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第6話 熱

 私は夢を見ていた。お城の一室で泣いてるレナの夢を……


『セレン様……』

「はっ!レナ⁉︎」


 私の言葉に反応する者はいない。今はサンノーズの安宿に泊まっていた。レナと離れて5日目、いい加減あの子から巣立たないとと思うけど毎朝あの子の名前を口にしてしまう。


「はぁ……顔を洗って来よ……」


 少し寒い気がする。でも、今日は船が出るかもしれないので私は起きて身支度をある程度整えて共同の洗面所へと顔を洗いに行く。


(……なんで私はこんなにも酷い顔をしているの……?)


 鏡で見た自分の顔には流石に驚いた。目の下にはクマが出来ており少し頬が痩せこけていた。


「そういえば最近朝は食べてないわね……」


 私はふらふらとした足取りで食堂へと向かうと受け付けの女性に話しかけてきた。


「お客様、大丈夫ですか?」

「えっ……ええ、大丈夫よ。ご心配ありがとう。」


「……お客様、体調が悪い様でしたらお部屋にお食事を運びますが?」

「……ごめんなさい……お願いしてもよろしいかしら?」


「はい。」


 私はベッドに座って待っているとノックする音が聞こえた。


「どうぞ。」


 すると先程の女性が部屋へと入ってきた。


「失礼します。」

「ありがとう。そこのテーブルに置いて貰ってて構わないわ。」

「はい。」


 女性はお粥と少しの果物を持ってきてくれた。


「……あの宜しければお医者様をお呼びしますが……?」

「大丈夫よ。これからまだ長旅になるんですからお金はなるべく残して置きたいの。」


「どこまで行かれるんですか?」

「そうねー、誰も私を知らない所かな……」


「なんですか、それー」


 女性はクスクスと笑っていた。恐らく冗談だと思われていたのだろう。


「そういえば今日は船が出港しますがどうしますか?夕刻の出港だそうですよ?」

「……体調次第ですね。ご連絡ありがとうございます。」


「それではゆっくり休んでください。」


 そう言うと女性は部屋を出て行った。


「……何してるんだろう……私……」


 天井を眺めてそんな独り言を言った。そもそもあのお城から抜けるのは私の望みだったはず。みんなに嫌われる為に傍若無人な態度を取ってきた。だから未練は無いはず。レナには手紙で嫌いだと伝えた。だからレナにも嫌われた……


「でも、本当は嫌われたくなかった。あの子にだけは嫌われたくなかった……」


 私は枕に顔を(うず)めて泣いた。自分がどれほど愚かなのかを後悔した。


「なんで……素直に言わなかったんだろう……素直に……好きって……付いて来てって……」


 私はそのまま泣き疲れて眠ってしまった。そして次起きた時には……




「ようやくサンノーズに着いた……」

 

 馬車に揺られて半日、セレン様と合わなくなって5日目だ。そろそろ禁断症状がでそうだ。


(とりあえず港に行って情報を集めないと。)


 私は港に行って船乗りさんに聞いてみた。


「すいません。ちょっと人を探しているのですが?」

「あぁん?どんな奴だ。」


 声に迫力があるけど聞いてくれる様だ。


「えーっと、銀髪の長い髪に、赤い瞳で年は15歳から16歳くらいの見た目なんですけど。」

「あー、あの嬢ちゃんか!知ってるぜ!」


「えっ、ほんとですか?どこにいます?」


 いきなり情報ゲットである。私は船乗りさんに詰め寄った。


「ま、まぁ待てよ。俺は知ってるだけで居場所は知らないんだ。」

「そうなんですか……お騒がせしました……」


 まぁそんな簡単に情報が入るはずがない。半ば期待しすぎた私が悪い。私はトボトボと歩いて別の所へ行こうとすると先程の船乗りの方が呼び止めてきた。


「おい、嬢ちゃん!」

「はい……なにか?」


「良いことを教えてやる。その嬢ちゃんな、隣の国に行く為に船のチケットを買ってた。」

「はい。」


 つまりその国の船に乗れって事ですね……まだしばらくは会えない様だ。


「だがな、ここ数日は海がシケでな、船は出てない。」

「えっ⁉︎」

「だからまだこの町にいると思うぜ。だが、今日の夕刻には船が出港しちまう。」


「つまり、それまでに見つけないとってわけですね!」

「おう、そう言う事だ!頑張れよ!」


「はい!ありがとうございます!あっ、これどうぞ!」

「おお、良いのかい?ありがとよ!」


 私はお礼に葡萄酒を船乗りに渡した。


「さて、情報は貰ったけど……」


 問題はこのままここで待つか、宿屋をしらみつぶしに探すか……


グー……


「まだお昼だもんなー……」


 というか、昨日の夜から何も食べてない。なのでお腹の音が鳴っても仕方ないのだ。とりあえず腹ごしらえをする事にした。


 私は近くの食事処兼宿屋に入った。


「いらっしゃいませ。お食事ですか?」

「はい。空いてますか?」


「はい、もちろんです。こちらへどうぞ。」


 私は食堂に通された。私が席に着くと注文表を持って来てくれた。


「ご注文がお決まりになりましたらお声かけ下さい。」

「では、1番安い定食とお水を下さい。」


「かしこまりました。少々お待ちください。」


 そう言うと女性は下がって行った。


「よし、食べたらまた探すぞー!」

「あらあら、あなたは人探しですか?」


 そう言うと先程の女性が先にお水を持ってきてくれた。


「ええ、まだこの町に居てくれることを願って探します。」

「ふふふ。大切な人なのね。」


「はい!私の大切な主人です。」

「あらあら、でも無理しないでね。無理をしちゃうと熱を出して寝込んでしまいますから。」


「はい!あ、じゃあ心配ついでに聞いてもいいですか?」

「はい、お力になれれば幸いですが。」


「あのですね。長い銀髪で。赤い瞳の15から16歳位の女の子を探しているんです。見ませんでしたか?」


「……見ましたよ。」

「えっ⁉︎どこでですか?」


「この宿に居ます。今は体調を崩して眠っていますが……」


 私は凄く幸運です。まさか入ったお店にいるとは思わなかったのですから。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回もお楽しみに!


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