第58話 朝からバタバタ
「今日はセレンさんがきてくれるんですよね?」
「ええ。昼過ぎには行くわよ。」
すごく楽しそうにしてるリザ。どうやら褒められる内容なのだろう。
「良かった!今日は授業参観もあるからセレンさんなら安心!」
「「えっ?」」
私たちは同じ反応をした。
「えっ?聞いてないんだけど⁉︎」
「えっ?レナに連絡の紙渡しましたよ?行ってきます!」
リザは元気よくシエスタさんと出発した後、レナは1月前に貰った紙を探して私に見せます。下の方にはしっかりと授業参観のお知らせと書いてあった。私とレナは顔を見合わせて……
「「あはは……」」
パチーン!バチーン!
少し笑った後レナを往復ビンタした。
「とりあえず今はそれで勘弁してあげる!でも夜を楽しみにしてなさい!」
「ふぁい……」
レナが連絡の紙を全て見ていて管理までしているが……今回はそれが仇となったという訳だ。人を信用しすぎるのもダメという良い例だ。次からはダブルチェックをします。
「レナ!私は支度するから庭園の方お願い!他の親も来るのだから作業服はいけないわ!」
「わかりました!」
今日は流石に責任感じたみたいでバタバタと作業に入ったレナだった。そして私は先程レナが持っていた連絡事項の紙を読む。すると昼過ぎの4限目に参観日となっていて焦った。
「レナ……本当に夜を楽しみにしてなさい……」
私は支度を済ますとそのまま歩いて向かう事にしました。服など用意していなかったので急いで準備。リザの通う学校までは歩いて1時間半……正直ギリギリだ。昔の私なら途中でへばってたけど今は体力仕事をしてきてしっかり体力もあるから全然余裕だ。
と思って早足できたのだが思ったより早く着いたのでギラさんのお店に顔を出した。
「こんにちはー。」
「おっ、セレンさんじゃないか?どうしたんだ?シエスタに用事か?」
「いえ、今日はリザの授業参観だから来たんですよ。」
「そうかい……シエスタは今買い出しに行ってるからよ。話し相手はいないぜ。」
そんな事を言いながらギラさんはお店の準備していた。
「ねぇ、ギラさんはどうして自分の恋をそっちのけでイズミさんたちを応援したんですか?」
「……なんでだと思うか?」
質問してるのは私なのにまさかの質問で返されました。
「シエスタさんが好きだったからですか?」
「ちょっと違うな。」
そう言って少し考えて私に話してくれました。
「確かにシエスタは好きだ。だがな。それ以上に恋してるシエスタ、そしてイズミと笑ってるシエスタか1番好きなんだ。俺じゃああの顔は作れない。だからこそ応援に回ったんだ。」
「愛してたから……好きな人が本当の笑顔になれる場所を作ったって事ですか?」
「そういう事だ。まぁ他にもあるんだがな……」
「何ですか?他にって。」
「いいだろぅ。ほらそろそろ時間じゃないのか?」
「……帰りにまた来ます。」
「おい!来ても話すとは言ってねえーぞ!」
後ろで何か言っていましたが私には何も聞こえなかったので帰りに寄ります。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回更新もお楽しみに!
よろしければブックマークと評価して頂けると幸いです!