタに聞きな。」
そう言うとギラさんは厨房に戻って行った。私たちはイズミさんが迎えに来るまでカフェで待つのだった。
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